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    【Interview】松田晋二[THE BACK HORN]

    • Interview:Rhythm & Drums Magazine Photo:Azusa Takada

    曲の世界観を作るのに必要なものであれば
    打ち込みのリズムも取り入れていきたい

    ●M7「夢路」は温かみのあるバラードで、金モノやタムも絡めた手数の多いビートが楽曲をドラマチックに演出していますね。

    松田 デモ段階の基本のリズムは6/8拍子、A、Bメロはキックとハイハットがアタマ打ちで、ウラにリム・ショット、間にハイハットとリムが8分で絡んでハネ感を出すアプローチだったので、それをもとにメロの展開に合わせてスネアを入れ、Bメロから戻ったAメロでは、バッキングのギターと共に推進力を出すためにハイハットとリムをタム&フロアに置き換えて刻みながらスネアを入れていくアプローチで、展開のビルドアップをしています。メロディを聴きながら、楽曲の展開をリハーサルで染みつかせた上でレコーディングしました。

    イントロのリフ、基本のA、Bメロ、サビ、間奏、最後サビの展開とセクションが多いドラマチックな曲なので、アレンジでは最後に向かって盛り上がっていくような展開を目指しました。レコーディングでは特に場面ごとのフレーズの切り替わりをスムーズにするのと、サビ前のダダダダダダというスネアとフロアの連打の強度が落ちないように意識しました。それと、後半のサビの6連スネアのクレッシェンド具合いは、盛り上がりが出るように気持ちを込めて演奏しました。

    ●M8「疾風怒濤」は、独特のリズムで静かに始まるイントロから、疾走感溢れるアグレッシヴなセクションなどに次々切り替わり、先の読めないスリリングな展開を見せていく楽曲ですね。演奏面で気をつけたポイントは?

    松田 まずは、静かな冒頭イントロのリムとタムを絡めた裏を強調するフレーズからスネアのフィルがあり、キックとギターのリフから、フィルでブレイク、そしてまたフィルから激しいセクションに入るという、イントロだけとってもまさに怒涛の展開がある曲なので、切り替えをしっかりとできるようなプレイを目指しました。冒頭のベース・リフからギター・リフに変わる前の、スネアのフィルの拍が絶妙な拍から入ってくるので、数を合わせつつ強度を下げないように、なめらかに叩くことも意識しましたね。あとはイントロ2の激しいセクションで、右手シンバル、左手タムとスネアの移動が結構忙しいのでタイミングを意識しつつ、タムの音量が落ちないように気をつけました。

    一番難易度が高いのは真ん中あたりのハーフタイムっぽいセクションで、裏でライド・カップにいきながらキックもアタマ抜きで16分を絡めつつ、2・4でスネアを叩くパターンです。これはデモの段階から菅波が打ち込んでいたフレーズなのですが、一聴してすごくカッコ良かったのでそのまま再現しようとしたところ、なかなかの難易度でけっこう苦戦しました(笑)。自分のアプローチにはない感覚だったので、練習してものにできたときはうれしかったです。

    ●セクションのコントラストが強いM9「ウロボロス」は、エレクトロな打ち込みも絡む楽曲ですが、同期や打ち込みの電子音と、人力で叩くドラムとのバランスについてはどのように意識していますか?

    松田 僕自身もエレクトロや打ち込みの曲は好きでよく聴いているので、“生ドラムだけでいきたい”というようなこだわりはそんなにありません。その打ち込みのリズムが自分達の楽曲にも必然的に混じり合い、曲の世界観を作るのに必要なものであれば取り入れていきたいと思っていますし、その打ち込みのリズム・アプローチのセンスも大事かなと思っています。

    今作しかり、今までの打ち込みや同期、バンド・サウンド以外の楽器の取り入れ方は、楽曲を彩る意味でも必要不可欠な取り入れ方になっているので、3人の作曲者が新しいサウンドを生み出すために、貪欲に音楽を作り続けてきた結果なんだと思い、すごいなと思っています。

    生ドラムならではの熱さや繊細さ、躍動感などをとても大切にはしていますが、どうしても人力のドラムでは限界があったり、自分のプレイ・スタイル的にも音数が多い方ではないので、リズム・アプローチ的にも打ち込みが入ることで両方の良さを引き立て合えれば最高だなと思っています。打ち込みを取り入れるときには作曲者と生ドラムとのバランスについて話をして、お互いを生かすアレンジを考えながら役割を振り分けるようにしています。

    「ウロボロス」は、「戯言」や「ユートピア」のように生ドラムと打ち込みが混ざり合うようなリズムとも違い、完全に打ち込みのリズムだけに任せるセクションがあって。デモでは一度そこに生ドラムを重ねてみるアプローチも試してみましたが、菅波が作った打ち込みのアプローチだけで成り立つように感じたのと、打ち消し合うような感覚もあったので、生ドラムは完全になくして、そのセクションの最後のところにハイハットの刻みを足すバランスでまとまりました。

    そんな経緯もあり、この曲の間奏から落ちサビあたりは打ち込みのリズムに任せて、戻ったサビのアタマで生ドラムのバンド・サウンドをがっつり感じてもらえるように、ドラム録りでも、入りのアタックのタイミングと強さを意識してレコーディングしました。

    Next➡︎「山田はドラムもうまいんです(笑)」