UP

Archive Interview −クライド・スタブルフィールド−

ファンクの帝王=ジェームス・ブラウンの黄金期をジョン“ジャボ”スタークスと共に支えたMr.Funky Drummer、クライド・スタブルフィールド。2月18日は彼の4回目となる命日。後進のドラマーに大きな影響を与えたその功績をあらためて讃えるべく、氏が生前に残したインタビューを公開! グルーヴするためのヒントが随所に散りばめられている。

歩くことでリズムの感覚を掴むんだ
しゃべったり、歩いたり、人と出会ったり……そういうことが、俺のグルーヴの基になっている

●まずはジェームス・ブラウン(以下JB)に“ファンキー・ドラマー”と言わしめた、あなたのドラミングがどのような影響のもとに形成されたのかをうかがいたいと思います。

クライド 何よりもまず、JBのショウに参加したことで、何かの影響を受けたというよりも、たくさんの人達との出会いじゃないかな。ドラムを叩いて、人と出会って、旅をして……っていうのがね。俺は感じたままに、心の赴くままに演奏しているだけだからねぇ……俺のグルーヴは、例えば歩くところから始まる。歩くことでリズムの感覚を掴むんだ。今の俺がやっていることは、そこから始まっている。しゃべったり、歩いたり、人と出会ったり……そういうことが、俺のグルーヴの基になっているんだ。俺は練習もしないからね……(練習が)大嫌いなんだよ(笑)。

●最初はマーチングや、ディキシーランド・ジャズを演奏されていたそうですが……。

クライド マーチングはずいぶんやったよ。でもディキシーをやるようになったのは、ウィスコンシン州に移ってからのことだけど、パレードをやったんじゃなく、「シャッ・タッ・ディキダン、ダッ・パッ・ティキティキ……」というのを延々と1人で叩いていたりね。ディキシーランドをやるようになるのは、もっとあとのことさ。

●ドラミングの基礎は独学なんですね。

クライド 歩いたり、しゃべったり……(笑)。さっきも言ったように練習なんかしたことないんだ。バンドで演奏したわけでもない。ただ1人で叩いていたんだ。歩くときにも頭の中でドラムを演奏していたよ。そうやって自分の心に合わせてグルーヴを感じていたのが、今のドラミングに影響しているんだ。

●あなたはドラムを叩くとき、身体を左右に揺するように動かしていますよね?

クライド そう! ダンスしたり、歩いたりしているみたいにね。そのときのフィールに合わせるんだ。だから動きは変わることもある。同じパターンを叩いていても、グルーヴが変わればね。俺は感じるままにやってるんだ。「こういうパターンを叩いてくれ」と言われて、その通りにするのは好きじゃないね。「この曲どうやって叩く?」と言われて、「OK、俺に任せてくれ」っていうのがいいね。同じ曲で2〜3パターン試してみることはあるけれど、どれも自分で考えたパターンなんだ。

●例えばJBはあなたに何か指示を出すこともあったのですか?

クライド 彼が俺に面と向かって何か言うわけじゃないけど、まず「新しい曲ができたから、スタジオでレコーディングするぞ。みんな明日の午前何時にスタジオに集まってくれ」みたいな連絡が彼から来る。翌日みんながスタジオに集まると、俺達リズム・セクションがリズムを演奏し始めるんだけど、この段階でJBが何をやろうとしているかはわからない。俺達はとにかく、何かのグルーヴをプレイする。するとJBは「それだ、それ!」と言って、そのグルーヴに歌詞をつける。それにホーン・セクションのパートを乗せると、彼の曲が出来上がるんだ。どんなグルーヴを演奏したらいいのか、彼からの指示は一切ないよ。好きなようにグルーヴを演奏すると、彼はそれを受け入れて、歌詞を乗せる。洒落たやり方だよね。彼のヒット曲はみんな、そうやってできたんだ。メンバーの1人1人に、「お前はこれをやってくれ、お前はこれ」なんて指示するんじゃない。俺達が演奏するグルーヴを聴いて、気に入らなければ、「それはあんまり好きじゃないな、ちょっと変えてくれ」と言う。それで、俺がパターンを少し変えると、「それそれ!」と言って、曲が出来上がる。うまいやり方だよ。ミュージシャン達に、ああしろ、こうしろ言うんじゃなく、「お前らが感じたままにやってくれ、俺はそれに歌詞を乗せるから」というのはね。

●テンポの指示くらいはあった?

クライド あったよ。俺達としては、彼が自分でキーボードを弾こうとするよりも、そうしてくれた方がありがたかったね(笑)。

●JBの手の動きを見て、テンポを変えているという話を聞いたことがあるのですが?

クライド その通りだよ。俺達は彼から目を離さない。リーダーだからね。JBのバンドじゃなくても、フロントに立つリーダーには注意を払っているけれど、JBの場合は、例えば「コールド・スウェット」の演奏を始めても、8小節くらいで止めることがある。そこからいきなり「ギヴ・イット・アップ・オア・ターニット・ア・ルーズ」に変わったりする(笑)。すべては彼の気分次第で、俺達は彼の一挙手一投足に神経を集中して、彼の思い通りの方向転換をしなきゃならない。間違いは許されない。間違ったりすると……かなりヤバいことになる……(笑)。だから何が何でも彼が意図した方向の許容範囲にいなきゃならないわけだけれど、俺はそんなふうに彼の示す方向についていくやり方が大好きなんだ。車で旅行しているような面白さがある。常に正しい方向に車を進めなきゃならないという緊張感と同じようなものを感じるね。

次ページ とにかく1拍目が肝腎なんだ