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Archive Interview – クリス・デイヴ

  • Interview:Rhyhtm & Drums Magazine
  • Interpretation & Translation:Miki Nakayama
  • Special Thanks:Billboard Live Tokyo

第七世代にも影響を与える現代最高峰のビート・メイカー!

2020年10月号でお届けした特別企画「ドラマー“第七世代”」。石若 駿、勢喜 遊によるスペシャル対談や、今後の音楽シーンを担う逸材=菅野 颯、竹村 仁、松浦千昇の3人をフィーチャーし、話題を集めたが、彼らが影響を受けたドラマーとして名前を挙げていたのがクリス・デイヴ。ディアンジェロ、アデル、ロバート・グラスパーらの音楽を支える現代最高峰のビート・メイカーだ。ここでは2012年12月号に掲載したクリスの貴重なインタビューを一部編集してお届けしよう!

カウント云々なんて考えたら、ドラムが数学のプロジェクトになっちゃう。そんなプレイは僕らしくない。だって僕がやっているのは数学じゃなくて音楽だからさ

●今回は自分のバンド=DRUMHEDZでの来日ということでいいのでしょうか?

クリス うん。DRUMHEDZは……僕がプレイしたいと思うミュージシャンと一緒にプレイしたい音楽を奏でる、自分の音楽表現を実現できる集団なんだよ。そこにあるのは友情であり、兄弟的なつながりであり、ステージに上がるとミュージシャンシップも発揮される。そういう心地良い場所なんだ。

●バンドを結成したのはいつですか?

クリス ずっとバンド名がなくて、一緒にプレイするときには“クリス・デイヴとその仲間たち”みたいな感じだったけど、でも続けていく中でそれがDRUMHEDZになっていったんだ。まあ、このグループの“苗字”みたいなものだね。

リズム&ドラム・マガジン
2012年12月号

●クールな苗字ですね(笑)。ところでメンバーの人選はあなたが決めたんですか?

クリス 今回のメンバー……アイザイア・シャーキーとベースのピノ・パラディーノはディアンジェロのツアーで一緒で、文字通りツアー最終日の翌日に日本に来たんだ(笑)。ツアー中に、今回のためのリハーサルを少しやっていたけど、ほとんど準備なしで日本に来た感じだね。でも彼らは友達であり、家族みたいなものだから、特に何もしなくても何とかなっちゃう(笑)。今回はトリオ編成だけど、来月からはケビー・ウィリアムスも参加する予定なんだ。とにかくそんな感じでDRUMHEADZのメンバーは音楽仲間や、これまで僕が一緒にプレイしたことのあるミュージシャンが集まっているって感じ。一緒にプレイすると「近いうちに何かやりたいな」って話になるだろう? そんなお喋りを具現化したのがこのグループ。で、どうしたわけか、このグループを気に入ってくれるクレイジーな人が多いのさ(笑)。

●ではグループの人数はそれほど問題ではない、と? 

クリス たいていはトリオよりも人数が多いよ。声をかけた全員が参加できるならステージに18人いてもOK。っていうか、やってみたい(笑)。最終的には自分達の音楽を作れるようになりたいから、そこへ向かって進んでいる最中だね。今は僕達の音楽のメッセージを周知させる段階だと思う。一緒にプレイした連中が観客の中にいることも多いから、そういう人達と一緒にプレイした音楽をあらためてライヴで聴かせることが大事っていうか……。今ではYouTubeとかでライヴ映像も見られるから「ライヴに行かなくてもいいじゃないか」って言う人達をライヴに呼び戻したいっていうか……。うん、音楽で自己表現するってことだね。ステージで正直な自分を表すってこと。

●ほとんど即興演奏に聴こえるライヴに驚いたのですが、実際に演奏の骨組みはどれくらい決めているのですか?

クリス 実はライヴ前にほとんどを決めているんだ。ステージ上の即興演奏はミックス・テープを作る感じなのさ。例えばジャズのセットでやると決めた場合にはハービー・ハンコックの「Actual Proof」は必ずやるし、ケニー・ギャレットの「African Exchange Student」もやる。あとはジミ・ヘンドリクスの「Hey Joe」もやったし、アウトキャストもやったし……。曲が流れた途端に観客が「おいおい、これって〇〇じゃないか!?」とか「えーっ、これ、やっちゃうの?」って驚くようなディープな曲をやるようにしている。そんな感じで、ライヴ中にいろんなグルーヴやヴァイブを入れようと思っているわけ。僕の説明を聞いていると「コイツ、なに言ってんの?」って思うだろうけど(笑)、本当にミックス・テープ的なライヴなんだ。“この曲では、この人がここでソロを取り、そっちの人がここでソロを取る”っていう普通のやり方は極力避けているね。そのおかげで、プレイする曲同士が流れるように進んで行くんだよ。それこそミックス・テープのフェイドインとフェイドアウトって感じでね。

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●ものすごく静かなプレイから、一気に大音量になる場面もありましたが、ダイナミクス表現についてはどのように考えていますか?

クリス 君の言う場面に関しては、曲に対して優しく囁き、いきなり大声で叫ぶ……って手法だよ(笑)。そういうプレイの仕方としか説明できないのさ。とは言え、ダイナミクスはドラムだけじゃなくて音楽にとってとても重要なものだよ。そしてどんなミュージシャンにとっても大事なもの。だから常に大音量でがなり立てる必要はないと思うし、時にはソフトに囁きたいって思うわけだ。でも聴いている人がつまらなくなって、寝てしまったら元も子もないから、昨日の夜のプレイみたいに、いきなり大きな音を出して起こすってこともやる(笑)。ダイナミクスというのは音楽で最も大きい要素だと思うな。プレイする音の大きさだけじゃなくてね。

●あるドラマーが教会で演奏しながらダイナミクスを学んだと話していたのですが、同じように教会でドラムを学んだあなたも、その経験がダイナミクス表現に影響を与えていると思いますか?

クリス うん、僕も教会でダイナミクスを学んだと思うよ。教会で演奏する曲には静かなものから大音量のものまで幅広いし、そこに聖歌隊や歌手が加わるわけだ。さらに教会でのサービス(お祈りや説教など)を邪魔しちゃいけないし……うん、教会でプレイしたドラマーは自然とダイナミクスを学ぶと思うね。

●ドラムのアプローチに関しては、ポリリズミックなパターンがあなたの特徴の1つだと思うのですが、例えば8のフィールとトリプレットを行き来するパターンがありますよね?

クリス うん、でも、あれは単なるリズムだから、自分の好きなリズムをプレイすればいいだけだよ(笑)。

●(笑)。ではリズムを刻む際、サブディヴィジョンはかなり細かく感じているのでしょうか?

クリス いや、細かくないと思うよ。叩いているままに感じているし、実のところ、自分がどんなプレイをしているのかすら考えていないから(笑)。思うがままにプレイしたいだけだし……リズムをカウントするなんてことも一切ないんだよ。カウント云々なんて考えたら、ドラムが数学のプロジェクトになっちゃうもん。そんなプレイは僕らしくない。だって僕がやっているのは数学じゃなくて音楽だからさ。