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Interview – EKKUN[Ken Yokoyama]

  • Photo:Maki Ishii

俺が入るからには
今までのKEN BANDでは鳴ってない音で
びっくりさせたいと思っていた

昨秋より体調不良で休養中だった横山 健が今年3月のコンピレーション・アルバム『The Very Best Of PIZZA OF DEATH III』にて活動を再開! 9月には自身初となるミニ・アルバム『Bored? Yeah, Me Too』をレーベル直販(通販限定)で発売した。いずれも新体制で発表した作品だが、新たにボトムを担っているのはFACTやJoy Oppositesといったバンドを経験してきたEKKUN。タイトなビートとスネアやタムを行き来する高速フィルインで楽曲にブーストをかけている。KEN BANDのメンバーとは以前から親交が深かったという彼に、今作への想いを聞いた。

●まずはKEN BANDへの加入の経緯からお聞きしてもいいですか?

EKKUN ある日突然(横山)健さんから電話がきてて、見知らぬ番号だから出ないでいたんですよ。そしたらとうとう留守電が入ってて、「横山ですけど〜」って。中学校の同級生に横山がいて、そっちかなって思ったくらいで(笑)。声を聞いても健さんだってわからなくて、その翌日くらいに電話したら「単刀直入に、松ちゃん(前ドラマー:松浦英治)が辞めることになったんだけど、KEN BANDやらない?」って言われたので、もうめちゃくちゃ驚きましたね。

●Hi-STANDARDのリスナーとしても、バンドマンとしても長く親交の深かったEKKUNでも、KEN BANDに誘われることはまったく予想してなかったですか?

EKKUN 本当に不意打ちです。俺の認識の中ではFACTのときから健さんには仲良くしてもらってて(笑)、KEN BANDはみんな距離が近い人達だと思っていたんですけど、自分が入るとは夢にも思ってなかったですね。それに、KEN BANDのオファーを断る奴がどこにいるんだと。やるしかないし、もちろんやりたいと思いましたね。

●ただ、いきなり加入のお話がきて、今までご自身が経験してきたバンドのスタイルとの違いはどう感じました?

EKKUN いろいろな音楽が好きで、もちろんパンクもハードコアも好きで聴いてたし、あまりやったことはなかったけど、俺が入るんだったらこういうふうにしちゃいたいという像はぼんやりとありましたね。

『Bored? Yeah, Me Too』
Ken Yokoyama
PIZZA OF DEATH PODRS-2
通販限定

1.Runaway With Me
2.Woh Oh
3.Balls
4.Still I Got To Fight
5.Count Me Out
6.You Are My Sunshine

●というのは?

EKKUN スイサイダル(テンデンシーズ)の『フリーダム』っていうアルバムがあるんですけど、その感じに近づけたいなと思ってたんですよ。音色がそのままとかフレーズがそのままとかじゃなくて、あのアルバムの雰囲気というか、勢いがあって、ドラムが生々しい感じ。あの頃はブルックス・ワッカーマンだと思いますけど、ドラマガでもインタビューやってたと思います。そういう感じのイメージは持ってましたね。

●ではそのイメージをもとに、KEN BANDに合わせて楽器や音色を変えたりしたんですか?

EKKUN 具体的なところでいくと、スネアは今までパールのリファレンス・スティールの(深さ)6.5″に、エヴァンスのハイブリッド・シリーズ(マーチング用ヘッド)を張ったりしてたんですけど、それだと音が詰まりすぎてる感じがしたので、いろいろ探りつつ、今はリファレンス・シリーズの5″にCSコーテッドという組み合わせですね。セットは新しくしたいなとは思ってて。KEN BANDはロックにパンク、メタルとか、いろいろな要素が詰まっているので、幅広く、オールマイティなセットにしようかなとは思ってます。

●今年3月発売のコンピレーション・アルバム『The Very Best Of PIZZA OF DEATH III』に収録された「Out Alone」や今作『Bored? Yeah, Me Too』のレコーディングではどんなセットを使ったんですか?

EKKUN 今回はマスターズのメイプルをパールから借りて録りました。いろいろ試したんですけど、反応が素直で、ある程度ソリッドで、自分が思い描いた力加減で叩くと、思った通りの音が出る感じがして、KEN BANDのイメージにも近いので、それにしましたね。

●「Out Alone」が、KEN BAND加入後初の曲となったわけですが、感触はいかがでしたか?

EKKUN 加入してから一通りツアーを回って、健さんの体調不良もあったりして、その中で何とか回復してレコーディング、という時期だったんですけど、音でびっくりさせてやりたいという想いはありましたね。それが功を奏して、そこでまた1つKEN BANDの一員として認められた気がしたというか、バンド全体の結束もまたそこで固まったかなと。とりあえず今までのKEN BANDで鳴ってないようなドラムの音をそこで鳴らしたいなと思ってレコーディングに臨みました。

●今まで同期モノの楽曲を叩くことが多かったEKKUNにとって、KEN BANDのグルーヴ感は新鮮だったのでは?

EKKUN まさにその通りで、特にFACTのときはずっと同期があって、クリックを聴きながらライヴをやっていたんですけど、KEN BANDに入ってからは、その日の自分、その日のメンバー、その日のお客さん……その時々の場の空気があるっていうか、その辺りが、去年のツアーでは慣れるまで難しかったですね。

クリックを聴いていないと、得意なところでハシっちゃったり、ハーフタイムで落ちすぎてたりで、セクションごとにBPMが変わっちゃうこともあったので、意外と今まで向き合ってなかったところが求められるようになりましたね。それを解消するために、今も解消できてるのかはわからないですけど、クリックと友達になれるように練習してます。身体に染み込ませないとちゃんと叩けないタイプなので、既存曲が多いのもあって、練習にはかなり時間を使ってますね。なおかつライヴでもずっとそこにいたかのように馴染んでいかなきゃいけなかったので、今までにないくらい去年はドラムを叩きました。

●ライヴでは誰の音を一番聴いていますか?

EKKUN 今はイヤモニなしで、“コロガシ”だけで聴いていて、本当は全体をくまなく聴きたいんですけど、そうもいかないので、難しいんですよね。南(英紀)さんのリズム・ギターも返してもらってるし、健さんだけのパートもあるから、そこもきちんと聴こえるようにしなきゃいけないし……だから今はギター2人の音を中心に聴いてます。これに関してはまだまだ試行錯誤中です。

KEN BAND(L→R)
南 英紀(g)、EKKUN(d)、横山 健(vo、g)、Jun Gray(b)