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    Interview – 高橋 武[フレデリック]

    • Interview & Text:Rhythm & Drums Magazine Photo:Satoshi Hata(TOP/PAGE 2)、AZUSA TAKADA(PAGE 4)

    アコースティックだと
    クリックはまったくないので
    フルバンドでやったときのグルーヴが一段と良くなる
    今のリハはめちゃくちゃいい状態だなと思いますね

    ●せっかくですので、そもそもドラムを始めたきっかけもうかがっていいですか?

    高橋 中学生のときに音楽の授業でドラム・セットを触る機会があったんですけど、わりとすんなり手足が動いて、叩けたんです。実は、小学校1〜2年生のときに一時期エレクトーンを習っていて、それで叩けたっていうのもあるんですけど、そのときはあんまり意識してなくて、でもみんなはうまくできなくて、“あっこれは俺才能あるんだ”っていう勘違いスタートですね(笑)。

    ●(笑)。以前のインタビューでは、影響を受けたドラマーに、バーナード・パーディやジェフ・ポーカロなどを挙げていましたが、いつ頃知ったんですか?

    高橋 20歳くらいのときにやっていたバンドで、三原(重夫)さんにドラムテックでついていただいて、沼澤(尚)さんを教えてもらったんですよ。でもそのとき、正直その当時の僕はあまりピンときてなくて、しばらく経ってから安藤裕子さんのライブに行ったんです。そこで沼澤さんが叩いてるって知らなかったんですけど、もう1音目からも惹きこまれすぎて、それで沼澤さんをめっちゃ好きになって、いろいろなドラマーを勉強した感じですね。

    ●練習などは、どのようなことをしてきたのですか?

    高橋 BPM=30でひとつ打ちやチェンジアップをずっとやってましたね。あとはBPM=1とかも(笑)。そこまでいくとめちゃくちゃ細かいところまで見れちゃうんですよね。今肩がこうなってて肩甲骨がこう動いてるから次は肘を動かして……みたいなことを1個1個自分の頭で認識しながらフォームを見れるので、それが早く叩いているときも無意識で体に残っているのかなと思います。バンドでリハに入るときも曲のBPMを半分にしてよく練習します。

    学生の頃とかは親が寝静まったあとに練習したくて、いかに起こさずに練習パッドをピアニッシモで叩けるかみたいなこともやってましたね。LITTLE CREATURESの栗原(務)さんと23〜4歳くらいのときに対バンしたことがあったんです。そのとき僕も音量の小さいプレイには自信があったんですけど、ありえないくらい音が小さい綺麗なロールを側で見て、悔しくてめっちゃ練習した記憶があります。リラックスして叩くとか、そういうレベルでは逆にならない、すごく力をコントロールした演奏なんだと思います。音量を抑えたプレイは、栗原さんにも影響を受けています。

    ●音量を抑えると言えば、7月にアコースティック・ライブを配信していましたが、ドラムのフルセットを使用して、繊細なアプローチが素晴らしかったです。カホンを使うという選択肢もあったと思いますが、敢えてドラムにしたのですか?

    高橋 フルセットでやりたかったのはもちろんなんですけど、ドラムはもともとアコースティック楽器じゃないですか。決してカホンが嫌いと言うわけじゃなくて、僕は何かで何かの代用をするというのがあまり好きじゃないんです。僕が今カホンを叩いたら、ドラムの代用としてしか演奏できないと思っていて、それだったら生ドラムの方がいいんじゃないかと。音量だって、ドラムってすごく小さい音も出せるじゃないですか。自分の意識として、ドラマーであるというのが一番大きいので、ドラムでどこまでもできるってことをやっぱり体現したいし、すごい楽器だということを伝えたいですね。それだけ小さい音量も出るし小さい音でできることもたくさんあるし。

    ●チューニングもだいぶ変わりました?

    高橋 特にタムを変えた気がしますね。めちゃくちゃ張ってました。やっぱり軽く叩く場面が多いので、ピッチを低くしすぎて皮しか鳴ってない状態にはしたくないので。

    ●スティーヴ・ガッドの新しいシグネチャー・スネアも使ってましたよね?

    高橋 あのときは買ってすぐでしたね(笑)。他の楽器との兼ね合いもあって、結構だるんだるんにしてたんですけど、そこよりもうちょっと高いところが僕にとっては美味しい部分なのかなと思いました。高くしても全然めっちゃいい音ですけど。僕、ずっとメタル・スネアはブラスばかり買ってて、スティールって苦手だったんです。高音域にある“キィーン”とした金属っぽい余韻が苦手なことが多くて、でも今回のガッド・スネアはほぼそれが感じられなくて、スティールなのにブラスに近い感じがしましたね。

    ●ライブをしてみて、いかがでしたか?

    高橋 僕らがやるアコースティックは、リアレンジに近い感じなので、そういう意味でもかなり面白いことができたなと思ってますね。そのライブの音源で、EPにも入っている「リリリピート」は、もともとサビは結構速い4つ打ちなんですけど、そもそもの曲の雰囲気としてドラムンベースも合うだろうなとは思ってて。アコースティックなのでそのままってわけではなく、それをリムでやってみたら意外とハマりが良かったんです。アコースティック・ライブで生まれたアレンジは、フルバンドに戻ったときに反映されることもあったりしますね。

    あと一番デカいのは、フルバンドのときはほぼ同期があってクリックを聴きながらなんですけど、アコースティックだとクリックはまったくないので、楽器での会話の量はより増えますね。その感覚があるので、フルバンドでやったときにグルーヴが一段と良くなっていることも多いです。今のリハはめちゃくちゃいい状態だなと思いますね。やっぱり宅録で作った作品なので、リハは今までにない感動があったというか。一緒に合わせたらどうなるのか、それぞれが知らない状態でいきなり合わせるわけですから。だからそのときの感動みたいなものは、ライブで見てくれる人にもきっと伝わるものだと思うので、これからまたツアーが始まって武道館もありますし、たくさんの人に見てほしいなと思います。

    ◎Information
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