NOTES
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Pick Up Next Generations #4 -Max Portnoy
- Score & Text:Yusuke Nagano Illustration:Yuji Shiozaki
#4 Max Portnoy
形を変えながら進化していく音楽の中で、めきめきと頭角を現す“新世代”のドラマー達。本連載では、次代を担うであろう、注目のプレイヤーをピックアップ! YouTubeで観られる映像をもとに、彼らのドラミング分析をお届けしていく。今回取り上げるのは、優秀な次世代ドラマーとして、ドラム誌『Rhythm』や『MODERN DRUMMER』の読者投票で上位に選出された話題のドラマー、マックス・ポートノイ。父、マイク・ポートノイも太鼓判を押す、彼のテクニックに迫ってみよう。
荒々しさや豪快さを伴う感情表現として演奏する姿勢
聴き手の心と身体を揺さぶる音色、フレーズ、グルーヴ
マックス・ポートノイは4歳からドラムを始め、5歳になる頃には、すでに真剣に取り組んでいたそうです。そして幼い頃から父=マイク・ポートノイの演奏現場に頻繁に連れていってもらい、そのプレイを間近で体感するという、実に恵まれた環境で才能を育んでいきます。
影響を受けたドラマーとしては、もちろんマイクの名前が真っ先に挙がりますが、実際のテクニックに関しては、父から教わる機会は少なく、地元ペンシルベニア州のドラム・ショップでレッスンを受け、ジャズ、ロック、アフリカやブラジルなど、さまざまなスタイルのプレイを学んだということです。
2013年からは、メタル系のバンド=Next to Noneで活動。デビュー・アルバムの『A Light In The Dark』には、マイク・ポートノイもプロデューサーとして携わっています。ちなみに、メタル系のドラミングに関しては、ジョーイ・ジョーディソン[Slipknot]やクリス・アドラー[Lamb Of God]に大きな影響を受けたと語っています。
今回の分析は、彼が参加するニュー・メタル・バンド=Tallahの、10月リリース予定のデビュー・アルバムに先駆けて公開された収録曲「The Silo」のプレイ動画から検証していきます。
カラフルでドラマチックな
右手の刻みの変化に要注目
Ex-1(動画内0:08〜 ※クリックすると分析箇所の映像を再生できます)は、イントロのリズム・パターン。1小節目は重厚さを強調したフロア・タム、2小節目はきらびやかなカップ、そして3小節目では再びフロア・タムに戻り、4小節目はハイハット・オープンで荒々しく音圧を上げるという右手の刻みの変化が、非常にカラフルでドラマチック。太い音色のキックがビートを牽引するフィールも心地良いです。
タム類を豪快に鳴らしきるショット
スティックが折れるハプニングも見どころ
Ex-2(3:29〜)は、ギター・ソロ後にドラムがフィーチャーされる箇所。腕全体をダイナミックに使って、タム類を豪快に鳴らしきるショットが印象的。
この動画では、2小節目の2拍目で、タムを叩く左手のスティックが折れるハプニングがあるのですが、要所をしっかり補いながらリカバリーする部分も見どころです。
楽曲を盛り上げる
フィルインのテクニック
Ex-3a、bは、後半の盛り上がり部分でのフィルイン。Ex-3a(3:54〜)は、手足を絡めた6連系の荒々しいフィールと、4拍目のカップを絡めたキラキラ感の対比がポイント。カップは、ライドのカップとアイス・ベルを右左交互にショットしています。
Ex-3b(4:01〜)は、エンディングに向かうフィルで、スネアとキックの16分をユニゾンして音圧をプラス。その後のエンディングでは、ツイン・ペダルを駆使したヘヴィなパートへ突入します。
まとめ
重心の低い極太のグルーヴと、パワー、スピードを持ち合わせたマックス。父のマイクも「スピードとテクニックはマックスの方が上」と語り、最近ではマイクがマックスに演奏のアドバイスを求めることもあるといいます。
そんなマックスの大きな魅力は、そのテクニックを型にはめた正確さに向けるのではなく、型を破って、荒々しさや豪快さを伴う感情表現として演奏する姿勢が強く打ち出されている部分だと感じます。
マックスの音色、フレーズ、グルーヴには、ヒューマン・タッチの熱い血潮が脈々と流れていて、聴き手の心と身体を揺さぶります。そのあたりのエモーショナルな部分も父親譲りだと感じますが、今後のドラム・シーンを牽引していく存在であろうマックスに、メタル・ファンならずとも要注目です。
【Another Playlist】
今回取り上げた映像の他にも、YouTubeには数々の動画がアップされている。こちらもチェックしてみよう!
◎Information
Max Portnoy Twitter Instagram
Tallah HP Twitter Instagram
◎Profile
長野祐亮(Yusuke Nagano):15歳でドラムを始め、つのだ☆ひろ、そうる透に師事。大学在学中からプロ活動をスタートし、数々のレコーディングやアーティストのサポートで活躍する。現在はインストラクターや執筆活動を通して後進の指導も行っている。「ドラマーのための全知識」、「1日15分!自宅でドラム中毒」など数多くの著書がある。
◎Information
長野祐亮 Twitter
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