NOTES
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- Text & Score & Video:Hiroshi Matsuo
CHAPTER8:オッド・フィル
みなさんこんにちは、松尾啓史です。前回に引き続き5連符や7連符を用いたリズムにフォーカス! 今回はリズム・パターンではなく、セクションや場面転換時の接続詞にあたる“フィル・イン”について掘り下げてみたいと思います。奇数グルーヴの中に導入することはもちろん、8ビートや16ビートなどのシンプルな流れの中に盛り込んでもいいでしょう!
奇数連符で構成されるフィル・イン=“オッド・フィル”
フィル・インと言えば、通常4、8、16、32分音符、あるいは6連符、奇数連符であっても3連符などのベーシックなリズム・グリッドでストレートに表現されている楽曲がほとんどですが、リズム・パターンに奇数連符を用いることができるのと同様に、フィル・インも当然当てはめることができます。
奇数グルーヴから奇数フィルというのは自然な流れで、違和感もなくむしろベストなチョイスですが、偶数のグルーヴに対して奇数フィルを用いることもできます。この場合、奇数連符のフィルであえてグルーヴに引っかかりを設けることで、通常のフィルよりも印象深いシーンを作り出すことができます。
奏法パターン Ver.1
クインタプレット・フィル
“クインタプレット・フィル”とは、5連符を基調としたフィル・インのことで、16分音符よりも音密度の濃いフィル表現を可能にします。ここぞというときの場面転換や、意表を突いた展開を演出したい場合などにもオススメです。良い意味で安定感のないリズムであるため、オッド・グルーヴ独特の不安要素をドラミングに取り入れることができ、印象的な場面転換ができます。
Check!
クインタプレット・フィルのエクササイズ
いきなりフィル・インだけを叩いてもイメージが掴みづらいと思いますので、お好きなリズム・パターンを1小節ないし3小節ほど演奏してからフィルへと移行する練習をしてみましょう。リズム・パターンはフィルに合わせた奇数系のグルーヴでもいいですし(前回のUDTで紹介した“オッド・グルーヴ”をチェック!)、そうでなくシンプルなパターンでも構いません。
5連符なので、シンプルにシングル・ストロークで埋めると毎拍ごとにスタート手順が入れ替わりますが、手順を工夫することで右手発進に統一できたり、キックを挟み込むことでリニア・フレーズへと変換させるなど立体的なフレーズも構築することができます。
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さらに、5のグリッドの中を3つや4つずつの音価(フレーズ)で分割することで、実際には5連符なのにまるで3連符や16分音符のフレーズを叩いてるかのような錯覚を聴き手に対して与えることもできます。そのようなトリッキーなプレイを行う場合は、まずはスネア単体などで拍の頭をワン、ツー、スリー、フォーとカウンティングしながら演奏できるように練習し、自分自身が錯覚に陥らないようにしてからチャレンジすることをオススメします!
奏法パターン Ver.2
セプタプレット・フィル
“セプタプレット・フィル”は、7連符を基調としたフィル・インです。精度の高いスティック・コントロール力と演奏時の手順把握能力を必要とするので、ある程度奇数連符に精通した上級者向けのリズム・アイディアと言えるでしょう。特にテンポの速い楽曲で繰り出すのは至難の業です。まずはゆっくりのテンポから、同じフレーズを繰り返し叩くことにチャレンジして身につけていきましょう!
Check!
セプタプレット・フィルのエクササイズ
音価の数が多いぶん、グリッドの中でアクセントやキックの位置を工夫するだけでもさまざまなフィル・バリエーションを構築することができます。手足に分散し力強いリニア・フィルとして展開してもいいですし、スピートと軽やかさを重視してシングル・ストロークとダブル・ストロークをルーディメンタルに織り交ぜた流動的なフレーズにしてもいいですね。あるいは5連符と同様、7連符を偶数でフレーズ分割したりといったトリッキーな演出にアレンジすることもできます。
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まとめ
今回は、すべての奇数グリッドを音価で埋めるフレーズをご紹介しました。休符を挟み、フレーズに隙間を作ることも可能ですし、4拍間という長さに囚われず、2拍や1拍でフィルを展開することももちろん可能です。ぜひさまざまなアレンジを考えて、あなたのドラミングのオリジナリティをより進化させてみてください!
Ultimate Drum Technique – BACK NUMBER
■CHAPTER 1:モダン・フット・ワーク
■CHAPTER 2:左足のハイハット・コントロール
▶︎上記2つについてもっと詳しく知りたい方は、リズム&ドラム・マガジン20年7月号をチェック!
■CHAPTER3:ゴースト・ノート
■CHAPTER4:ワン・ポイント・モジュレーション
▶︎上記2つについてもっと詳しく知りたい方は、リズム&ドラム・マガジン20年10月号をチェック!
■CHAPTER5:トラップ・ビート
■CHAPTER6:トラップ・ビート Vol.2
▶︎上記2つについてもっと詳しく知りたい方は、リズム&ドラム・マガジン21年1月号をチェック!
■CHAPTER7:オッド・グルーヴ
◎Profile
まつおひろし:豊富なドラム知識を生かし、リットーミュージックより自身の執筆する教則本『究極のドラム・トレーニング・バイブル』をリリース。現在はリズム&ドラム・マガジンでプレイ分析や執筆を担当している他、ドラム・セット・プレイヤーとしてのみならず、ドラム・スティックを投げたり回したりと視覚的に楽しませるパフォーマーとして、東京ディズニーシーや打楽器アンサンブル・チームでの公演の経歴もある。また、サウンド制作スタジオ「INSPION」のメンバーでもあり、ゲーム音楽を中心としたレコーディングは多岐に渡る。20歳の頃より音楽教室でのレッスンなど、クリニシャンとして後世のドラマーの育成にも積極的に取り組み、吹奏楽からプログレまでジャンルを問わずさまざまなバンドでのライヴ・セッション活動を行っている。
◎Information
松尾啓史 HP Twitter YouTube