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ジョー・モレロ – “変拍子ジャズ”を広げた偉大なるイノベーター –
- Interview & Text:Rhythm & Drums Magazine
ジョー・モレロはバス・ドラムの音色がとにかく最高
ジョー・モレロのドラムは、とにかくバス・ドラムが強力なんだよ。俺が出したい音はこれだもの。セットは50年代〜70年代にかけて22″×14″BD、13″×9″TT、16″×16″FTのラディックなんだけど、音色がとにかく魅力的で、“これぞ60年代ラディック!”というサウンドはもちろん、“ズドン!”というバス・ドラムの音は本当に憧れたよ。打面ヘッドにガーゼかタオルか貼っていて、ハル・ブレインもそうだったんだけど、あの時代のドラマーは、みんなバス・ドラムの打面に何か貼ってるんだよ。だから響きが“ドゥン”くらいの短い音で、フロント・ヘッドには帯ミュートも装着しているし、余韻があんまり広がらないようなサウンドになっていて。
(三浦さんも打面のミュートは試しました……?)—もちろんやったよ。ただ演奏するバンド・メンバーとの関係もあって、全体のバランスが取れれば良いんだけど、ガンガンやるような音楽だとミュートしているわけだから、あんまりうまくいかなくてね。それにヘッドにガーゼやタオルを貼らないといけないから、いちいち剥がさないといけなくて面倒でしょ? だから俺は、ライヴ中でも脱着できるように、ビーター自体にテニス用のリストバンドをハメてみたり、子供用の靴下を履かせてみたり、ビーター側を工夫することでジョー・モレロ達がいた頃のサウンドに近づけていたよ。
テクニック的なところに関しては、ジョー・モレロってドラム・ソロのときなんかに素手で演奏することがよくあるんだけど、これがカッコいいんだよな。俺もマネしてやったりすることがあるんだけど、やっぱりジョー・モレロや(パパ)ジョー・ジョーンズを参考にやっているわけであって、ボンゾではないんだよ。たまに「手で叩いてボンゾみたいでしたよ」と言ってくれる人もいるんだけど、“いや違うんだよね……”って(笑)。実は遙か昔から手で叩くことはあったんだっていうことを知らない人もいるけど、俺はジョー・ジョーンズとジョー・モレロの2人が素手で叩いている動画は絶対に観た方がいいと思う。あとは、それをいかに自分なりに演奏するかだよね。ジョー・モレロなんかは素手で叩くといってもそんなに細かく指を使わないんだよ。でも表現の幅はすごく広いし、ちゃんとメリハリがあって、ロックにはない魅力があるんだよな。
(ジョー・モレロの魅力は?)—やっぱり単純に巧いよね(笑)。『アット・カーネギー・ホール』の「キャスティリアン・ドラムス」での10分にもおよぶドラム・ソロなんていつも圧倒されるし、未だに聴くと気づかされることはたくさんあるし、未だに勉強にもなるんだよ。昔は音で聴くだけしかなかったから“どうやって叩いてるの?”で終わっていたけど、今は演奏している映像がネットでたくさん観られるけど、ちゃんとコントロールしているなっていうのがわかる。60年代中期あたりはいつ観てもすごいなと思うよ。
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