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    Drummer’s Disc Guide – 2025 Winter

    Winter 2025

    【A】=アルバム 【M】=ミニ・アルバム 【E】=EP 【V】=DVD、Blu-ray


    【A】Simon Oslender & Steve Gadd & Will Lee『All That Matters』

    d:スティーヴ・ガッド

    スティーヴ・ガッドとウィル・リー
    唯一無二のリズム・セクション

    スティーヴ・ガッドとウィル・リーのリズム・セクションと聞いてすぐに思い浮かぶのが、ジャズ・トランペッターのアート・ファーマーが1977年にレコーディングしたアルバム『Crawl Space』のタイトル曲におけるお二人のコンビネーションです。ドラムとベースはかくも一体となれるものなのかという驚きと感動を覚えました。ドラム教則ビデオのパイオニア、DCIの初期作品に収録されたデュオ演奏も衝撃的でした。コンテンポラリー・ミュージックにおいてドラムとベースはどうあるべきかについて、お二人から学んだことは自分の心の深い部分に刻まれています。サイモン・オスレンダーもこの唯一無二のリズム・セクションに最大の敬意を払いつつ、オルガンを主軸にしたR&Bテイスト溢れる楽曲の中で時に激しく熱く、時にリラックスして音のキャッチボールを楽しんでいます。傘寿を過ぎて益々精力的なスティーヴさんの活躍ぶりに大きな勇気をいただいています。(神保 彰)

    ◎Disc Information
    【参加ミュージシャン】スティーヴ・ガッド(d)、サイモン・オスレンダー(key、org、p)、ウィル・リー(b)、ブルーノ・ミュラー(g)、ジェイコブ・マンズ(sax)、ニルス・ラングレン(tb)

    輸入盤(配信リリース) 発売日:2024.12.31

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    【A】キース・ジャレット・トリオ『ジ・オールド・カントリー~モア・フロム・ザ・ディア・ヘッド・イン』

    d:ポール・モチアン

    キース・ジャレットと、ポール・モチアンが共にした作品にいつもわくわくさせられます。ポールは60年代半ばから70年代前半まで、トリオやカルテットというフォーマットのしっかりとある状態で、彼らの新たな音楽の創作や演奏上の方法を試みる深い理解者として関係が強くあるミュージシャンの1人ですが、それから時間が経って、16年ぶりにキースとポールが公に共演したアルバム、『At Deer Head Inn』のオルタネート・テイク集です。80年代からジャック・ディジョネットとゲイリー・ピーコックと、スタンダードを題材にトリオで彼らの音楽を進めていく中、ポールがここでこの音楽を演奏している状況に想像が掻き立てられて興奮します。ミディアム・アップなスウィング曲の息の合い方はもちろん、やはりM2のポールのアプローチは美しすぎます。キースのイントロからアウトロまでずっと美しいです。ブラシの圧の質量、タップする重力の扱い、ハーモニに対するカラーリング。また感動をいただきました。ポールとキースの共演作品達を、年代を追って歴史と共にあらためて聴き込みます。(石若 駿)

    ◎Disc Information
    【参加ミュージシャン】ポール・モチアン(d)、キース・ジャレット(p)、ゲイリー・ピーコック(b)

    発売元:ユニバーサル 品番:UCCE-1212 発売日:2024.11.08

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    【A】東京スカパラダイスオーケストラ『35』

    d:茂木欣一
    per:大森はじめ

    イカしたオトナのお手本ここにあり
    スカッとさせてくれること間違いなしの1枚

    35周年!? もうそれだけで素晴らしいじゃないでスカ! 冒頭からキースさん( あえてそう呼ばせていただきます)のドラムが炸裂、各パートの音は瑞々しく迸り、そのアンサンブルには脱帽であります。自分なら顔しかめて力んでしまうようなリズム・パターンも、実に軽快に、だけどとても強くしなやかに次々と繰り出され、キースさんの太陽のようなビッグ・スマイルが見えてくるようです。日本のみならず世界中を飛び回り、観ている人達を無条件に晴れやかな気分にさせ、その名の通りパラダイスへと誘ってくれるスカパラのパフォーマンスは、35年という時の流れの中で直面した数々の出会いや別れ、喜びや悲しみ、それらすべてを引き受けひたすら前進し続ける男達が鳴らす音に裏づけられているのではないかと思います。イカしたオトナのお手本ここにあり。確かな演奏、彩り豊かな楽曲、歌声相まって、スカッとさせてくれること間違いなしの1枚。(クハラカズユキ)

    ◎Disc Information
    【参加ミュージシャン】茂木欣一(d、vo)、大森はじめ(per)、川上つよし(b)、加藤隆志(g)、沖 祐市(key)、NARGO(tp)、北原雅彦(tb、euphonium)、GAMO(sax)、谷中 敦(sax、fl)、宮崎朝子/ TAKUMA / SUPER
    EIGHT/菅田将暉/てれび戦士(vo)、他

    発売元:cutting edge/JUSTA RECORD 品番:CTCR-96098 発売日:2024.10.23

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    【V】King Gnu『King Gnu Dome Tour THE GREATEST UNKNOWN at TOKYO DOME』

    d:勢喜 遊

    スネアの合間を縫うハイハットの自在さが
    ライヴになるとますますの鋭さを帯びる

    映像なのになぜこんなにも3次元的な躍動感に満ちているのか。冒頭「SPECIALZ」のいわゆる“ライヴ・ビデオ”では、異常とも言える常田のギター・ソロさながら(観れば伝わる)の破天荒なカメラ・ワークが先導するように、バンドとそれを取り巻くすべてにまで徹底したグルーヴの一貫性が存在するように思う。この作品に関わる者(人)と物(機材)すべてによる一大セッション絵巻。メンバーが駆る多種な楽器以外の小道具までもが“鳴って”いる。勢喜のドラミングについては、タイトに打ち込まれるスネアの合間を縫うハイハットの自在さがライヴになるとさらに有機的となり、ますますの鋭さを帯びる。乱暴な括りではあるが、J-POP史上におけるハイハットの解放を聴かせてくれた中盤の「白日」を筆頭に、随所で見られるハイハット・ワークの素晴らしさたるや。メンバーそれぞれ笑顔の瞬間も多く、友人同士が交わすセッションの延長としての東京ドームと取れるところがもう、めちゃくちゃにカッコいい。(庄村聡泰)

    ◎Disc Information
    【参加ミュージシャン】勢喜 遊(d)、新井和輝(b)、常田大希(g、vo)、井口 理(vo、key)

    発売元:Ariola 品番:BVXL-133~134 発売日:2024.09.25

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    【A】Snow Patrol『The Forest Is The Path』

    d:坂田 学

    アッシュ・ソーンのドラムは力強くタイト
    スタジアム・コンサートをイメージさせる

    1994年にスコットランドのグラスゴーで結成された北アイルランド/スコットランド人の混成ロック・バンド“スノウ・パトロール”8枚目のアルバム。2023年にベーシストとドラマーが脱退しており、今作は3人のメンバーが中心となって制作された。「この作品は自己の内面に向き合ったリフレクション(反映)である」と語る彼らの歌や音には心を掴まれてしまう何かがある。スケールの大きなサウンドの中に凛とした静けさが潜んでいるところが、U2やコールドプレイと通じると感じた。アッシュ・ソーンのドラムは力強くタイトで、スタジアム・コンサートをイメージさせる。1つの物語のようにドラマチックで美しいロック・アルバムです。(坂田 学)

    ◎Disc Information
    【参加ミュージシャン】アッシュ・ソーン(d、per)、ネイサン・コノリー(g、cho)、ジョニー・マクデイド(key、b、g、cho、etc.)、ギャリー・ライトボディ(syn、g、vo、etc.)、ベン・エプスタイン(b)、他

    輸入盤(配信リリース) 発売日:2024.09.13

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    【A】Richard Spaven『SOLE SUBJECT』

    d:リチャード・スペイヴン
    per:オリ・サヴィル

    1拍目にキックを鳴らさなかったり
    スリップ・ビートが合わさって
    えも言われぬ浮遊感が生まれている

    リチャード・スペイヴンの楽曲は、リズムが自由に泳げるように、ドラム以外のパートがあまりリズムを定義しないよう、アンビエントなアプローチのプレイに徹するシーンが多い。そこで1拍目にキックを鳴らさなかったり、2・4拍目にスネアが来ないスリップ・ビートが合わさって、えも言われぬ浮遊感が生まれている。ギターのスチュアート・マッカラムの演奏が素晴らしく、先進的なエフェクトをちょうど良い塩梅で配合するセンスはさすがで、このバンドの核になっていると感じた。僕のお勧めはタイトル曲の「Sole Subject」。MEINLのYouTubeで「SideⅡSide」の演奏を初めて見たときの感動が蘇った。(大井一彌)

    ◎Disc Information
    【参加ミュージシャン】リチャード・スペイヴン(d)、オリ・サヴィル(per、piano)、イヴ・フェルナンデス(b)、ステュアート・マッカラム(g)、サム・クロウ(key)、ジョニー・ウッドハム(tp)、グラエム・ブレヴィンス(fl)、ナタリー・ダンカン/フリーダ・トゥレイ/Thendai(vo)

    輸入盤(配信リリース) 発売日:2024.11.14

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    【A】BUCK-TICK『スブロサ SUBROSA』

    d:ヤガミ・トール

    いつもながら圧巻のダークな世界観あり
    よりタイトにキレキレなヤガミ・トール・ビートが冴え渡る

    優しさから流れ出す今作、いつもながら圧巻のダークな世界観あり、どこか懐かしいメロディ、よりタイトにキレキレなヤガミ・トール・ビートが冴え渡る! 常日頃から研究に研究を重ねる永遠のドラム小僧が初心に返るジャングル・ビート、唄心に寄り添う鉄壁なビート、まるでアニキのために書かれたような「遊星通信」と多彩な17曲が一気に身体に沁み渡る。拝聴前、いちファンとしてかなりの緊張感があったが、やはりB-TはB-Tだった。そしていつものようにバンドの道しるべとなり未来へと導かれる。結成から40年近く経つ“BUCK∞TICK”の第2期が始まった! このアルバムを一番楽しみに待っていたのも喜んでいるのもあのお方だろう。(Tetsu/D’ERLANGER)

    ◎Disc Information
    【参加ミュージシャン】ヤガミ・トール(d)、樋口 豊(b)、今井 寿(vo、g)、星野英彦(g、vo)

    発売元:ビクター 品番:VICL-70283 発売日:2024.12.04

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    【A】Toshiyuki Mori『azurite』

    d:沼澤 尚

    名プロデューサーでありキーボーディストの森 俊之による、キャリア42年にして初のソロ・リーダー作。ダンサブルで展開豊かなデジタル・ポップから、匠達が織りなす楽器のアコースティック・サウンドを贅沢に味わえるナンバーまで、多彩な楽曲が揃う本作でドラムをプレイしているのは、ユニットのDEEP COVERや、スガシカオをはじめとする数々の作品で共演してきた盟友=沼澤 尚。そのドラムの心地良いシャッフル、そしてロー・ピッチなスネア・サウンドには温かく楽曲を支える包容力がありながら、シンバルを絡めたトリッキーなフィルといったギミックも光る。その上で森が紡ぐ、軽やかで、時に艶やかな鍵盤の旋律。それらが不意にバッチリと合うキメにも、長年の信頼関係が窺える。(高橋里沙/リズム&ドラム・マガジン編集部)

    ◎Disc Information
    【参加ミュージシャン】沼澤 尚(d)、森 俊之(p、syn、organ、etc.)、松原秀樹(b)、古川昌義(g)、本田雅人(sax)、藤堂昌彦弦楽四重奏(strings)、吉田美奈子(vo)

    発売元:Azurite music 品番:AZ-0001 発売日:2024.12.04

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    【A】DEZOLVE『Asterism』

    d:山本真央樹

    ドラミングと同様にソング・ライティングの進化も顕著
    日本のみならず世界へと届いて欲しいサウンド

    このアルバムを聴く前に、“山本真央樹YouTubeチャンネル”からドラムRECのドキュメント映像を観て、とてつもない衝撃から始まっていました(これはドラマー諸氏なら必見!)。その上で完成された音を聴き、バンド全体でのクオリティにまた圧倒されています。デビュー10周年ということで“若手”という文字も必要としない貫禄すら感じるのは、メンバー個々がさまざまな現場でも活躍し、成熟しているからでしょう。その経験をフィードバックさせつつ、彼らの原点である“フュージョン”の未来へと挑み続ける姿が頼もしいですね。真央樹氏はドラミングと同様にソング・ライティングの進化も顕著。日本のみならず世界へと届いて欲しいサウンドです。(山本雄一/RCCドラムスクール)

    ◎Disc Information
    【参加ミュージシャン】山本真央樹(d)、兼子拓真(b)、北川翔也(g)、友田ジュン(key)

    発売元:キング 品番:KICJ-874 発売日:2024.10.09

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    【A】mouse on the keys『midnight』

    d:川﨑 昭

    単純な明暗や色調では割り切れない不思議な引力で
    聴き手を“ここではないどこか”へと誘う

    かつてポスト・ハードコアの範疇で語られていたmouse on the keys は、そうしたラベリングや典型的なバンド・サウンドからは遠い場所に辿り着いている。しかし時系列に照らせば、それは独自のセンスに基づいた過去と地続きの現在位置だということがわかるだろう。このアルバムを聴くことは、11の構造物の内外を巡る“体験”に近い。それぞれの楽曲が単純な明暗や色調では割り切れない不思議な引力で聴き手を“ここではないどこか”へと誘う。重奏が1つの有機的な流れになる場面もあれば、行間を残したシンプルな場面もあり、そのすべてにドラム奏者、音楽家としての川﨑 昭のセンスが光っている。M6のドローンとドアの開閉音とか最高に好きです。(木暮栄一/the band apart)

    ◎Disc Information
    【参加ミュージシャン】川﨑 昭(d、key)、新留大介/白枝匠充(p、key)

    発売元:fractrec/felicity 発売日:2024.11.01

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    【A】摩天楼オペラ『六花』

    d:響

    多点キットを操る響の
    鬼神の如き手数、足数が冴えまくる

    トレモロ・リフ、ブラスト・ビート、曲によってはスクリームを取り入れたりと、デス/ブラック・メタルの要素を取り入れ攻撃性を増した楽曲達に、多点キットを操る響の鬼神の如き手数、足数が冴えまくる! 一方で、演奏がエクストリームな方向に振り切ろうとも苑のハイトーンを軸とした優雅な歌メロは今作でも際立っていて、それらを巧みに調和させるアレンジにはバンドの止まることのない進化を感じる。荒涼とした大地を彷彿とさせる前半から、苦難のトンネルを抜けた 果てに広がる美しい銀世界……そんなイメージを喚起する物語性豊かなアルバム構成も見事だ。シンフォニックかつプログレッシヴな展開で楽器隊の技巧が頂点に達するインストのM7は個人的に必聴!(岡安鋼樹)

    ◎Disc Information
    【参加ミュージシャン】響(d)、燿(b)、優介(g)、彩雨(key)、苑(vo)

    発売元:amairo records 品番:AMIR-0013 発売日:2024.12.18

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    【E】-真天地開闢集団-ジグザグ「Gran ∞ Grace」

    d:影丸

    ライヴでの再現が想像できるような
    温かなバンド・サウンドが魅力

    絶妙なバランスでヘヴィさとポップさが織り込まれた楽曲が魅力的な1枚。EP全体を楽しめるのはもちろん、ライヴに参戦したときに盛り上がることが想像できるような作品です。M1から、ツイン・ペダルを駆使した派手な高速フィルが存分に生かされた迫力あるドラミングを楽しめます。EDM要素があるM2は、ジャストでタイトなグルーヴ・ビートが聴きどころ。ライヴでの再現が想像できるような、温かなバンド・サウンドが魅力の1つです。コンプでダイナミクスを潰すサウンド感にしすぎることなく、ナチュラルなミックスで収録されており、彼の安定したプレイがあるからこそ、ヘヴィな楽曲や電子的なパーカッションが多い楽曲にもよく馴染んでいるように感じます。(川口千里)

    ◎Disc Information
    【参加ミュージシャン】影丸(d)、龍矢(b)、命(vo、g)

    発売元:Crimzon 品番:CCR-047 発売日:2024.11.06

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