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ジョージ・コリアスに学ぶ超高速ツーバスの極意

  • Interview:Rhythm & Drums Magazine Translation:Miki Nakayama Analysis:Michiaki Suganuma Photo:Taichi Nishimaki Movie:Shigeki Azuma Special Thanks:ISAO、Sliver Elephant

世界最高峰のフット・ワークの秘密を大公開!

BPM280を超える超高速ツーバスで世界の度肝を抜いたギリシャの鉄人=ジョージ・コリアス。ここでは彼が2017年に来日した際に、そのフット・ワーク・テクニックについてレクチャーしてくれた教則映像(2017年8月号付録DVD収録)を公開! 世界最高峰とも言える”足技”の秘密が明らかに!!

【ジョージ流高速ツーバス・テクニック】

ツーバス・レクチャーではまず、ツーバス・ドラマーのライヴを映像で分析してみると、右足が95%で、左足はわずか5%しか用いていないと指摘。さらにほとんどの場合、右足がリード・サイド(左足はスレイヴ・サイド)として機能していると、プレイの断片を使って説明する。ツーバスの練習法レクチャーということで、左足のトレーニング方法を伝授してくれるのかと思いきや、右足が何より重要と最初に断言。左足を右足のレベルまで動かせるようにする訓練は大前提というが、左足リードの練習はあまり意味がないとも語っているのも印象的だ。

続いて右足だけでプレイする場合と、両足で“ドコドコ”プレイする場合の違いについて説明。右足だけでプレイするときは左足に重心を置きながら(踏ん張りながら)、右足を自由にアップ・ダウンさせることができるが、両足の連打では両足が中に浮く形となり重心バランスが大きく変化し、そこには大きな”ギャップ”が存在すると解説。そのギャップに左右されず右手、右足のリズム・キープを常に崩さないようにするために提示したトレーニングがEx-1である。

右手を4分でキープするハーフ・タイムのパターンで、右足だけの8分と両足の16分のバス・ドラムを2小節ごとに切り替える練習で、その転換での8分のアプローチがポイント。これを繰り返すことでバス・ドラム操作における“ギャップ”が克服され、リズム・キープ部分の小節数を増やしていけば、耐久力の養成にも役立つとのこと。ここでポイントとなるのは、右手と右足のリズム・キープ(シンクロ)に意識を集中させること。両足で踏んでいるときにも、右足のタイミング“だけ”に、常に意識を置くことが必要だとも説明している。この練習はテンポを上げていくと連打もキツくなり、右半身に意識を集中してないと手足がバラバラになってしまうだろう。なるほど! 実に効果的な練習法である。

この右手&右足への意識の集中は、彼がよく用いるEx-2のようなブラスト・ビートにも有効で、2Aのパターンを叩いているときも、意識では2Bのように捉えていると語る。要は身体の動き全体に気を取られることなく、“ビートの焦点”にだけ意識を集中できるかがポイントで、逆を言えば意識できないような速いテンポでのプレイでは、まだ不完全ということかも知れない。

【ジョージ流フット・テクニック〜奏法解説〜】

奏法解説では、高速フット・ワークが要求される場面での踏み方=モダン・ヒール・アップ奏法について解説。ヒール・アップ奏法(音量は出せるがスピードが出し難い)と、ヒール・ダウン奏法(スピードは出せるが音量が上げ難い)を混合した奏法で、カカトをやや上げた(ヒール・アップ)状態で、ヒール・ダウンのようにつま先を上下させペダルを押し下げるという動かし方だ。私見になるが、これはスネの筋肉と、足のウラからふくらはぎにかけての筋肉をバランス良く用いる奏法と思われる。さらに彼のトレード・マークとも言えるスウィーベル奏法。足首の動きは上述した奏法そのまま、カカトを左右にスウィングさせているという。本人曰く“バランスをより良くするための感覚的な動き”とのこと。このとき膝も軽く左右に動き、太股にまったく力が入っていないのが映像からわかるだろう。

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