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    Column-円熟を増し続けるマスター=スティーヴ・ジョーダンの“現在”

    • Photo: Al Pereira/Getty Images
    • Text:Takashi Numazawa

    『That’s What I Heard』/Robert Cray Band

    1986年、キース・リチャーズ・プロデュースのチャック・ベリーの“Hail Hail Rock N’ Roll”で初共演したロバート・クレイ……1999年にグラミーを獲ったアルバム『TAKE YOUR SHOES OFF』、オリジナル・メンバーと共に自身のJay Vee Recordsからリリースした、2017年の“ROBERT CRAY&HI-RHYTHM”から、今度はすべてにおいて完璧で強烈なR&Bアルバムをプロデュース。セット全体を適度な強さとトーンでコントロールしながら、単に音量の大小だけではないダイナミックスの変化を録音する……恐ろしく高度な技術と豊富な経験と特別な音楽性があって初めて可能になるとあらためて痛感……。

    『Walk』/Bonnie Bishop

    グラミーを獲ったボニー・レイットのアルバム『SLIPSTREAM』への楽曲提供で知られた、テキサス州オースチティン出身で現在はナッシュビル在住のシンガー・ソングライター=ボニー・ビショップの最新作。驚異的な引き出しの多さで、細部の細部まですべてを知り尽くし、もちろん自ら演奏して総合的なプロデュースしているのが各楽曲ではっきりわかる……どんなアーティストでも、どんな音楽でも、常に同じように心から感じたことだけを演奏するので、もしその音楽にコネクトできていなかったら、自分の仕事ができていないということだから、そこでいろいろなリサーチを始める、とは本人の言葉だが……全プロデュース作品がこんな次元で完成されることにただただ驚く。

    『Threads』/Sheryl Crow

    LAのローカル・クラブで、それもコーラス担当で見かけていた彼女が、ソロ・デビューした途端にグラミーを獲りまくる大スターに……2002年リリースのアルバム『C’mon C’mon』からのシングル曲で、グラミーのベスト・ロック・パフォーマンスを授賞した「Steve McQueen」はスティーヴ・ジョーダンの強烈なグルーヴこそがこの曲に命を与えたとしか思えなかった。そして約4年をかけて豪華すぎるビック・スター達をゲストに迎えた最新作をほぼ全面的にプロデュース! 何よりもまずはグルーヴ、1曲も同じではないドラム・サウンド、必要というときだけのフィル、各楽曲に何が必要か決してスタイルに捉われない発想と閃きが完璧&明確すぎる……メジャー感満載の見事なアメリカン・ロック・アルバム!

    スティーヴの最新インタビューも必見