NOTES
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“煩悩の数”だけリズム・パターン108
- 講師:菅沼道昭
- 演奏(Jazz & Fusion):能村亮平
- イラスト:伊藤丈丸
Pops編
オールディーズ~
アニソン系まで15パターン
Pops編はオールディーズから最新のポップス、流行のアニソンまで、さまざまなジャンルを取り込みながら進化してきた歌モノのパターンや、ダンス・ビートを中心とした、実用的な15発!
Pops 01 8ビートの王道“ゴールデン・リズム”
オールディーズ~ザ・ビートルズの時代に確立された8ビートの基本型。“ゴールデン・リズム”という呼び名はその汎用性の高さを示しているとも言えよう。ロック的な“ドンタン・ドドタン”というパターンとのノリの違いがポイント。( )のバス・ドラムはディスコ・ビートのパターンの一例。
Pops 02 典型的な“タテノリ”ディスコ・ビート
ディスコ・ビートは70~80年代にディスコ(今のクラブ)でかけられていた音楽の特徴を示すもので、その形は多様だが、これはその中で典型的なバス・ドラム4分打ちの“タテノリ・ビート”。ハイハットのウラ(アップ・ビート)を強調するのがポイントで、今ではロ ックでも使われる。(ROCK 06参照)。
Pops 03 現代版ディスコ~テクノ・ビート
ディスコ~テクノで特有の“ウチータチー”のハイハットをキープしつつバス・ドラムに動きを加えたハイブリッドなアプローチ。ここではロッズでプレイしサウンドに特徴を持たせているのもポイント。バラードに近いテンポ感でのグルーヴ作りのバランス感覚に優れたアプローチと言える。
Pops 04 モータウン系での変型ビート
ポップス界に多大な影響を与えたモータウン・レコードの曲でしばしば見られるパターン。エキゾチックな雰囲気も醸すアプローチで、1拍目のハイハットのアクセントのつけ方がグルーヴのポイント。温故知新と言うか、一般的なポップスやロックのパート演奏にも参考となるアプローチ。
Pops 05 リム・ショットとレギュラー・ショットを併用したアプローチ
バラードで多用されるリム・ショットと通常のスネア・ショットを併用したパターンで、その中間的な感覚はパートのプレイによっては大いに効果を発揮するアプローチ。右手でリムを同じに叩くフラム打ち奏法は“ゴスペル・チョッパー”が昨今よく用いる叩き方である。
Pops 06 タムやアクセントで彩りを加えた8ビートのアプローチ
ポップスでは特に刻みのアクセントやタムを用いて彩りを加えるアプローチがよく見られる。これはそうしたバリエーションの1つで、バス・ドラムとスネアはシンプルに一定のビートをキープしているのがポイント。いわゆるオスティナート(定型フレーズの反復)的な用法とも考えられる。
Pops 07 ハーフタイムの定番バウンス・ビート
クールなリズム感を演出するハーフタイムのバウンスしたグルーヴ。バス・ドラムの空間性がグルーヴのカギで、( )で示したように均等な8ビート(ゆっくりした16ビート)としても有効なアプローチ。R&B、ヒップホップ、ファンクなどのジャンルにおいても使われるパターンである。
Pops 08 ゴースト・ノートが決め手の“シャッフル”
バーナード・パーディがスティーリー・ダンの「安らぎの家」でプレイして有名となった、いわゆる“パーディ・シャッフル”。3連の間に入るスネアのゴースト・ノートがポイント。これが接着剤的にグルーヴを滑らかにしている。ファンク・ビートのスネア・テクニックの流用とも考えられる。
Pops 09 ロックンロール~モータウンから引き継がれたブギー・ビート
かつてのR&Bではブギーとも称されたダブル・タイムの感覚を持ったシャッフル・ビート。現在でもポップスなどで使われる伝統のパタ ーンと言える。ほとんど4分をキープしていてバス・ドラムのウラ打ちだけがバウンスするポイントとなるので、安定したスウィング感のキ ープがカギとなる。
Pops 10 キース・カーロック式左手リードの3連ビート
ドラムのグルーヴにこだわるスティーリー・ダンに起用された超人ドラマー、キース・カーロック得意の3連パターンで、左手リードの手順でアクセントに彩りを加える叩き方がポイント。これによりスネアのバック・ビートも右手で叩くことができ、グルーヴ重視の手順のマネジメントが光る。
Pops 11 ポップス流レゲエ・パターン
マヌ・カチェが得意とするポップスにおけるレゲエ的なアプローチ。“ワン・ドロップ”の手法は踏襲しつつハネのないストレートなビート感によるパターン。リム・ショットの入れ方がポイントで、最後の2拍はフィル的にさまざまなバリエーションを加えて叩いている。
Pops 12 スピード感満点のバウンス16ビート
現在人気上昇中のポップ/ロック・グループ、ダーティ・ループスの楽曲でも使われているパターンの1つ。“ドッチン・タッチン”というアップ・ビートのパターンにバウンスした16ビートの感覚を加えたアプローチ。彼ら特有の複雑なパターンではないがスピード感が際立つアプローチ。
Pops 13 荘厳なタム回し型パターン
中島みゆきの「地上の星」で山木秀夫が繰り広げた、タム回し型のパターンをアレンジ。ヒット曲なだけにドラムにはあまり意識がいかない人が多いと思うが、タムを使った曲への“フィット感”は素晴らしい。エスニックというよりもむしろ荘厳な感じを演出しているところがポイント。
Pops 14 メカニカルなケーデンス的パターン
ポール・サイモンの代表曲におけるスティ ーヴ・ガッドの歴史に残る名リズム・パターン。メカニカルなリニア・アプローチは使っているが、リズムとしてはマーチングのドラム・ラインの“ケーデンス”の感覚に近い。曲とのマッチ感と言い、唯一無二の構築美を持ったガッドらしいパターンである。
Pops 15 ファスト・テンポに効果的なリム・ショット・アプローチ
Supercellの楽曲に見られるようなスピード感に富むリム・ショットを使ったパターン。静かなモードでスピード感だけは維持したいといったパートの演奏には効果を発揮しそうなアプローチと言える。かつてのポリスのスチュワート・コープランドを思わせる細かなリム・ショットが特徴。
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