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“煩悩の数”だけリズム・パターン108
- 講師:菅沼道昭
- 演奏(Jazz & Fusion):能村亮平
- イラスト:伊藤丈丸
Jazz & Fusion編
4ビート系から
他ジャンル応用フレーズまで
20パターン
Jazz & Fusion編は、基本となる4ビート、コンピングのフレーズや、さまざまな音楽を巻き込んだフュージョンで独自に発展してきたフレーズ、個性的なシグネチャー・フレーズなど、計20発!
Jazz & Fusion 01 4ビートでのシンバル・レガート
ジャズのリズムは4ビートと呼ばれ、そのスウィング感を出す源にして唯一のパターンとも言えるのがシンバル・レガートである。左足で2、4拍のハイハットを踏むのが特徴。ハイハットで“チーチッチチー”とやる場合はウラからオープンがつながっていくのがポイントで、クローズはアタマだけ。
Jazz & Fusion 02 オフ・ビートのスネア(コンピング)にアクセントを加える
ジャズのプレイで欠かせないのが左手のスネアでアドリブ的に入れる合の手のような、コンピングと呼ばれるフレーズである。この多くはオフ・ビート(ウラ打ち)で、シンバル・レガートを生かすようなタッピング(弱音)が基本。ここに示したのはそれにランダムな強音を入れた形。
Jazz & Fusion 03 シングルとダブルを組み合わせたコンピング・バリエーション
コンピングにスネアのダブル・ストロークを併用するのも定番のアプローチで、これはシングルとダブルのコンビネーションによるフレ ージングを示したもの。ここでもシンバル・レガートの音量が優位に立つバランスでプレイするのが肝心で、シングルの部分はランダムに強音にしても良い。
Jazz & Fusion 04 コンピングにバス・ドラムを加えたアプローチ
スネアのコンピングにバス・ドラムを絡めたアプローチの例。バス・ドラムもあまり強く踏まない方が良い。2、4拍で踏むハイハットは休符をカカト、2、4拍をつま先といった具合いにシーソーのように動かすと左足が安定しバス・ドラムも入れやすくなる。その直前にグレイス・ノートを入れるのもミソ。
Jazz & Fusion 05 ファスト・テンポの4ビート
シンバル・レガートは速いテンポになるとバウンス感がなくなり16分の感覚に近くなってくる。ここに示したのはそうしたファスト・テンポでのアプローチの一例。速くなるとコンピングの音数も減ってくるのが特徴。4拍目に左足のつま先でハイハットを“シャーン”と鳴らすのは定番。
Jazz & Fusion 06 シンバル・レガートとファンクが融合したフュージョン・パターン
これはシンバル・レガートのスウィング感とバック・ビートを伴うファンク的なグルーヴが融合したまさに“フュージョン”的なパターン。 8分ウラでハイハットを踏むのもジャズ的な感覚の表れ。スウィングとファンクの両方を理解してはじめてグルーヴできるアプローチと言えるだろう。
Jazz & Fusion 07 ハイハットを片手で刻む16ビート
“チッチチ・チッチチ”という16分の音型を片手で刻む16ビートのパターン。このちょっとテクニカルなフィーリングもフュージョンならではで、ハイハット・オープンを使うとサンバのような雰囲気も出る。ラテン・ビートの感覚との融合もフュージョンの大きな要素の1つである。
Jazz & Fusion 08 アクセントの移動を加えた3連ビート
3連のビートにアクセントのひと手間加えたアプローチ。これによりグルーヴもモダンな感じに一新される。このハイハットのアクセントは2拍目から始まる2拍3連とも解釈でき、バス・ドラムと互い違いに絡んでいるところがポイント。さまざまなリズムに現代的な味つけを施すのもフュージョンの魅力。
Jazz & Fusion 09 パラディドルの手順を用いたテクニカルなパターン
パラディドルの手順を用いてメカニカルで多様性を持ったパターンを構築するのもフュ ージョン的アプローチの1つ。右手のフレーズに変化が生じる点も特徴で、スネアのゴースト・ノートのコントロールがカギとなる。パタ ーンに応じて複数の手順のパラディドルを使 っているのもポイント。
Jazz & Fusion 10 ライドとハイハットを併用したスティーヴ・ガッド発祥のアプローチ
スティーヴ・ガッドがフュージョン・ドラミングにもたらしたシグネチャー・アプローチ。右手はライドとスネアを行き来し、左手はハイハットを叩く形で、サウンドの広がりと多様性を合わせ持ったフュージョンならではのパターン。ノリとしてはサンバとファンクが融合したような感覚である。
Jazz & Fusion 11 フュージョン的なサンバ・アプローチ
本格的なブラジリアン・リズムの特徴を利用しつつ、アクの少ないすっきりとした音使いによって汎用性も高いパターン。右手の刻みはウラ打ちをやや強めに叩き、タッチも軽やかな感じでプレイするのがグルーヴのポイント。サンバ系のフュージョン・パターンの種類は数多い。
Jazz & Fusion 12 ジェフ・ポーカロのハイブリッドなエスニック風パターン
今は亡きジェフ・ポーカロの考案したタムを多用したエスニック風のパターン。ハーフ・タイムの16ビートながら独特のノリの良さを持ったアプローチ。手順を分析するとダブル・パラディドルとパラディドル・ディドルの併用となるが、注目すべきはそのコーディネーシ ョンの素晴らしさ。
Jazz & Fusion 13 レゲエ感覚を流用したアプローチ
レゲエ感覚を伴うハーフ・タイムのパターンで、なぜかフュージョンで非常によく用いられるアプローチ。ポイントは小節の境い目でチェンジアップ的にあらわれる16分のフレージング。これによりグルーヴの意味合いも大きく変化している。さまざまなジャンルで使えるアプローチ。
Jazz & Fusion 14 デイヴ・ウェックル流“ハチロク”ビート
アフロ・キューバンの特徴の1つ、6/8拍子による通称“ハチロク”ビートのパターン。デイヴ・ウェックルが多くのアルバムで用いているものはだいたいこのアプローチに近く、フュージョン的なハチロク・ビートの代表と言っても良いだろう。ここでもライドとハイハットを絡めている。
Jazz & Fusion 15 リニア手法によるフュージョン的リズム・ワーク
スネアのゴースト・ノートを多用したスピーディーなリニア・パターン。スネアのダブル・ストロークを多用しているので素早く叩ける上に16分の3つ割りのハイハットのフレーズが浮き立って聴こえるという特徴もある。手順を組み替えることでフレージングも変えやすいというところもポイント。
Jazz & Fusion 16 左手の動きを自由化させたフュージョン型アプローチ
これもライドとハイハットを絡めたパターンで、ポイントは左手の動きを駆使しているところ。右手はほぼ8分をキープしていてリズムの流れはすべて左手が担っている。フュージョン的なフレキシブルなリズム・ワークを生み出す手法としては欠かせない要素と言えるだろう。
Jazz & Fusion 17 “ゴスペル・チョッパー”御用達のハイハット・ワーク
ゴスペル系ドラマーはフュージョンとの関わりも強く、そうしたドラマーの多くが使うハイハット・ワークを用いたのがこのパターン。ハイハットに柔軟に16分を組み入れているのがわかると思うが、ポイントはバック・ビートのスネアをすべて左手で叩ける手順になっているところ。
Jazz & Fusion 18 スネアをスリップさせたフュージョン・パターン
これもフュージョンらしいファンキーなアプローチで、スネアのバック・ビートを前後にスリップさせながら独特な流れのビートへ再構築しているのがポイント。これもデイヴ・ウェックルのスタイルによるパターンの1つで、カ ップのアクセントを入れる位置がグルーヴのカギとなっている。
Jazz & Fusion 19 クリス・デイヴ流の自在なリズム・ワーク
クラブ・ジャズ、ヒップホップ、R&Bなどさまざまなジャンルで活躍するクリス・デイヴの独特なリズム・ワーク。ハーフ・タイムのパターンで、ハイハットのリズムがユニーク。 途中バス・ドラムとリニアの関係になっているのがポイントで、こうしたフレージングをアドリブで変化させている。
Jazz & Fusion 20 リニアを絡めた超テクニカル・パターン
超テクニカルなプレイで定評のあるロナルド・ブルーナーJr.のフレキシブルなファンキー・パターンの1つ。ダブル・ストロークの2打目にアクセントをつけるハイハットのメリハリのつけ方がポイントで、これにより特有の躍動感が加味される。これもスネアを自由化したアプローチの1つ。
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