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【連載】博士 山本拓矢がデジマートで見つけた今月の逸品 ♯3〜Dragonfly Percussion Kick Drum Beater〜
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- Photo & Text:Takuya Yamamoto
- illustration:Yu Shiozaki
今月の逸品 【Dragonfly Percussion Kick Drum Beater】
2020年に発売され、2021年に輸入が始まった、Dragonfly PercussionのKick Drum Beaterです。
ティンパニのフランネルマレットのような構造で、円盤上に切り出した生地を重ねてビーター・ヘッドとしています。素材違いでハード、ミディアム、ソフトの3種類が販売されていて、主にハードとミディアムを使用しています。
① KDL-Hard Leather Beater
私自身、過去に32″〜36″のコンサート・バス・ドラムを演奏していた経験から、ドラム・セットのバス・ドラムは口径も小さいし、タム類もスティックで演奏するのだから、“ウッド・ビーターで演奏しても良いのでは?”と考え、ウッド・ビーターを常用していた時期もあるせいか、比較的硬めなビーターを好む傾向があります。そんな感覚の前提を踏まえた上で、現代の一般的なフェルト・ビーターに近い感覚で演奏できると感じるのが、レザーが用いられたハードのモデルです。樹脂やウッドに比べると柔軟性があるおかげか、アタックのまとまりがよく、タイトな芯と、十分なローエンドが得られます。
② KDC-Medium Canvas Beater
キャンバスを用いたミディアムは、表面の柔らかさと押し込んだときの硬さへのグラデーションが独特で、フェルトに比べるとわずかに柔らかめなトーンを生み出します。表面の変形具合いが絶妙で、ソフトなタッチで鳴らすときのコントロール性にゆとりが感じられ、シビアになりすぎないところにある種の扱いやすさを感じます。
この2本を用意して、その日使用するバス・ドラムの口径や、ヘッドのコンディション、定めるチューニング・レンジに対して、適切な輪郭が出せるどちらか一方を選択するのが、近頃の気分です。
今回取り上げたビーター以外も、レコーディングを中心にいろいろと使い分けています。耐久性など、優劣が生まれるパラメーターもありますが、音が良いビーターというものは存在せず、どれも異なる音色を引き出す選択肢でしかありません。今まで純正しか使ったことがないという方も、スティックやペダル同様に、いろいろと試してみてはいかがでしょうか。
Profile
ヤマモトタクヤ●1987年生まれ。12歳でドラムに出会い、高校時代よりプレイヤーとして音楽活動を開始。卒業と同時に入学したヤマハ音楽院にて、さまざまなジャンルに触れ、演奏活動の中心をジャズとクラブ・ミュージックに据え、2013年、bohemianvoodooに加入。 音楽と楽器の知識・スキルを生かして、ドラム・チューナーとしてレコーディングをサポートしたり、インタビュー記事や論説などの執筆業を行うなど、音楽全般への貢献を使命として活動中。
Twitter:https://twitter.com/takuya_yamamoto
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