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    クリス・スレイドがドラマー引退を発表|AC/DCなどで活躍した名手が60年以上のキャリアに幕

    • Photo by Jim Steinfeldt/Michael Ochs Archives/Getty Images

    トム・ジョーンズ、デヴィッド・ギルモアを筆頭に数々のアーティストを支え、AC/DCのメンバーとしても活躍したクリス・スレイドが、引退することを発表。自身のバンドのSNSに動画を投稿し、7年前に患った脳卒中の影響が悪化し、身体を思うように動かすことができなくなったことを理由に挙げている。

    さまざまなバンドから求められた
    パワフルかつ安定感抜群のプレイ

    ウェールズ出身のクリスは兄の影響でドラムを始め、マーチング・バンドなどでプレイ。ジャズ・ドラマーではバディ・リッチやトニー・ウィリアムス、ロック・ドラマーではイアン・ペイスに影響を受けたという。

    プロ・ドラマーを志し、弱冠16歳でトム・ジョーンズのバック・バンドに加わり、キャリアをスタート。その後、マンフレッド・マンズ・アース・バンドの創設期を支え、ユーライア・ヒープ、ゲイリー・ニューマン、デヴィッド・ギルモア、ゲイリー・ムーアなど、イギリスのロック・シーンを代表するアーティスト達と次々に共演してきた。

    さらに、ジミー・ペイジとポール・ロジャースを中心に結成されたザ・ファームにも参加。ソリッドなタイムと確かなテクニックを武器に、ジャンルやバンドの垣根を越えて活動の幅を広げていく。

    そんなクリスのキャリアを語る上で欠かせないのが、やはりAC/DCでの活動だろう。サイモン・ライトの後任として迎えられ、1990年発表の『The Razors Edge』に参加し、代表曲「Thunderstruck」などでプレイ。巨大なステージを支えるパワフルかつ安定感抜群のドラミングで、世界中のロック・ファンにあらためてその名を轟かせた。

    60年以上のキャリアを誇る
    名手が引退を決意した理由を推測

    1994年、バンドの黄金期を担ったフィル・ラッドの復帰に伴い、AC/DCを離脱。その後はエイジアやマイケル・シェンカーらと活動を共にし、自身のバンド=THE CHRIS SLADE TIMELINEも始動。2014年には再びAC/DCに復帰し、ワールド・ツアーを回るなど、精力的な活動を続けてきた。

    1984年のモダン・ドラマーのインタビューでは、「自分の身体を思い通りに動かせるかどうか。ドラマーにとって、それはとても重要なことなんだ。ドラムは頭で演奏するのと同じくらい、身体を使って演奏するものだからね。ものすごくフィジカルな行為だし、ドラマーになるには、ある種の資質が必要なんだと思う」と語っていたクリス。フィジカルをドラミングの根幹と考えていた彼だけに、脳卒中の影響で、自分の身体を思うように動かせなくなったことは、引退を決断する上で大きな意味を持っていたのかもしれない。

    トム・ジョーンズからマンフレッド・マンズ・アース・バンド、デヴィッド・ギルモア、ユーライア・ヒープ、ザ・ファーム、ゲイリー・ムーア、エイジア、そしてAC/DCまで。60年以上に及ぶキャリアを通して、さまざまなアーティストと共に時代を駆け抜けてきたクリス・スレイド。歴戦の名手が80歳を目前にスティックを置く。