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マーカス・ギルモア|偉大なる祖父=ロイ・ヘインズを語る【アーカイブ】
- Translation&Interpretation:Akira Sakamoto
- Photo:Tuneo Koga/Special Thanks:Blue Note Tokyo
本日6月20日、そして明日21日にブルーノート東京で来日公演を行うマーカス・ギルモア。圧倒的なテクニックを駆使し、緻密にコントロールされたアプローチを繰り広げる現代最高峰のドラマー。昨日インタビューを公開したスナーキー・パピーのラーネル・ルイスも「モンスター」と絶賛する凄腕である。ここでは来日を記念して、「受け継がれる“ドラミング”のDNA」と題した2025年10月号の特集で行った彼の最新インタビューを抜粋して公開。祖父であるレジェンド、ロイ・ヘインズについて語った内容となっている。
祖父のスタイルと異なるのは
生きてきた時代の違い
僕はヒップホップやサンプリングを
多用した音楽を聴いて育った
祖父も視野が広かったけど
僕が育った環境は祖父のそれとは違う
受け継がれる可能性はあるけれど
最終的には本人次第
●あなたにとっての最初の楽器はドラムではなく、ピアノだったそうですね?
マーカス:ピアノを始めたのは、家にピアノがあったからで、ドラム・セットがなかったからだよ(笑)。もちろんピアノも大好きだったし、とにかく楽器を弾くのが好きだったんだ。ピアノは打楽器的な性格もあるしね。最初に手に入れたパーカッションはボンゴで、まだ4歳の頃だったけど、叩き始めてすぐ自分にとって自然なもののように感じたんだ。すでにピアノを始めていたけど、それとは違って、まるで自分自身の延長みたいな感じがしたんだ。そしてその後、ドラムを始めたときに、これこそが自分のやるべき楽器だと思ったよ。
●ドラムは10歳の誕生日に祖父であるロイ・ヘインズからプレゼントされたそうですね。
マーカス:そう。祖父は最初の頃、僕が本当にドラムをやりたがっているのかを疑っていたんだ。母親が祖父を説得してくれていたんだけど、納得してもらうまでに2〜3年はかかったよ。それで、10歳の誕生日にドラム・セットを持ってきてくれたわけだけど、僕の人生で最高の日の1つになったよ。祖父が実際に仕事で使っていたドラムで、マジなプロ用のセットだったから、とても重い意味を感じたんだ。
●ロイ・ヘインズから直接ドラムを教わったことはあるんでしょうか?
マーカス:正式な形でレッスンを受けたことはなかったけれど、祖父の演奏はしょっちゅう観ていたし、録音したものも聴いていろいろなことを吸収したよ。それこそニューヨークのブルーノートには8〜9歳くらいの頃からよく行っていたし、12歳くらいの頃からはヴィレッジ・ヴァンガードにも行くようになった。ちょうどその頃から店内に禁煙になったということもあって、子供でも行きやすくなったんだ。
●プロ・ドラマーになろうと思ったのも、その頃からですか?
マーカス:セットを手に入れたのは10歳になってからだったけれど、7歳の頃にはプロのドラマーになろうと真剣に思っていたよ。
●その時点で特別なものを感じてしまいますが、ドラミングの才能は血筋によって受け継がれるものだと思いますか?
マーカス:もちろん可能性はあるだろうけれど、最終的には本人次第なんじゃないかな。血のつながっている息子や孫でも、楽器に対して祖父や父親と同じぐらいの愛情を感じるとは限らないからね。才能についても、神様から与えられるものなのかもしれない。親兄弟が音楽をやっているからと言って、自然にその感覚が遺伝するわけじゃないと思うよ。
●なるほど。あなたの演奏を初めて観たのは2010年にゴンサロ・ルバルカバと来日したときで、ロイ・ヘインズとは異なるスタイルだなぁと思ったことをよく覚えています。
マーカス:僕が祖父と異なるスタイルを持つようになった理由の1つには、生きてきた時代の違いがある。祖父は1920年代、僕は80年代の生まれで、僕は僕の時代の音楽……例えばア・トライブ・コールド・クエストのような80年代に花開いたヒップホップや、サンプリングを多用した音楽を聴いて育ち、後から(ジョン)コルトレーンやサラ・ヴォーン、セロニアス・モンクといった伝説的なミュージシャンについて学んだ。祖父も視野が広くていろんな音楽を聴いていたけれど、僕が育った環境は祖父のそれとは違う。後から祖父の時代の音楽を研究したとはいえ、僕には僕の時代の感覚があって、それがすべてにおいて祖父のスタイルと少し違う理由になっているんだと思う。

ロイ・ヘインズ以外に影響を受けたドラマーの存在や、テクニックの礎となったクラシック・パーカッションで学んだことなど、多岐に渡って語るインタビューの全編は月額990円の読み放題サービス(いつでも解約可能:こちら)で読むことが可能。特集ではジョン・ボーナムの息子であるジェイソン・ボーナムのアーカイヴ・インタビューや、日本で最も忙しい河村“カースケ”智康と河村吉宏の親子対談なども掲載しております。