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    バーナード・パーディ|伝説のグルーヴ・マスターが語る「ドラマーに大切なこと」【アーカイブ】

    • Interview:Seiji Murata/Translation:Akira Sakamoto
    • Photo:Taichi Nishimaki

    ソウル/R&Bを中心に、ロック、ポップ、ジャズ、カントリー&ウェスタンなど、あらゆる音楽スタイルに参加し、「地球上で最も多くのレコーディングに参加したドラマー」とも称されるグルーヴ・マスター=バーナード・パーディ。本日6月11日は彼の84回目の誕生日。現在も第一線で活躍を続け、2024年の来日ツアーも記憶に新しい。ここでは、その来日時に実現した対面インタビューを再掲載。譜面読解の習得法やスタジオ・ワークの流儀、そして「規律なくして学びなし」と語るパーディの哲学を、本人の言葉から振り返る。

    どんな仕事でも規律を覚えることが
    肝腎だということを理解する必要がある
    規律がなければ何も学べないし
    何年ももの時間を無駄にすることになる

    ●譜面の読み方は、具体的にどうやって覚えたのでしょうか?
    パーディ
    :(レナード)ヘイウッド先生のところでは、譜面を読む必要があったんだ。私のところにはピアノもギターもなくて、手に入れられるのはオートハープだけだったから、それを使って音を覚えた。ヘイウッド先生のもとで10年間、いろいろなことを学びながら、譜面の読み方も覚えていったんだ。その後も、ニューヨークの公立学校で音楽を教えていたスタジオ・ドラマーのスティックス・エヴァンスのもとで、視覚的に楽譜を読む力を向上させるためにトレーニングもしたよ。モーガン州立大学でも、レコーディング・スタジオで仕事をするようになってからも、譜面を読む必要に迫られていたからね。私には“写真”のように正確な記憶力があって、ピアノに置いてある譜面を見て、すぐに口ずさむことができる。私にとってはシンプルなことだけれど、すべてはヘイウッド先生のもとで言われた通りにやっていたおかげなんだ。

    Cory Wongが昨夏開催したサマー・キャンプでプレイするパーディ

    ●では、譜面を読んで、そこに要求されていることを正確に再現するのと同時に、あなた自身の解釈=創造性を加えるというバランス感覚のようなものは、どのようにして身につけたのでしょうか?
    パーディ
    :それについては、こう説明するのが良いと思う。つまり、私のやることはすべて、両親や家族から必要なことを教わった結果なんだ。音楽に限らず、どんな状況においてもね。私の祖父は庭師の仕事をする傍ら、ワインも作っていた。それで私は、彼がブドウを扱うのを手伝っていたわけだけれど、そのとき祖父は、ある作業をするように言うのと同時に、「どうやったらいいか?」と質問もしてくる。つまり、より良い方法を考えるっていうことにも私の責任があったわけだ。

    幼い頃には、ノース・カロライナまで行って、父親が祖父と一緒に、祖父の育てたタバコやスイカ、ピーナッツ、ニンジンを収穫するのも手伝ったし、父親と祖父が鉄道工事の仕事をするときにも手伝った。レールを枕木に固定するための6インチぐらいある釘を打ち込むのをね。そんなふうに、農作物の収穫から鉄道工事から、あらゆることを手伝ったんだ。私はそれが何であれ、やり方を教わって、より良い方法を自分で考え、そしてその作業をうまくこなすのが好きだった。父親も祖父も私の仕事ぶりを認めて、私を必要としてくれていた。私はそうやって育ったんだ。庭仕事だろうが農作業だろうが、何でもこなしてね。私が生まれた街のメリーランド州エルクトンでは、父親からアパートの清掃を頼まれたこともある。父親が他の仕事でお金を稼ぐためにね。そうやって、両親に限らず、私は誰かから何かを頼まれれば、その手助けをしながら生きてきた。私にとってそれは、面倒なことでも何でもないんだ。一生やってきたことだからね。

    そして、レコーディング・スタジオでそれをやるのは造作もないことだし、音楽の仕事だから楽しくやっている。しかも、1テイクで決めるんだ。1テイクで決めて、次に行く。1曲あたり10ドルもらっていて、それはメリーランドで2時間仕事をしてもらう金額よりもはるかに高かった。それでも、私はどんな仕事でもしっかりやる。相手に敬意を払うためにもね。敬意を払うことは大切だ。私はずっとそうしてきた。どうしても気に入らない人がいたら、私はただ距離を置く。たとえ弱虫とか何とか言われてもね。

    2024年にはソロ・アルバム『TESTIFY』をリリース

    ●ドラマーにとって大切なこととは何でしょうか?
    パーディ
    :私は演奏の仕事をする一方で、教育にも携わってきたけれど、自分の心の声を聞く必要がある一方で、自分は黙って他の人達に自分の考えを代弁してもらうことも大事だと思っているんだ。それは私にとって、とても難しい。というのも、自分が答えを知っていながら、他の人にも考えてもらって、それぞれに答えを見つけてもらわなきゃならないわけだからね。でも、彼らがそうするのを支援することも大切なんだ。音楽業界は私にそうしてくれてきたし、私も世界中の生徒達に対してそうしている。何かを学びたいと思ったら、いつでも生徒になれる。何かを質問すれば学ぶ立場になれるんだ。でも、彼らが学ぶ立場にいるということを、こちらからわざわざ伝える必要はない。質問に対する答えを持っているなら、その方向を示唆するだけでいい。

    ヘイウッド先生から「君はいずれ先生になる」と言われたときには困惑したけれどね。私が「僕は先生になんかなりません。だって、先生は同じことを毎日、毎週、毎月、毎年言っているのに、誰も聞いていないじゃありませんか!」と言うと、先生は「君の言う通りだ。でも、君は先生になる」と言う。私には返す言葉がなかったよ。私はレッスン料を払っていなかったしね。つまり、“タダ”で教えてもらっていた。家族にはレッスン料を払う余裕がなかったからね。でも、私は本能的に自分が将来ドラマーになるとわかっていた。3歳のとき、1ブロック先の家からドラムの音を聴いたときにそう思ったんだ。幼くて何もわからない子供がわけのわからないことを言っていると思われたくなかったから、人には言わなかったけれど、私はさっき話したようにして、すべてを学んだ。そんなふうに、どんな仕事でも規律を覚えることが肝腎だということを理解する必要がある。規律がなければ何も学べないし、何年ももの時間を無駄にすることになる。しゃべってばかりいて、聞くことをしないからだ。そこには大きな違いが出るんだ。

    伝説のドラマーが語る自身のルーツ