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    Featured Drummer|Tetsuが語るD’ERLANGER新作『Evermore』

    • Photo:Takeshi “Guts” Nakatani/Hiroshi Tsuchida/Akito Takegawa(Live)
    • Photo:Atsuro Takada/TAGO STUDIO TAKASAKI(Gear)
    • Interview:Isao Nishimoto

    D’ERLANGERが、11作目のオリジナル・アルバム『Evermore』を4月にリリース。前作から約2年7ヵ月ぶり、再結成から19周年というタイミングで発表された本作は、メンバー4人が集まって音を出すというロック・バンドの原点をこれまで以上に感じさせる仕上がり。ドラムと楽曲の一体感も素晴らしく、お馴染みのツーバス多点キットを駆使したフィルインやコンビネーション・フレーズが華を添える。この記事では、現在ツアー真っ最中のTetsuにインタビューした内容からおよそ半分を掲載。アルバム収録曲についてさらに詳しく聞いた部分は会員限定記事(こちら)で公開しているので、ぜひ併せてお読みいただきたい。

    『Evermore』の全曲をドラム視点で詳しく解説した有料会員限定記事はこちら

    コロナ禍のライヴを経験したファンは
    声を出せるありがたさを知っている

    ●ツアー(取材は5月5日/スケジュールはこちら)が始まったばかりですが、手応えはいかがですか?
    Tetsu:新しいアルバムが出てすぐのツアーなので、今のところは非常に慎重に、CDのプレイに忠実にやっています。多分これからどんどんアレンジが入っちゃうと思うんですけど、それは単純にさらに上へという気持ちと、自分が若い頃、好きなバンドのライヴでレコードとは違うフィルとかを聴くと、ライヴに来てよかった感があったので、もっとカッコ良いフレーズをやっちゃおうかな、みたいなところはあります。CDと同じ演奏を聴きたいという気持ちもわかりますけどね。今はまだレコーディングしたフレーズが身体に入っているので、かなりCDに忠実です。

    ●今のD’ERLANGERは、春から全国を回るツアー、秋には首都圏でのサーキット・ツアーを行う活動サイクルが定着していますね。
    Tetsu:あまり休むと身体が忘れちゃう感じもあるし、メンバーの年齢的に、やり続けた方が健康にも良い(笑)。もちろん、こればかりはお客さんが入ってくれないとできないことなので、ライヴ・ハウスで全国を回れているというのはありがたいです。

    ●D’ERLANGERのライヴは、バンドとお客さんの作る空気がとても良いなと感じます。お客さんからは拍手だけでなく歓声が上がったり、曲と曲の間もメンバーの名前を叫んだり……それって決して当たり前じゃないと思うんです。
    Tetsu:僕らはコロナ禍でもツアーを結構やっていたけど、あのときは声を出せなかったじゃないですか。 マスクもしなきゃいけなかったし……あの異様な空間でどうやって表現しようかなっていうところで、ロック・バンドなのにグッズでペン・ライトを作ったりとかして、ライヴをどうやって楽しんでもらおうか、自分達もどう楽しもうかなといろいろ考えたんです。それを経験しているファンの人達は、声を出せることがすごく貴重なことだって多分わかっているんじゃないかな。

    ●確かにそうかもしれませんね。
    Tetsu:僕ら自身も、コロナ禍が終わって、もうマスクを外して声を出せるようになったライヴのことは鮮明に覚えています。いろんな意味で“戻ったんだな”って思いましたし、ファンの人達もみんなそういうのを感じているんだと思います。

    ●ライヴでアクリルのキット(Pearl Artisan Custom Titanium Clear Chrome)を使うようになってしばらく経ちますが、さらによく鳴るようになったとか、そういう印象はアクリルでもあるのですか?
    Tetsu:もう2年くらい使っていますけど、特にキックは鳴るようになったと感じます。ルックス面でも、光の加減でクローム・シェルに見えたりするところはライヴ向きですよね。一方、レコーディングではカーボンプライ・メイプルのシルバーのキットを使ってます。今回の『Evermore』もそうですけど、録音したときのローの出方が抜群で、今は良い感じで使い分けができていると思います。

    ●シンバルもいくつか新しいものを導入していると聞きました。
    Tetsu:セイビアンのロゴが新しくなった以降のモデルをまとめて試す機会があって、その中から選んだAA Spotlight Crashを右手側のクラッシュにしました。スティクスのドラマー(トッド・サッチャーマン)がセイビアンと共同開発したシンバルで、耐久性もバッチリ。サイズは20″が今のキットにうまくハマりました。

    あと、一番左手側のクラッシュをパールのスタッフからお薦めされたB8XのO-Zone Crashにして、Cymbitsというシズルを付けています。爆音の中だとシズルの効果はほとんど聴こえないけど(笑)、ファンクラブ限定のクリスマス・ライヴで毎回やっているアコースティック・コーナーとかでは威力を発揮すると思います。

    伝えたい、ちゃんと残しておきたい
    そんな意識がより濃くなった

    ●最新アルバム『Evermore』は、ライヴで披露済みの曲が半分くらいを占めているんですよね。
    Tetsu:通常盤だけに入っている「You’re gonna be the one that saves me」を含む5曲がライヴで演奏していた曲です。D’ERLANGERは年がら年中ツアーをやっているので、やっぱり新曲があった方がいいわけですよ。そうやってライヴで演奏してこなれている曲と、そうではない真っさらな曲のバランスをどうやって取るかというのも、今回のアルバム作りでは意識したところです。

    ●ツアーで新曲を披露するときは、ライヴのリハーサルで作っていくわけですか?
    Tetsu:そうですね。CIPHER(g)が作った弾き語りのデモを基に、バンドで演奏しながら仕上げます。アルバム用の新曲を作るときも同じで、街にある普通のリハーサル・スタジオに何日か入って作ります。街のリハスタの良いところは、個人練習で入っているドラマーがたくさんいて、猛烈に練習している音が聴こえてくること。それがすごく刺激になるんです。“ドラム会”(正式名は“ドラム飲み会”。毎年1回、キャリアもジャンルもさまざまなドラマーが年始に集い、参加者は総勢200人以上に及ぶ。Tetsuはその中心メンバーの1人。)に呼びたくなっちゃうくらい(笑)。

    ●その『Evermore』ですが、一言で言うと、温かみを感じるアルバムでした。
    Tetsu:おお~!

    ●サウンド面でもギラギラした攻撃性より芯の太さが前に出ていて、切実なトーンのある歌と響き合っている印象を受けました。
    Tetsu:いつもコンセプトを立てて作っているわけじゃないんですけど、今回はどことなく優しいイメージはありました。D’ERLANGERの良さって、いつでも初心を忘れないでいるところだと思っているんですけど、今回はちょっと年輪も感じましたね。

    ●kyo(vo)さんとCIPHERさんのインタビューをそれぞれWebで読んだのですが、前作『Rosy Moments 4D』から約2年半の間に起きたいろいろな出来事が反映されて、こういうアルバムになったということを話されていて。
    Tetsu:周りでいろんな方が亡くなったりとか、そういうことですよね。

    ●はい。
    Tetsu:そうなると僕達は、もうやれることをやれるだけやろうっていう気持ちになるし、やれることが本当に幸せだって思うし……個人的には、“伝えたい”とか“ちゃんと残しておきたい”っていう意識が、より濃くなりましたね。今までは、ただ思うがままにやればいいと思ってたんですけど。

    ●D’ERLANGERはV系の先駆者とも言われたりして、あまり知らない人からすると、コンセプチュアルで作り込まれた音楽をやっているイメージがありそうですが、実際は今どきめずらしいくらいまっすぐで剥き出しのロック・バンドだと思います。ライヴでクリックを使わないというのもそうですし
    Tetsu:うんうん。

    ●そんなところが、『Evermore』では今まで以上にわかりやすく出ていると感じました。
    Tetsu:確かに、どんどん当たり前のロック・バンドになっている気がします。そこも年齢的なものがあるのかもしれませんね。