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大阪から世界へ復活の狼煙! SAKAE OSAKA HERITAGE Vol.03
- Text:Yusuke Nagano
- Interview:Rhythm & Drums Magazine
- Movie:Kazuki Kumagai
- Photo:sencame
Talkin’ about Evolved ③ 大喜多崇規[Nothing’s Carved In Stone]
SAKAEのドラムの核……響くように鳴るドラム
その部分は変わらないけど、良い意味での違いを感じた
Evolvedは試作品の中でも4.5段階あるらしくて、僕が使っているのはわりと初期のロットなんです。だから製品化されるセットとはちょっと違うと思うんですけど、使うようになってもう2年くらい経つと思います。第一印象としては、僕がこれまで使ってきたThe Almighty MapleやCelestialに比べて中域のパンチが増えたなと思いました。特にライヴで使ってみて感じたのは、これまで素直だった部分に、ミッド・ローがプラスされると暴れ気味になるんだなっていうことで、今までのSAKAEのドラムは素直な鋭さが持ち味だったと思うんですけど、そこに色がついたというか。核となる部分……響くように鳴るドラムというところは変わらないんですけど、良い意味での違いを感じましたね。
レコーディングでは『By Your Side』で試したのが最初なんですけど、相変わらずマイク乗りが良くて、エンジニアの細井(智史)さんも“このドラムは良いね”って言ってましたね。いろいろ比べてみたくて、ビスタライトとかいっぱい持ってきて、比較してみたんですけど、上から下までレンジが広くて、作る場所が変わっても、そのあたりはSAKAEらしいなと思いました。ただプロトタイプの段階ではレンジが広過ぎて、エンジニアさんによっては調整するのが難しいという声もあったらしいです。入力に対しての反応が鋭すぎたので、それを抑えるとか、製品化する上で、いろいろな調整が必要だったみたいです。その他に進化を感じたのはヘッドを変えたときの音色の違いですね。かなりガラっと変わるんです。クリアを張るとツブ立ちがハッキリした明瞭な音が出るんですけど、コーテッドを張るといきなりしっとりとしたウォームな音に変わって、よっぽどシェルがしっかりしてないと、ここまでヘッドの違いが表れないと思うんです。より幅広い音作りができるようになったのは大きな魅力ですね。でも実はまだ、製品化されるドラムを叩いたことがなくて、早く試してみたいです。
ずっとSAKAEのドラムを使い続けてきたのは、音色が好きなんだなってあらためて思うんです。僕も含めSAKAEを使うドラマーが一時期、すごく増えたじゃないですか? それで注目もされるようになってきたところで、ああいう形で会社がストップすることになって悔しかった。やっぱり部品の供給がないと不安もあるんですけど、僕が真っ先に他のメーカーに移るのはカッコ悪いし、何よりもSAKAEの音が好きなので、とにかく壊れるまで使い続けようと思ったんです。ストップしている間も辻さんはサポートしてくれて、いつかは復活すると信じていました。みんなそうだと思いますけど、やっぱりSAKAE=辻さんっていうイメージは僕の中ですごく大きいです。SAKAEに期待することですか? 個人的には早く新しいスネアを作ってほしいです。今持っているのは昔のモデルなので、今使っているEvolvedのセットに組めるスネアが欲しいっていう話は辻さんにもしているんですよ。セットの次に、辻さんがどういうスネアを作るのか、かなり期待しています。
Ohkita’s Evolved
リズム&ドラム・マガジン 2021年1月号に掲載!