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    大阪から世界へ復活の狼煙! SAKAE OSAKA HERITAGE Vol.02

    • Text:Yusuke Nagano
    • Interview:Rhythm & Drums Magazine
    • Photo:Takashi Yashima(Gear)/sencame

    Talkin’ about Evolved ② 神田リョウ

    エイジングされてさらに良くなってきた
    育てる楽しさもちゃんとあるドラム

    僕が使わせてもらっているEvolved Mapleは試作品の2号機で、わりと出来立てホヤホヤの状態で、すぐドーム・ツアーに投入したんですよ。正直、全然良くて……というかめちゃくちゃ良かったんですよ。いきなりツアーに投入したのは、まだ育っていない新品をツアーで使ったらどのくらい仕上がるのかなっていう期待も込めてなんですけど、最初からエンジニアの評価は高くて、フォーカスされているポイントがはっきりしているからなのか録りやすいみたいで、“探さなくても音がすぐ見つかる”って言われましたね。かと言って支配力が強すぎるわけでもなく、アンサンブルにちゃんと溶け込める懐の深さも兼ね備えているというか、ちゃんと音楽的なレンジの広さを持った良いドラム・セットです。優しくて力持ちみたいな感じ。

    正直言うと、辻さんが作るドラムだから大丈夫だろうとは思いつつ、“台湾製だしな”っていう変なバイアスが自分の中にかかっていたんですけど、周りの評価もそうだし、自分の耳に聴こえてくる音がすごく良くて、“国産ドラム”って逆のバイアスもあったんだなって気がつきました。ドラマガの月刊化時代にやらせてもらっていた連載(#月イチ1グルーヴ)の動画でも使ったんですけど、ぜひ音を聴いてみてほしいです。あの録音も届いてすぐの頃で、すでに良い音なんですけど、そこからドーム・ツアー、アリーナ・ツアー、あとは47都道府県ツアーの半分くらいを一緒に回って、育ってきたなっていう実感があるんです。エイジングされてさらに良くなってきて、育てる楽しさもちゃんとあるドラムですね。日本は多湿だから楽器にとって決して利のある環境とは言えないんですけど、逆にその壁を越えられる日本の技術力やアイディアって本当にすごいですよね。頭が下がります。

    インタビューで語っている動画がこちら

    今日もMASUO さんがチューニングした音を聴いて、新品なのに不思議とカラっと乾いた音がすることに驚きました。最初からそういう要素を持ってる楽器はかなりレアだと思います。そういうポテンシャルの高いドラムだからこそ、育てる意識を持って使ってみてほしいなと思うんです。コロナ禍でキャンプにハマってから余計にそう思うんですけど、新品のキャンプ・ギアにはワクワクがあってそれはそれでとても良いんですけど、キラキラした、お店に展示してあったときの輝きが見えるものってまだまだクールじゃなくて、ヘヴィ・デューティに使い古されたこだわりの光るギアの方が断然カッコいい。大切に愛情こめて扱っていく上で滲み出る輝きみたいな、楽器ってそういう楽しみ方を共有できるものだと思うし、使い続けていくと、やっぱり自分の音になっていくんですよね。もちろんヴィンテージにはヴィンテージの良さがあるんですけど、せっかく新しくて良いドラムが発売されるんだから、それを自分でヴィンテージに育てていくっていう楽しみ方をぜひ味わってほしいですね。そうやって育てた楽器が、次の世代にヴィンテージとして受け継がれていったら最高だと思いませんか。

    Kanda’s Evolved

    Nissyのドーム・ツアーでいきなり実戦投入した神田愛用のEvolved。初期のプロトタイプで、フィニッシュはホワイト・パール。サイズは22”×18”BD、10”×7”TT、12”×8”TT、14”×12”FT、16”×14”FTという構成。その後もライヴ/レコーディングで使い続けたことで、音色に変化が現れたそうで、育つ楽しみのあるドラムと絶賛! 

    リズム&ドラム・マガジン2021年1月号に掲載!

    SAKAE OSAKA HERITAGEの特集は、12月16日発売のリズム&ドラム・マガジン2021年1月号にも掲載しております。誌面では満を持して発表されるニュー・モデル=Evolvedの実力をさまざまな角度から徹底検証! 紙媒体ならではのグラフィカルなレイアウトで新生SAKAE、そしてEvolvedの魅力を掘り下げた、計20ページに渡る永久保存版の内容です!! その他にも神保 彰の40周年記念特集や誌上ドラム・コンテストの結果発表など、読み応え満点の1冊に仕上がっております!