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大阪から世界へ復活の狼煙! SAKAE OSAKA HERITAGE Vol.01
- Text:Yusuke Nagano
- Photo:Rittor Music
日本最古のドラム・メーカーであったSAKAEのレガシーを受け継ぎ、新たなブランドとして再生したSAKAE OSAKA HERITAGEが、2021年に満を持して新たなドラム・セット=Evolvedをリリース。生産の拠点を日本から、世界中のドラム工場が集結する台湾に移し、“Designed by OSAKA”を掲げ、大阪で開発/設計。これまでに培ってきた技術と経験を駆使し、現代の音楽シーンに最適なモデルに仕上がったという。ドラマガWebでは12月16日発売の『リズム&ドラム・マガジン2021年1月』と連動で、新生SAKAEにクローズ・アップ! まずは去る12月3日に行われたイベントの模様をお届け! さらに当日出演した則竹裕之のコメントも掲載!!
【Contents】
Vol.02〜Gear/Interview/Talkin’ About Evolved ②神田リョウ
Vol.03〜Laboratory Report/Talkin’ About Evolved ③大喜多崇規
Vol.04〜Test Report feat.リアド偉武/Evolved vs The Almighty Maple/Talkin’ About Evolved ④真太郎
SAKAE OSAKA HERITAGE 特設 HP
Event Report
Evolvedのポテンシャルをさまざまな角度から体感
12月3日にG-ROCKS下高井戸スタジオにて、SAKAE OSAKA HERITAGEの展示/試打会が開催されました。この日の目玉は、2021年にリリース予定のドラム・セット=Evolvedで、そのサウンドを体感するべく、ドラム専門店など全国のディーラー関係者や、SAKAEに縁の深いドラマー達が多く訪れました。会場は試打室、展示室、動画収録スタジオの3エリアに分かれ、2部屋が用意された試打室には、“Coral”というピンクとオレンジの中間のようなお洒落なカラーリングのセットと、“GRAPES”という2種類の葡萄をイメージした鮮やかなフェード系スパークルのセットを配備。キックはそれぞれ20″と22″とサイズが異なりますが、タム類はどちらも10″、12″、16″という構成でした。また室内にはメイプルの13”スネアの他、試作品としてフォスファー・ブロンズとウォルナットのスネアも置かれ、参加者が自由に試奏できるようになっていました。
続いて展示室に入ると、Evolvedの全28色のカラーリングをすべて網羅したディスプレイが目に飛び込んできました。平面的なカラー・チャートではなく、本物の10″のタムを使った展示は非常に臨場感があり、美しいシェルの仕上がりをリアルに感じられます。さらにその隣にはスピードとパワーを両立させた高機能ペダル、AXELANDORや、新色5種を加えたカラフルなカホンが計8台ズラリと並び、見るものを楽しませていました。
この日の最注目は、則竹裕之氏による動画収録。まずは村田隆行(b)、マサ小浜(g)、白井アキト(key)という凄腕メンバーと共に、ミドル・テンポのファンク・チューンをプレイ。冒頭は抑えた音量からスタートしますが、その中でもEvolvedの芯の太い音色を生かした推進力に満ちたリズムで、バンドを力強く牽引するプレイが光ります。各メンバーのアドリブ・パートでは、ダイナミクス豊かにイマジネーションを広げて、ドラマチックに展開。さり気なく使用する13″のサイド・スネアのキレの良い音色も、実に効果的だと感じました。さらに終盤は、うねりに満ちた渾身のドラム・ソロを披露してエンディングへ。今回使用したセットは、数日前に届いたばかりだということですが、それを感じさせない中低域の力強い鳴りに、ご本人も驚かれた様子。もちろん見学者にもそのサウンドの心地良さがしっかり伝わっていました。その後は則竹氏のソロ・パフォーマンスの収録へ。1テイク目が録音機材トラブルで、中断するハプニングがありましたが……気を取り直しての2テイク目は、アプローチを一変させてブラシからスタートさせ、ジャズ・テイストのビートを軸に、さまざまな音符を淀みなく繰り出し、多彩かつ繊細に、時に激しく表情を変える芸術的なプレイを披露。レスポンスの鋭さと、木の温かみを兼ね備えたEvolvedのポテンシャルを余すところなく引き出していました。
そして収録の最後は、SAKAE OSAKA HERITAGEのプロデューサーである辻 俊作氏のトーク・セッション。ここでは筆者がお相手を務めさせていただきましたが、開発者ならではのEvolvedの貴重で興味深いエピソードをたくさんうかがうことができました。こうして無事にイベントは終了となりますが、この日はNothing’s Carved In Stoneの大喜多崇規氏をはじめ、IKKI氏(HEAVENESE)、Kandai氏(Lenny code fiction)、峻洋氏(KOKI)、ハンちゃん氏(ミオヤマザキ)、ユウキ氏(Hello Sleepwalkers)といった、SAKAEを愛用するプロ・ドラマー達が多数来場。試打などを楽しみ、終了時間までドラム談義で盛り上がる彼らの明るくフレンドリーな振る舞いからも、SAKAEの一体感のあるアット・ホームな雰囲気が伝わってきました。ちなみに、この日に動画収録した則竹氏のパフォーマンスと辻氏のトークの模様は、後日webで公開される予定となっていますので、そちらもぜひ楽しみにしていただきたいと思います。