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    サイモン・フィリップスら豪華アーティストが集結! TAMA 50th Anniversary Party【Report】

    • Text:Rhythm & Drums Magazine Photo:Hoshino GakkI Hanbai co.,ltd.、Rhythm & Drums Magazine

    ブランド創設50周年の節目を迎え、1月に行われたThe NAMM Show 2024では、数々のアニバーサリー記念製品を発表したTAMA。1月26日、アメリカのライヴ・ハウスにて同メーカーが主催したプライベート・イベント=“TAMA 50th Anniversary Party”には、豪華ドラマー陣が集結! 超絶パフォーマンスやトーク・セッションで彩られた“祝祭”の模様をお届けしよう。

    一堂に会した超豪華アーティスト陣が
    TAMA Drumsで魅せた珠玉のテクニック

    Stage 1 – アリック・インプロタ

    1月26日、アナハイムのライヴ・ハウス&バー=The House of Bluesにて開催された“TAMA 50th Anniversary Party”。その目玉となるTAMAアーティスト達によるパフォーマンスのオープニングを飾るのは、抜群の身体能力を生かしたアクロバティックなドラム・パフォーマンスで注目を集めるメタル・プレイヤー、アリック・インプロタ。

    使用キットはアニバーサリー・モデルのStarclassic Mirageで、1バス、1タム、1フロア・タムに、サンプリング・パッドを配置。シーケンスが流れる中、スネアの高速オープン・ロールに始まり、メロディックな6連トライバル・ビート、疾走感溢れる16分プレイなど、多彩なドラミングを放つ。

    雄叫びを挟んでの豪快なタム回しや、一打入魂のストロークなどで演奏はクライマックスに近づくと、そこでアリックは何と、ドラムを叩く手を止めずに突如スローンの座面に飛び乗り、そのまま1回転ターンを決めて着席するという離れ業を披露! ドラム×スペクタクルを掛け合わせた唯一無二の超絶パフォーマンスで、オーディエンスを圧倒した。

    Special Talk 1:エイブ・カニンガム × ブラン・デイラー

    各出演者の転換中には何と、豪華ゲストがスペシャル・トークで登場! トーク・ゲスト1組目は、エイブ・カニンガム[デフトーンズ/写真中央]とブラン・デイラー[マストドン/写真左]。エイブはTAMAを使い始めて25年、ブランは20年にもなるとのことで、「TAMAは強力なブランドであり、彼らの製品は世界一美しくて、最も良い音を出してくれる。僕はTAMAのセットに座るたびにインスピレーションを受けるんだ。僕達は、彼らがバックアップしてくれるおかげで世界中のミュージシャンとつながれるし、安心してライヴができるんだよ」とTAMAへの感謝を述べた。

    Stage 2 – アニカ・ニルス&カズ・ロドリゲス

    転換を経て、ステージ両端にはアニバーサリー・モデル=Superstarシリーズのドラム・セットが並ぶ。そして次に登場したのは、ジェフ・ベックのツアー・サポートも務めた技巧派ドラマー、アニカ・ニルスと、ジョシュ・グローバンらのバックを務める傍ら、コンポーザーとしても活躍するカズ・ロドリゲスの2名。

    共に1バス、1タム、1フロア・タムのキット構成で、シーケンスのビートに合わせながらのツイン・ドラムでは、カズが繊細なシンバル・ワークを見せると、アニカはタイコ類でどっしりとしたドラミングを聴かせて応戦。アイコンタクトを取りながら、落ち着いたトーンでのアプローチの応酬が続いていたが、プレイは徐々にヒート・アップ。2人の構築するダイナミクスや豊かな表現力、アイディア溢れるドラムのストーリー展開に、会場からも歓声が沸き起こった。

    Special Talk 2:チャーリー・ベナンテ × デイヴ・ロンバード

    続いての転換では、昨年パンテラのライヴ・サポートとしても来日したアンスラックスのドラマー、チャーリー・ベナンテ(写真左)と、元スレイヤーのメンバーで、昨年はソロ・アルバムも発表したデイヴ・ロンバード(写真右)が登場。TAMAを使い始めたのは、チャーリーは1985年から、デイヴは79年からだそうで、デイヴは14歳のときに初めて手にしたSwingstarのドラム・キットを開封したときのことを振り返り、「造りの丁寧さにTAMAの職人技を感じた」と賞賛。

    なくてはならないアイテムについて聞かれると、デイヴは「ブロンズやブラスのハンマード・スネアが気に入っているよ。僕にとってスネアは、ドラム・セットの中で宝石のようなものなんだ」とのこと。チャーリーもまた、「スネアはドラマーにとって最も身近な楽器だと思う。10年前に作ってもらった僕のモデルは、今でもセットに欠かせないものだ。パンテラでも愛用しているよ」と、互いにスネアの重要性を語っていたのが印象深かった。

    Stage 3 – エロイ・カサグランデ

    ブラジル出身の超人ドラマー、エロイ・カサグランデは、ギタリストとのインスト・ユニット=CASAGRANDE & HANYSZとして出演。メタル調の楽曲シーケンスと、ギターとのプレイの中で、細かく複雑なフレーズをするすると繰り出すエロイ。1バス、1タム、そして2フロア・タムを両脇に配したStarclassic Mirageのセッティングを縦横無尽に叩くスティック・ワークが実に見事で、パワーと繊細さを瞬時に使い分ける鮮やかな金モノ使いは、まさに超絶技巧。加えてドラム台をも揺らすワイルドなプレイの数々にもオーディエンスは熱狂! 演奏を終えたエロイは最後にTAMAへの感謝を述べ、ステージを後にした。

    Stage 4 – ロバート’スパット’シーライト

    ピーター・アースキンやケニー・アロノフをはじめ、TAMAアーティストから届いたビデオ・メッセージが放映されたインターバルを経て、本編が再開。4組目の出演は、スナーキー・パピーの元メンバーで、2022年にはTOTOのツアー・ドラマーに抜擢されたロバート‘スパット’シーライト。

    使用セットはSTARシリーズで、1バス、3タム、2フロア・タムという多点セッティング。ドラム・ソロで幕開けし、パーカッシヴなドラミングでウォーム・アップしつつ、時に手数をグッと減らし、巧みなダイナミクス・コントロールで独自のグルーヴをもたらす。

    続けて、シーケンスやサンプリング・パッドを用いたハイブリッド・ドラミングも聴かせたところで、モノネオン(b)やマッケンジー(vo)ら、共演ミュージシャンがステージに登場。「Make some noise!」というロバートの呼びかけと共に、5人体制のバンド・スタイルでプレイされたレゲエ・ナンバーにより、ゆったりとしたグルーヴが会場を包み込む。続いてヴォーカルもシャウトする情熱的なアップ・チューンをラストに、名手達によるパフォーマンスは幕を閉じた。

    Special Talk 3:マイク・ポートノイ × ジョン・テンペスタ

    最後のトーク・ゲストは、ドリーム・シアターへの復帰がアナウンスされ、先日ザ・ワイナリー・ドッグスのツアーで来日したマイク・ポートノイ(写真左)と、エクソダスやホワイトゾンビ、テスタメントでのプレイを経て、ヘヴィ・メタル・シーンで20年以上に渡り活躍を続けるジョン・テンペスタ[ザ・カルト/写真右]。

    1983年頃からTAMAのドラムを使用しているというマイクは、持ち前のひょうきんなキャラクターでジョークを交えつつ、TAMAとの出会いを語る。初めて購入したキットはImperialstarシリーズで、ドリーム・シアターの初期のアルバム2作とツアーでも使用したとのこと。「TAMAは当時から最も協力的だった。ドリーム・シアターに戻った今これからも、この関係は同じように続いていくことだろう」とTAMAに深い信頼を寄せている様子だった。

    ジョンは、TAMAとのエンドースメント後にチャーリー・ベナンテのドラム・テックを務めたことにも触れながら、TAMAとのパートナー・シップについて語り、最後に「30年以上に渡って、スタッフのみなさんが与えてくれたすべてのサポートに心から感謝しています。50周年おめでとうございます」と結んだ。

    Final Stage – サイモン・フィリップス

    ラストを飾るのは、TAMAを愛用して45年(!)というレジェンド=サイモン・フィリップス。彼の使用セットは、STAR Mapleシリーズで、トレードマークの2バス、5タム、1フロア・タムの要塞セッティングの存在感は圧巻! 自身のバンド、“プロトコル”を率いての出演で、メンバーと息を合わせてユニゾンする楽曲に始まり、流麗さの中にスリリングなプレイを併せ持つハイレベルな変拍子ナンバーが次々と繰り広げられていく。

    中盤ではサイモンがステージ手前に立ち、TAMA50周年を祝福。「僕は愛着を持ってドラム・セットを使い続けたいが、進化を止めないTAMAからはすぐに新製品の提案がきてしまう(笑)」というジョークを挟みつつ、「どんな会社でも、長くつき合うには楽器が素晴らしいものでなければならないし、45 年間でTAMAの楽器も進化を重ねた。でも、一番大切なのは“人”なんだ」と、同メーカーでも縁深いスタッフの名前を挙げて感謝の言葉を述べていたのが印象深い。

    ドラム・セットに再び座ったサイモンは、マレットを手に取ると、ソロ・ドラム・パフォーマンスへと突入。鍵盤打楽器を鳴らすかのようなダイナミクスに富んだタムのアプローチに始まり、スティックに持ち替えてからは、スネアのオルタネート、さらには銃弾のごとく手数を炸裂させるなど、約5分間に渡って超絶ソロを繰り広げる。

    その迫力のままにメンバーとラストの曲目に入ると、バンド全体のエネルギッシュかつ圧巻のプレイに、会場のボルテージは最高潮を迎え、祝祭は大団円で締め括られた。超豪華アーティスト陣による珠玉のパフォーマンスを一挙に味わうと共に、彼らがTAMAと歩んできた道のりと、絆の深さも垣間見える貴重な一夜であった。

    TAMAの50周年記念モデルが発表されたThe NAMM Show 2024の模様をレポート!

    リズム&ドラム・マガジン2024年4月号