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ジョージ・コリアス監修! 究極のスムーズ&クイックネスを実現したフット・ペダル=Pearl DEMON XR完成!!
- Text:Yusuke Nagano/Photo:Takashi Yashima(Gear)
プロ・ドラマー3名が語るDEMON XRの実力
Review ① Natsu[NOCTURNAL BLOODLUST]
DEMON XRを使い始めて
それまで踏めなかったところを克服できた
DEMON XRを使い始めたのは、2021年の9月からです。僕はもともと、ずっとダブル・チェーンのモデルを愛用していて、ダイレクト・ドライヴは自分には合わないという印象があったんですけど、XRは同じダイレクトでも、過去に試したものと比べて、使い慣れるまでが格段に早かったですね。メインで使い始めて1ヵ月ぐらいで自然に扱えるようになったので、誰の足にも馴染みやすいんじゃないかと思います。
スピード特化型というのをはじめとして、特徴がたくさんあるペダルですけど、これまでのパールのモデルと比べると、フット・ボードが一番長くて、軽量化もかなり進んだように思いました。そこは速いツーバス・プレイをするときにけっこう重要になってくるところで……ボードは長い方がテコの原理を生かすようにして踏むことができますし、面積があるぶん踏み位置のベスト・ポジションも見つけやすいですね。重さも軽いものの方が、ビーターの角度やスプリングでの調整をしたときの反応も良いので、僕のプレイに合うモデルだと思います。
ボードの踏み位置は、僕の場合だと、ヒール&トゥを使うような速い楽曲ではボードのかなり後ろ側に足を下げるのに対して、ミドル・テンポの曲や、足首を柔らかくしてコントロールするような曲では、前方を踏んでいます。踏み位置を変えるだけでも幅広いプレイに対応できるので、万能だと思います。
スプリングがかなり強いというのも特徴的ですよね。僕はデフォルトの状態よりもネジ山をさらに5mm〜1cmくらい締めて使っています。速いテンポの曲を叩くときにビーターが重いとしんどいと思うことがあるんですけど、XRのビーターは踏み心地も軽いですし、シンプル・イズ・ザ・ベストというか。ハンマー型というのも“待ってました!”という印象でしたね。トリガーも使うので、余計な力が入らないように、ビーターのセッティングは限界まで長さを出して、角度は若干浅めにしています。
音楽ジャンルで言うと、このペダルは、エクストリーム寄り……やっぱり、ジョージ(コリアス)さんがやっているようなデス・メタルやデス・コア、近代のメタル・コアなどに向いているんじゃないですかね。トリガー・ユーザーのドラマーにも最適だと思います。
NOCTURNAL BLOODLUSTでも高速ビートを求められる曲が多いんですけど、このペダルを使い始めて、それまで踏めなかったところを克服できましたし、倍のBPMで踏んだりすることもできるようになりました。バンドへの貢献はかなりできたかなと思っていますし、メンバーからは、さらに速い曲が求められるようになりました(笑)。
あと、自分のコンディションやライヴ中のテンションによってプレイにそれほどブレが出ないという安定感も魅力ですね。スピード特化型でありつつ、ちゃんと音量も出せますし、造りが巧いペダルだなと思います。
DEMON XRを駆使した
Natsuのフット・ワーク・デモ!
Review② MAKI
楽に長く、ずっと踏み続けることを
追求した高速特化型ペダル
DEMON XRは、まず見た目がカッコいいですね。赤とシルバーの2色だけに統一されていて、個人的にはそこにカッコ良さと同時に美しさも感じます。実際に踏んでみると、高速特化型の仕様になっていることがすぐにわかると思いますね。ペダル自体がすごく軽くなっているので、自分も最初は足が先に動いちゃうような感覚になりました。それをコントロールできるようになるのにちょっと時間がかかりましたね。ジョージ・コリアスとの共同開発ということで、彼のこだわりを随所に感じます。
海外の高速特化型のペダルって、フット・ボードが全部フラットなんですよね。滑り止めのない板みたいなものがほとんどで。これまでのパールのペダルはほとんどが滑り止めつきだったんですけど、DEMON XRでは一新されてフラットなボードになった。そのあたりにジョージのこだわりと、パールの本気を感じます。楽に長く、ずっと踏み続けることを追求したペダルだと思いますね。ビーターもこれまでにないタイプで、ローよりも、“ベチン!”アタックのハイの成分の方が先に出る。これもジョージのこだわりだと思いますね。
3ヵ月前から使わせてもらうようになって、セッティングもいろいろ試してみましたが、正直、下手にいじらない方がいいなと思いました。工場出荷時の状態がベストだと思います。スプリングだけ個人差があると思いますが、自分はDEMON XRで音量を出すことを求めていなくて、速く動くかつコントロールしやすいことに重きを置いているので、スプリングを緩める必要性を感じていません。
高速特化型のペダルは、ペダル自体の機能的なロスを削減して、ひたすら同じ動きを繰り返してもそれに耐え得ることと、スプリングの伸縮をどれだけ無駄なく、フット・ボードと各パーツに無駄なく伝えられるかということが必要になると思うんです。そういう意味では、生音重視のプレイをする際はやっぱりDEMONチェーンやドライヴ(P-3000シリーズ)の方が好きです。でも、このペダルは、速く動くことが前提だし、ビーターの反発力も強いし、ペダル自体がローを出すというよりもアタック感を重視している印象なので、DEMON XRは従来のものとは完全に違うものとして認識しています。また、DEMON XRは、スピードに特化したペダル=コントロールしやすいペダルなので、工夫次第で可能性は無限大だと思います。
パワーを稼ぐという意味では、ビーターを変えるのもいいかもしれませんし、フラットなボードなので、スライド奏法もやりやすいはず。邪魔なものがないので。シングル・ペダルでメロコアをやっている人はぜひ一度試してみてほしいですね。逆にジャズにもいいかもしれません。バス・ドラムはフェザー・タッチで音量も出さないけど、きちんと一定のリズムで踏まなきゃいけないし、ちゃんとコントロールをしなきゃいけない。そういうスタイルにもすごく向いていると思います。
DEMON XRを駆使した
MAKIのフット・ワーク・デモ!
Review③ 佐野康夫
思った通りのプレイや音符のニュアンスを
違和感なく表現できる
パワー志向のダイレクト・ドライヴですね。ダイレクト・ドライヴは滑らかになればなるほど、パワーが落ちる印象があるのですが、これはパワーがしっかり出ます。
動きがとにかくスムーズで、スムーズだからこそビーターが戻ってくる幅も大きくて、それがパワーにつながっているんでしょうね。昔のダイレクト・ペダルにはなかった“しなり”みたいなものもしっかり感じられて、踏んだ瞬間に“グッ”っていう手応えがあります。
耐久性の面でも不安はまったくありませんでしたね。シングル・ポスト構造なのに安定感もあるし、加工技術の高さを感じさせる、新時代のペダルだと思いました。
アルミ削り出しのルックスで、スプリングも強力で、速いツーバスをやりたいドラマーには最適だと思いますね。前に“ペダルが良すぎるとプレッシャーを感じる”っていう表現をする人がいたんですけど、その気持ちがちょっとわかります(笑)。
一方で僕みたいなドラマーでも、スプリングを弱めたり、ビーターを長くしてみたり、調整次第では使いやすいと感じられる部分もちゃんと残っていて。それがないと手が届かない世界になってしまうんですけど、高性能を追求しながらも楽器としての領域にちゃんと収まっていて、そのバランスが秀逸だと思いました。
僕が重要視しているのは、思った通りのプレイや音符のニュアンスがちゃんとペダルに伝わっているかどうかという部分で、それが伝わり辛いときに一番ストレスを感じるんですけど、このペダルはそういうニュアンスを違和感なく表現することができます。足を速く動かせる/動かせないは置いておいて、そういうニュアンスを求める人にもすごく使いやすいペダルだと思います。
DEMON XRの詳細はこちら→HP
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ジョージ・コリアスによる開発秘話を公開!