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“アンダーソン・パーク”って何者? 〜ブルーノ・マーズとユニットを組む話題のドラマーに迫る〜

  • Photo:Scott Legato/Getty Images

類い稀なメロディ・センスと美声で世界を魅了するブルーノ・マーズ。彼が新たに結成したユニット、Silk Sonic(シルク・ソニック)でタッグを組んでいるのが、ドラマーでシンガーのアンダーソン・パークだ。今年3月にリリースした新曲「Leave The Door Open」は、YouTubeの視聴回数がわずか1ヵ月で1億再生を突破し、最新のビルボードHOT100では1位を獲得。今、世界で最も注目を浴びているアーティストと言えるだろう。ここではブルーノの相棒で、話題沸騰中の“アンダーソン・パーク”の正体に迫るべく、そのルーツを掘り下げながら、キャリアを辿っていこう。

シルク・ソニック「Leave The Door Open」のMV。リリースから1ヶ月で、すでに1億回再生を突破している。

◉ Contents

▶︎ アンダーソン・パークって何者?

▶︎ 有名になる前のアンダーソンは?
ドラムを始めたきっかけとそのキャリアについて


▶︎ 本名“アンダーソン・パーク”改名後
 ドラマーとしてのみならずラッパー /シンガーとしても活躍


▶︎ アンダーソン・パークが使用しているセットは?

アンダーソン・パークって何者?

2015年にドクター・ドレのアルバムに参加したことをきっかけに注目を浴び、その後もマック・ミラーやチャンス・ザ・ラッパーなど多くのアーティストとコラボしながら、ソロ活動でも名を上げるアンダーソン・パーク。ドラマーとしては教会での演奏活動で培ったテクニックに、吸収した音楽的知識をアウトプットさせたグルーヴィかつタイトなドラミングが特徴で、ステージ上で歌いながらドラム演奏をする姿は多くの聴衆を魅了。現行のブラック・ミュージックにおけるキーパーソンとして、今最も注目されているアーティストの1人である。

有名になる前のアンダーソンは?
ドラムを始めたきっかけとそのキャリアについて

アンダーソン・パークは1986年生まれ。幼少期から母親の影響でスヌープやドクター・ドレ、アース・ウィンド&ファイア、フランキー・ビヴァリーを聴き、古いファンク、R&Bに魅了されていったという。音楽に興味を持った当初はダンスやラップに夢中だったそうだが、その内に家中のいろんなところを叩き始めるようになったとのこと。楽器を始めるよう母親に提案されたこともあり、小学6年生の頃に大きなバス・ドラムを見てカッコいいと感じたことがきっかけで、ドラムを始めるようになった。決定的だったのは、アンダーソンの継父が彼の家にドラム・セットを持ってきて、叩いてみせたことだそうで、Modern Drummerのインタビューでは、「僕はそのとき、“なんてこった、めっちゃカッコいいじゃないか! これはヤバい!”って感じでね。彼はキットに座らせてくれて、僕はすぐにその一部になれたよ。1日でグルーヴが叩けるようになったんだ。別の部屋から入ってきた母さんが踊り始めたんだよ。母さんがあんなふうに踊るのを見たことがなかったから、“ドラムをやりたい”って思うようになったんだ」と語っている。

そんなアンダーソンのドラミングの中核となっているのが、教会での演奏経験。彼がドラムをやっていることを聞きつけたシスターに声をかけられ、ドラマーの真横に座り教会の演奏を見学するようになる。やがて合唱団でリハーサルに加わるようになり、本番でも演奏、最終的に教会でのレギュラー・ドラマーへと登り詰める。当時の教会での出来事についてアンダーソンは、「ドラム・フィルを叩いたりクレイジーに演奏しようとなると、すぐにキーボーディストがドラム・セットを蹴りに来て、“何やっているんだ?”って言うよ。だから、いつ演奏を始めるのか、どんなタイミングでビートを刻んで、いつスピードアップ、ダウンするのかいつもバンマスに従っていたよ。常に最高のミュージシャン、歌手、ベーシストの何人かと一緒にやってきた。それが僕にとって最高の教えだったし、そこから出てきたことを誇りに思っているよ」と振り返っている。

ドラマーとしての転機となったのは、LAの音楽学校=ミュージシャンズ・インスティテュートに通い始めたこと。クエストラヴやクリス・デイヴしか知らなかったというアンダーソンは、ここでトニー・ウィリアムスやジャック・ディジョネット、マイク・クラーク、ヴィニー・カリウタなど、レジェンド・ドラマーのプレイに触発され始める。ちなみに、アンダーソンが最も影響を受けたドラマーとして挙げているのが、カーター・ビューフォードとトニー・ロイスターJr.。彼らのスタイルを真似したいと思うようになり、特にカーターについては、躍動感のあるハイハット・スタイルに憧れて、聴いて学んだりしたこともあったそう。さらに、グルーヴを勉強しようとしたときには、スティーヴ・ジョーダンのプレイに魅せられたという。

本名“アンダーソン・パーク”改名後
ラッパー /シンガーとしても活躍

スクール卒業後、働きながらアンダーグラウンド・シーンで活躍し、2014年には“アンダーソン・パーク”名義で初となるソロ・アルバム『Venice』を発表。その翌年にドクター・ドレーの大ヒット・アルバム『Compton』のフィーチャー・アーティストとして6曲も抜擢され、一躍注目を浴びることとなった。翌2016年発売した2ndアルバム『Malibu』にはクリス・デイヴも参加。インディー作品でありながら世界中から絶賛され、グラミー賞を獲得。そしてフィラデルフィア出身のプロデューサー兼トラック・メイカーのノレッジとのユニット、“ノーウォーリーズ”を組んでファースト・アルバム『Yes Lawd!』(アンダーソンが常に口にするフレーズでもある)をリリースすると、ビルボードのR&B/ヒップ・ホップ・チャートで最高3位を記録。2016年9月には初の来日公演も開催された。

2017年にはブルーノ・マーズの“24K Magic World Tour”のヨーロッパ公演のオープニング・アクトに抜擢。これが現在の“シルク・ソニック”結成のきっかけになったと思われる。2018年に、楽曲「Bubblin」がグラミー賞のべスト・ラップ・パフォーマンスを、2019年にはアルバム『Ventura』がベストR&Bアルバムを、楽曲「Come Home」がベストR&Bパフォーマンスを立て続けに受賞するなど、ドラマーとしてだけでなく、ラッパー/シンガーとしても脚光を浴びる。その後もマック・ミラーやチャンス・ザ・ラッパー、ラプソディ、ア・トライブ・コールド・ウエストとのコラボを果たしている。

アンダーソン・パークが使用しているセットは?

写真がミラー・タイルを貼ったDWコレクターズ・シリーズのアクリル・キット。
※タップで写真拡大※

「Leave The Door Open」のPVでは、その世界観に合わせてヴィンテージ・ラディックを使用しているが、普段はDWのドラムとセイビアンのシンバルを愛用。セットはコレクターズ・シリーズのアクリル・シェルで、1バス、1タム、1フロア・タムという構成。アウターにはミラー・タイルが装着されている。サイズは22″✖️18″BD、10″✖️7″TT、16″✖️13″FTで、スネア・ドラムは2台を併用。ヘッドはエヴァンス、ハードウェアはDWで統一されている。シンバルはセイビアン で、好みの仕様にオーダーできるCustom Shopモデルを中心にセレクト。ハイハットは15″で、ライドは22″。クラッシュやスプラッシュは穴空きのO-Zoneをセレクト。

愉快かつポップに、鮮やかなプレイ・スタイルでドラム演奏を繰り広げ、さまざまなアーティストの魅力に磨きをかけたり、ソロとしても着実に評価されつつあるアンダーソン・パーク。今後の活躍がますます楽しみだ。