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    【Report】BOBOがサウンドを1つにまとめた「Vaundy one man live at BUDOKAN “深呼吸” 」

    • 文:山本雄一(RCCドラムスクール)/撮影:日吉“JP”純平

    武道館全体が壮大なセット
    美しい照明によって
    異次元空間に突然ワープしたような感覚に

    九段下の駅から会場までは見事な若者渋滞。子供ではなく、大人でもなく、“若者”が圧倒的。届けたい音楽が届けたい世代に届いている……というのをリアルに感じながら、筆者も若者の列にこっそりと紛れて武道館へと向かう。2022年9月8日、Vaundy one man live at BUDOKAN “深呼吸”の初日だ。

    会場へ入ってから少し驚いたのは意外なほどにシンプルなステージ・セット。客席は360度開放のパターンで巨大ビジョンなどもなし。平たい舞台上にバンド・メンバーの機材が乗っただけであった。

    初の武道館とはいえど過度な演出はせず、あくまで音楽で攻めてくるのだろうと勝手な予想などをしつつ、人、人、人で膨れ上がっていくスタンドを見つめながら開演を待つ。

    予定時刻を少し過ぎたあたりで場内の明かりが消え、バンド・メンバーが先に、続いてVaundyがスタンバイ。大歓声……は出せない代わりにどよめくような拍手が巻き起こる。そしてオープニングは「恋風邪にのせて」。実は私がこの日一番聴きたい曲だったので、お楽しみはいきなり達成。原曲のイメージを確実に再現しつつも、そのメリハリの強さとエネルギーに満ちたサウンドはライヴならではの感動。

    さらには客席の誰もが驚いたであろう美しい照明によって、異次元空間に突然ワープしたような感覚からのスタート。そう、決してシンプルなステージ・セットではなく、武道館全体が壮大なセットとなっていたのだ。

    続く「灯火」からも気負いは感じさせず、1曲1曲の間合いも含めて丁寧に歌い上げていく。Vaundyの楽曲は“デジタル・シングル”というスタイルで、1〜3ヵ月に1作くらいのペースでリリースされ続けてきたこともあってか、いわゆる“アルバムの中の1曲”というポジションがない。ある意味どれもが代表曲であり、あたかも自分のスマホの中に入っている“Vaundyのプレイリスト”を最高にゴージャスな状態で再生し続けるような展開が続く。

    また、未リリースながらもTwitterで発信されていた「極楽浄土」をギター1本でシットリと聴かせたシーンも印象深い。決してノリの良さだけではなく、武道館の大ステージでバラードを歌い上げる実力もシッカリと見せつけた。

    hanna(g)、BOBO(d)、Merlyn Kelly(b)

    ギターはhanna、ベースにMerlyn Kelly、そしてドラムは我らがBOBO。それぞれのポジションで自分の役割を果たし、時にはセンターに集まって互いの氣を高め合うような動きも印象的だ。もちろん3人だけでは原曲の再現はできないので同期も常に鳴っているが、その同期成分とのバランスも絶妙で違和感は一切なかった。

    Next➡️アンサンブルの中心にいるBOBOのドラミング