PLAYER
UP
バンド・サウンドの核に迫る! 真太郎[UVERworld]Anniversary Interview〜前編〜
- Interview & Text:Rhythm & Drums Magazine Photo:Takashi Hoshino
音数を減らした分
説得力を持たせる1発を叩く
●ここからは2019年末にリリースされた10thアルバム『UNSER』について、ライヴでのパフォーマンスも含めてうかがいたいと思います。今作は、全体的に音数が引き算された印象で、隙間を生かすような曲が多いですよね。
真太郎 そうですね。リズム・パターンとかは本当にシンプルな感じで、ポイントを押さえるようにして作ったというのは一貫しています。このアルバムは全体的にスッキリと整理されている感じがするし、楽曲の色もあるし、盤として聴きやすいんじゃないかなって。
オムニバス作品みたいに、いろいろなバンドがグルーヴするようなレパートリーの広さを持たせたいっていうのがアルバムに対する僕らの考え方なんですけど、今作ではそれがうまくできたんじゃないかなと思います。
ただ、音数を減らした分、ライヴ・バージョンになったときに、説得力を持たせる1発を叩くっていうところは、結構大変でしたね。意外とギターとかベースってパワーがあるから、そこに負けない音作りは今も模索しています。
楽曲のイメージを保ったまま、いかにパワー・アップさせていくかっていうところも難しいですね。音数を削ぎ落としてシンプルな曲に仕上げたのに、ドラムの性なのか、いざライヴでやると我慢できなくて叩いてしまうんです……(笑)。
●(笑)。「Making it Drive」は、海外のプロデューサーが関わっていることもあってか、バンド・サウンドも洋楽風に仕上がっている印象です。
真太郎 この曲は、ヴォーカル(TAKUYA∞)とギター(彰/克哉)がLAに行って、向こうのプロデューサーとセッションして作ってきたんですよ。トラックがあって、メロディがざっくりとある状態で持ち帰ってきたんですけど、それを音だけ差し替えるんじゃなくて、いったん全部をバラして、コードとテンポだけみたいな状態からこっちで練り直すという形で仕上げていきました。今作ではそういうものが何曲かありますね。
●なるほど。東京ドームでのライヴ映像(『UNSER TOUR at TOKYO DOME 2019.12.19』)を観ていて思ったんですけど、オーディエンスとのシンガロングもある「stay on」は、大きな会場のライヴですごく映えますね。
真太郎 作っているときはわからなかったんですけど、ライヴで演奏していて“テンションがこれだけ上がるんや”っていう発見があった曲です。やたらドラムを難しくしてしまった曲だと、テンションはすごくアガってきているのに、冷静にならないと捌いていけないから、いったん冷めてしまうような部分もあったりするんですよ。でも、「stay on」みたいにシンプルに削ぎ落としていった曲って、そのぶん自分の感情をライヴでそのままぶつけられるというか。今作の曲は、全体的に自分のテンションでそのまま突っ込んでいけるものが多いから、そこも面白いなと思いますね。
●なるほど。ちなみに、テクニック面で一番難しく感じるUVERworldの曲は何ですか?
真太郎 最近のライヴではやっていないんですけど、「the truth」(2009年発表/5thアルバム『LAST』に収録)ですかね。作った当時のテンションとか得意技だったり、そのときの“旬”みたいなものを詰め込んだ曲で……今の自分にとっては、そのプレイが全然旬じゃないんですよ(苦笑)。時間が経つとそういう曲も出てくるんですけど、難しいとか、苦手っていうものはプレイヤー自身で克服すべきところでもあるし、克服のしがいもあるというか。そこは長くやっているからこその苦労であり、楽しみでもあるのかなと思います。
続くインタビュー後編はこちら! 真太郎がライヴ・パフォーマンスで意識していることや、メンバーとのリズムの捉え方、そして、ドラム観の変化について語っていただきました!
◎Profile
しんたろう:1983年生まれ、滋賀県出身。2000年、同郷のメンバーと共に、UVERworldの前身バンドであるSOUND極ROADを結成。その後バンドの改名を経て、2005年にシングル「D-tecnoLife」でメジャー・デビューし、これまでに10作品のオリジナル・アルバムを発表。精力的なライヴ活動を続けながら、国内大型ロックフェスなど、活躍の場を徐々に広げていき、2019年12月には、9年ぶりとなる東京ドームでのワンマン公演で成功を収めている。
◎Information
UVERworld HP Twitter Instagram