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【Interview】むらたたむ[NEMOPHILA]

  • Interview:Rhythm & Drums Magazine

私がNEMOPHILAのドラマーである意味を
かなり考えてからライヴに臨んだ
“他の人でも成立するようなドラミングをしない”と決めたから
今までのむらたたむのドラミングともまた違っていたと思う

心身共に健康であることが
良い練習、モチベーション、演奏につながる

●最近、ドラム・キットを新調されたそうですね。キットのシリーズ名と共に、そのキットを選んだ決め手や、実際に使って気に入っているポイントなども教えてください。

むらた TAMAのStarclassic Walnut/Birch Drum Kits SAFです!!!!!! ウォールナットとバーチを組み合わせたシェルなのですが、これがすごく良いです。ドスッ、モチッて感じの深みのある豊かな音で、アタック音もはっきりしているので、NEMOPHILAのように重低音で満ち溢れているバンド・サウンドの中でも存在感が薄れないんです。

あとは、気に入っているといえばハードウェアの部分ですね。簡単に言えば各タイコが、ほぼ浮いてるんです(笑)! なので、叩いて鳴らしたときにシェルの鳴りを妨げずに綺麗に鳴ってくれるのが聴いていて気持ち良いです。叩き心地も良いですね。ラック・システムを導入したのでよりいっそう存在感が増して、強そうに見えるのもお気に入りです!

●心強い相棒ですね! では、ライヴについてもうかがいたいと思います。少し遡りますが、NEMOPHILAのデビュー・ライヴとなった「METAL WEEKEND 2019」でのオープニング・アクトのご経験は、どんな刺激になりましたか?

むらた METALってカッコいいなと思ったライヴでした。それと共に、間近で海外のバンドのドラマーさんを見て“こんなにもガタイの良い男の人たちがフル・ショットで鳴らしているドラミングを、そのまま真似しようとしてもあらゆる面で到底敵わないな”と思いました。自分がこのバンドでどういうプレイをしていく必要があるのかを考えるにはとてもいいタイミングだったと思います。

●そして、今年1月には、LINE CUBE SHIBUYAにて有観客ライヴを開催されましたね。即ソールド・アウトしたとのことでしたが、ライヴの手応えはいかがでしたか?

むらた 声こそ出せませんが、来てくださったみなさんから熱気を感じ、何よりもたくさんの方が来てくださったことがうれしかったです。課題もたくさんありますが、フル・メンバーでの初ワンマンにしては、悪くはないスタートだったのではないでしょうか。

●当日のライヴ・パフォーマンスで心がけていたことはありますか?

むらた このライヴには、私がNEMOPHILAのドラマーである意味をかなり考えてから臨んだんです。“他の人でも成立するようなドラミングをしない”と決めていました。なので、今までのむらたたむのドラミングともまた違っていたと思います。パフォーマンスなんかも意識して演奏しました。腕を高く振り上げてスネアを叩くのがお気に入りです。

●ライヴ中は、他のメンバーのどのパートを中心に聴き、どのようにバランスをとっていますか?

むらた 全員の音を聴くようにしています。でもそんな中でもベースは特に聴きますね。ベースのハラちゃん(ハラグチサン)とは、2人で練習したりもします。

●ライヴで演奏していて“楽しい”、または“難しい”と思う楽曲は何ですか?

楽しい曲で言うと、「RAITEI」、「Rollin’ Rollin’」、「SORAI」、「REVIVE」、「OIRAN」です。難しいと思うのは、「HYPNOSIS」や「DISSENSION」ですね。

●バンド・サウンドの中で、ドラムは足し算/引き算のどちらの意識でプレイしていますか?

むらた 曲にもよるかもしれませんが、引き算は意識しています……が、部分的に足し算はします。“この1小節は足し算で叩かせていただきます!”とか、そんな感じです。なので、両方を意識していますね。そんな中でもメンバーの演奏や歌のリズムを聴いて、その妨げにならないように考えます。やっぱりバンドなので、どのメンバーも役割を果たしつつも存在感がある演奏でありたいですね。

●NEMOPHILAにおける、ご自身のドラムの役割はどのようなものだと考えていますか?

むらた メンバーのモチベーションやテンションを上げる……戦意を奮い立たせる役割ですね。

●なるほど。これまでのバンド活動やセッション・ワークと比較して、“NEMOPHILAならでは”だと思うプレイや意識はありますか?

むらた パフォーマンスや叩き方はかなり変わります。NEMOPHILAでの自分はカッコ良くありたいので、そこは意識しています。あとは音で言うと、チューニングもロー・ピッチですね。細かいフレーズやニュアンスというよりは、手足のコンビネーションでバキッと聴かせるフィルインが多いです。

●アグレッシヴなプレイの光るメンバーが揃っている中、まとまりのあるバンド・サウンドになっているのは、激しくも安定感のあるむらたさんのドラミングがあってこそだと思います。

むらた ありがとうございます。バランスを取るためには健康であることが一番だと考えています。こういうことを言うと途端に超嘘くさく聞こえるかもしれないですが、心身共に健康であると、これが良い練習につながって、良いモチベーションにつながって、良い演奏につながるんだと思います!!! 本当です。

今、0歳と1歳の子供がいるので練習やドラムに触れる時間は以前よりもグッと減ってしまったのですが、パワーもグルーヴもより良くなったといろんな人に言われるんです。それはやっぱり、練習以外のこともドラムにつながるのではないか、という新しい視点を手に入れられたからかなと思います。

●それは素晴らしいお話ですね。 “むらたたむ”というドラマーとして、NEMOPHILAで生かせていると思うことや、今後表現していきたいものは何ですか?

むらた 生かせているのかはわからないですが……私のキャラクターも、考えるドラミングも、激しいサウンドとは絶妙にミス・マッチなんだと思うんです。でもそれが新しいというか……だからこそNEMOPHILAというバンドの良いエッセンスにできたりできなかったりしているんじゃないかな、と思います。今後もむらたたむという軸をぶらさずに、自身をアップグレードしていきたいですね。独自性を大切にしたいです。

◎Profile
むらたたむ●1992年生まれ。高校生のときにドラムを始め、野口勝彦、ムールルミ、ムールクリスチャンに師事する。YouTubeに投稿した“叩いてみた”動画をきっかけに注目を集め、ドラム・ソロ・ライヴやセミナー、セッション・ワークや海外公演と、活躍の場を広げる。二度の出産を経て、現在は19年に結成したガールズ・ヘヴィ・メタル・バンド=NEMOPHILA(ネモフィラ)を中心に活動している。

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