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“カシオペアの新ドラマー”、今井義頼 に迫る1万字超えの独占取材!【Interview/後編】

  • Interview:Isao Nishimoto

CASIOPEA-P4の正式メンバーとして新たな一歩を踏み出した今井義頼のインタビュー後編は、『NEW TOPICS』の全10曲に関するエピソードを聞くと共に、使用楽器についてもコメントしてもらった。十代の頃からカシオペアを聴き込み、神保 彰のプレイに影響を受けてきた今井らしい、熱量たっぷりの言葉の数々はファン必読。そして、同世代のドラマーにもたくさんの刺激を与えてくれる内容だ。

カシオペアはブラシを用いた曲が実は少ない
「DAILY BREAD」では今までにないような方向でいこう
そう思ってブラシにしました

バンド加入の経緯や神保 彰から受けた影響について語るインタビュー前編はこちら

●ここからはアルバム収録曲についてお尋ねしていきます。まず1曲目の「TODAY FOR TOMORROW」からレコーディングを始めたそうですが、まさに野呂さんの真骨頂と言える高揚感のある曲です。カシオペアらしさ満載のアンサンブルの一部としてドラムを叩くのはどんな気分ですか?

今井 この曲はメロディ・ラインとコード進行がとっても素敵で、演奏するときはその部分を味わいながら演奏しました。すごく前向きで希望に溢れるような雰囲気の楽曲で、タイトルもすごく良いですよね。

テンポは思ったより意外にゆったりした設定で、メンバーみんな割と前に行きがちなので、疾走しながらもどっしり安定したリズムを意識して演奏しました。

●曲の中盤には短いドラム・ソロがあります。高音から低音までワイド・レンジに叩きまくっていますが、譜面にはフィル・インとだけ書かれていたというのは本当ですか? 

今井 この曲には“Solo”って書かれてたと思います(笑)。でも雰囲気的にはオルガン・ソロからAメロに戻るつなぎというものだったので、最初のテイクではもっとリズムっぽく、そこから少し崩す程度、それこそフィルのような演奏をしたのですが、野呂さんに「ソロは思いっきり派手にやって」と言われ、「こっ、この曲でですか!?」と思いつつも、全力でオーダーにお応えしました。そしたらいつの間にか僕が進んでやったことになっているという。ダマシタナ!?って(笑)。

●「DREAMER’S DREAM」は、ベースの力強いリフをタイトに支えるドラムのビートが印象的で、これもカシオペアらしい1曲です。サビや展開部で聴ける、ライドとハイハットオープンを細かく織り交ぜた16刻みも、“出ました!”という感じがしました。野呂さんの曲はドラムのフレーズも細かく指定されていると聞いたことがありますが、今回はどうでしたか?

今井 基本パターンは遵守という感じはありましたが、かなり自由にやらせていただきましたね。パターンよりも全体の空気感でいい感じならそれで良しという感じでした。

サビのリズム、“そうですよね!”でもあれは指定はなくて、やはりこう来たらこうでしょっていう僕の中にあるフュージョンの遺伝子に従ったらこうなりました(笑)。

●「UNTHINKABLE」は、片手16刻みをキープしながら、キックはベースとカッチリ合わせていくドラムで、リラックスした曲調ですが演奏する上では緊張感もありそうです。いかがでしょうか?

今井 パターンを叩く上であまり緊張はしませんでした。ハイハットについても、わりとタイトに叩きつつも、さりげなくタイトにという感じで刻んでいたら、MIXでかなりハイハットの音量が上がったので、聴いているときが逆に緊張しました(笑)。キッチリ演奏しといて良かった〜!

●鳴瀬さん作曲の「NoOne…EveryOne…」は、ミドルテンポのグルーヴが気持ち良い曲です。ドラムのフレーズはどのくらい指定されていたのでしょうか?

今井 この曲はデモの段階で、かなり打ち込みエッセンス強めだったんです。でも鳴瀬さんにうかがったら「音色も思いっきり生で、好きに叩いちゃってー」と仰られて。中間部のスネア4拍目のみのセクションは重めにして、あとの部分を思い切って12″のサブ・スネアをカンカンに張って演奏してみました。

●1:40過ぎに出てくる展開部と、3:40〜エンディングの手前までがメインのスネアで、それ以外は高めにチューニングされたサイドスネアという叩き分けに聴こえますが、合っていますか?

今井 その通りです。サブ・スネアがメインになった演奏ですね。今回使用したYamahaの武蔵スネアがよく鳴ってくれて。いい仕事してくれました。

●大髙さん作曲の「Vivaciously」はテンポの速いブギー・ナンバーです。こういうグルーヴも、今井さんとしては叩いていて気持ち良いものですか?

今井 とても気持ち良かったです(笑)。最初はツーバスでかなり攻めた演奏をしたのですが、ちょっとToo Muchに感じたので、だんだん減らしていって、シンプルなパターンに落ち着きました。オルガン・ソロの最初、低いタムでのリズムは鳴瀬さんのアイディアです。ソロの展開がとてもわかりやすくなりましたね。

●大さんとは過去に対バンの経験があったそうですが、一緒に演奏したのはカシオペアが初めてですか? プレイヤーとしての印象も教えてください。

今井 一緒に演奏したのは今回が初めてで、まさに「TODAY FOR TOMORROW」のテイク0が最初です。大髙さんはとても気さくで明るい方ですが、プレイはとても落ち着いていて丁寧、でも出るときは出るし、随所にセンスが光るとても素敵なプレイヤーと感じました。またご自身が“オルガニスト”と名乗っているように、オルガンのサウンドとプレイにすごい情熱とプライドを感じましたね。レズリー・スピーカーで鳴らす音がまた最高にカッコいいんですよ

●今井さん作曲の「DAILY BREAD」は、アルバム中盤でホッと一息つくのにピッタリの優しい曲です。カシオペアに神保さんが書く曲を思い出すようなところもありました。他の曲とのバランスを考えてこういう曲を書いたのでしょうか。

今井 今回、カシオペアのアルバムに楽曲提供するにあたって、数曲野呂さんにお送りしたのですが、その中でメロディを褒めていただいた曲なんですね。僕のイメージとしては、昨年12月に拝見したカシオペア3rdのライヴ配信の冒頭「smoothly」という静かなコーナーでの演奏をイメージした曲です。ドラマーの書く曲としては大人しい楽曲ですが、逆に意表をつくのも面白いのでは?ということで、この楽曲になりました。

●カシオペア用に曲を書くにあたって、今までの作曲と違うことを意識したり考えたりしたところはありますか?

今井 とにかくわかりやすく、ポップなメロディにすることは心がけましたね。そして演奏するのが生身の4人のみ、ということで、あまりパートを増やしすぎないように気をつけながらアレンジしました。あとは僕が今まで聴いてきたカシオペア・サウンドをイメージして、という感じですね。

●この曲は唯一ブラシで叩いていますが、フレーズ自体はけっこう叩きまくっています。そういう意味ではスティックで叩いても成立すると思いますが、あえてブラシを選んだ理由は何でしょうか?

今井 カシオペアはブラシを用いた曲が実はとっても少なくて、僕が憶えているだけでも、『HALLE』収録の「NORTH SEA」だけなんです。DEMOの打ち込みはスティックなんですが、ここは思いっきり今までにないような方向でいこうと思いまして、ブラシにしました。

REC時点でうまくいかなかったらスティックに戻すつもりだったのですが、良い感じになったので。そして、ライヴでは周りの音量との兼ね合いで最初はスティックでやっていたのですが、当日やっぱりブラシでやりたいなと思い、皆様に音量関係のご相談をしてブラシに戻してみたら、それはそれはとっても良い感じになりまして。なぜかブラシで演奏するのが運命のように進んできている曲ですね(笑)。

●アルバム後半は再び野呂さんの曲に戻ります。「A BEAM OF HOPE」は、まさに“カシオペアの8ビート”というテイストの曲で、中盤のソロもパワーを前面に出していく感じです。この曲に取り組む上で意識したことは?

今井 この曲は僕の大好きな、ミドル・ファストでの8ビート。スピード感と重さの両方がガッツリとフィーチャーできそうだなと思い、ミドル・ピッチのスネアでパワフルに叩いてみました。

ちなみにこの楽曲では、Yamaha Recording Customのブラス(14”×5.5”)を使用しました。そしてこの曲がまさに、譜面に“Drums Fill”と書かれていた曲です。ここは確かに、段々盛り上がってソロみたいにしちゃいました(笑)。

●野呂さんのフレットレス・ギターをフィーチャーしたバラード「PURE HEART」も、カシオペアでなければ聴けないタイプの曲です。こういう曲も、演奏しているときはカシオペアに参加したことを強く実感するのではないかと思いますが、いかがですか?

今井 野呂さんお馴染みのフレットレス・ギターの音色が素晴らしく、“本物だーー”と感じましたね(笑)。うれしかったです。

野呂さんの楽曲は、言いたいことが曲ごとにすごくハッキリわかるので、ダイナミクスの流れ、表情の変化がとてもつけやすい。音楽の呼ぶ声に導かれて、思いっきりダイナミクスをつけて演奏しました。この曲のドラムはかなり早く仕上がったと思います。

●キャッチーで力強い「FLY ME TO THE FUTURE」は、メンバー全員の見せ場があり、ライヴ終盤で盛り上がりそうな1曲です。アルバムを通して1つのライヴのように構成したという野呂さんの発言も見ましたが、レコーディング中にはそういう話も出ていたのでしょうか? 今井さん自身もそういうことを意識して臨んだ部分はありますか?

今井 ライヴという意識よりも、僕自身はとにかく1曲1曲に全力投球でした(笑)。この曲で印象的だったのは、オルガン・ソロでグイグイとボルテージが上がっていって、ベースとドラムのバトルになだれ込む、その熱量がとても良い感じになったなと感じています。

サビは本当に僕の好みの顔で歌いたくなるようなメロディなので、ライヴのときは楽しみたいと思います。

 ●「THANKS A LOT」も、ライヴのエンディングをイメージさせるストレートなナンバーです。ドラムもパワフルに叩きまくっていますが、ライヴを最後までやり通したような安堵感、リラックス感があるようにも聴こえます。レコーディングのときの雰囲気はどうでしたか?

今井 この楽曲は鳴瀬さんとのリズムのグルーヴ感、ドライヴ感が特に良い感じに出た曲ですね。どっしりしてるけどすごく速く感じられるビートになりました。

始まりからして、“よっしゃー!!”という感じが溢れているので、最後までプッシュして駆け抜ける感じがとても楽しかったです。

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