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“BOBOオンライン オフ会”@神戸・甲陽音楽&ダンス専門学校【Report】
- Photo & Text:Isao Nishimoto
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自在な打点コントロールのデモから
参加者とのセッションまで
演奏する時間もたっぷりと用意
セミナーの中盤では、「今自分が打ったその音は、本当に自分が打ちたかったところで打った音なのか」という話から、打点を思い通りにコントロールする様子をクリックを使って実演することに。自身のスマホのアプリでクリックを鳴らしながら、まずはハイハットをいろいろなタイミングで刻んでみせる。
「クリックに対してちょっと前、ちょっと後ろとやっていると、真ん中(ジャスト)がどこなのか、より見えるようになってきます」。
あえて大袈裟に、ほぼフラムの状態までクリックから前後にズラして刻み、そしてジャストに。まるでカメラのピントを合わせるように、打点のフォーカスが合っていくのが気持ち良い。続いて、キックでも同じことを繰り返す。
次にクリックを止め、ハイハットとキックでズレとジャストを行き来してみせる。こうするとパーツ同士の打点を揃える訓練になるわけだ。そこにクリックを加え、クリック/キック/ハイハットで同じことをやってみせる。さらに今度はスネア/キック/ハイハットで同様に繰り返し、3つのタイミングがぴったり合ったところで、最後にその3つとクリックでズレとジャストをやってみる……ほとんど手品を見ているような気分で、ここは今回のイベントの大きなハイライトだったと思う。
「ここまでやったのは僕も超久しぶりだけど、こういう練習をすると3つの打点を一緒にすることができるんです。今は打ち込みで作られる音楽が多い中、ライヴでは生のドラマーが使われたりする。そこでは、トラックに対して揺れずに叩けるドラマーじゃないと呼んでもらえない。そうすると、さっきやってみせたようなことが重要になるんですよね」。
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その後は、初の全国ツアーにBOBOも帯同したimaseの「NIGHT DANCER」に合わせて2通りのフィールで演奏してみせたり、客席からギタリストとベーシストを呼び入れてVaundyの「CHAINSAW BLOOD」、「恋風邪にのせて」、「裸の勇者」をセッションしたりと、これまでのセミナー以上にドラムを叩く時間がたっぷり設けられた。
セッション・コーナーではセッティングの都合でイヤモニを使えず、モニター・スピーカーからの音源を聴いてプレイするという状況ではあったが、ギター&ベースの組み合わせを変えながら無事に3曲を完奏。そこで印象に残ったのは、「ギターもベースも思い切り大きな音で」と何度も強調していたことだった。
「もちろん音楽の内容によりますけど、ロックみたいにバーンとやる音楽は、ベースとギターはドラムに気をつかわず、バカみたいにデカい音を出してほしい。そして、ドラムはその音量に負けちゃいけない。大きい会場でのライヴは特に、生音がしっかり鳴っていないとPAでも良い音にならないので、大きいところほどドカンと叩けるドラマーが呼ばれますから」。
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この時点で当初の予定時間をオーバーしていたが、「もう1曲、最後にやろうと思っていた曲があるんです」とBOBO。
「今日はこんなに汗びっしょりになると思っていなかったけど(笑)、皆さん来てくれてありがとうございました。僕自身、Vaundyやimaseのような若い世代に呼んでもらえるおかげで、いくら歳を取っても若い現場でドラムを叩くことができています。これからも活動を続けていきますので、もし学校や職場とかでBOBOの話が出たら、今日見たり聴いたりしたことを話題の1つにしてもらえたらと思います」。
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そして演奏したのはVaundyの「replica」。昨年末から今年にかけてのツアーでも最後に演奏され、イベントの締めくくりにはピッタリの曲だ。セッション・コーナーでは楽しげに叩いていたBOBOだったが、この曲では一打一打に魂を込めるように目を閉じてプレイ。その間、参加者達は今日BOBOが話した言葉の数々を思い出していたことだろう。
普段は大きなステージで演奏しているプロのドラミングを至近距離で体感できる機会はそう多くない。しかも今回はPAなしの生音で。演奏の軸となる哲学を本人から聞き、そして浴びるその音は、音源ともライヴとも違う説得力をもって響いたはず。これは、ドラム・セミナーの大きな醍醐味の1つだ。
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終了後はサインや写真撮影に笑顔で応じ、校内で行われていたオープンキャンパスのイベントにも顔を出すというサービスぶり。目の前でVaundy「怪獣の花唄」を演奏した入学志望者たちにエールを送ったBOBOは、その日のうちに新幹線で東京へ戻るべく、タクシーに颯爽と乗り込んで学校を後にした。もちろん、編集長と2人で。
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神戸・甲陽音楽&ダンス専門学校
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