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スティーヴ・スミスの初インタビューを公開! ジャーニー在籍時の1983年の独占取材!!【Archive Interview】

2017年以来、6年ぶりに開催され、日本中を熱狂へと巻き込んでいる野球の国際大会=World Baseball Classic。TBS系列で中継される際のテーマ曲として採用されているのが1983年にリリースされたジャーニーの「セパレイト・ウェイズ」。過去の大会でも採用され、熱戦と共に記憶に残っている人も多いはず。ここではジャーニーの黄金期を支え、「セパレイト・ウェイズ」でもプレイしているスティーヴ・スミスのアーカイヴ・インタビューを公開。初取材となった1983年刊行のNo.3掲載の内容から抜粋してお届けする!

プレイに役立つ“方法論”を
見つけるために練習するんだ

ロックは叩いてて気持ちがいいからノレるんだよ

●まず最初にドラムを始めたキッカケを教えてください。
スティーヴ
 小学校4年のときに始めたんだ。両親が先生をつけてくれてね。小学校4年から高校の最終学年まで、ずっとその先生に習ってたんだ。教わったことというのは譜面の読み方、ルーディメンツが中心。譜面が読めたからどんな音楽にもスンナリと馴染むことができたよ。

●ドラムを始めた当時はどんな音楽を聴いていたのですか? またどんな音楽に影響されていましたか?
スティーヴ
 カウント・ベイシーやオスカー・ピーターソンをよく聴いていたし、影響も受けたね。高校時代にはジミ・ヘンドリックスやクリームに狂った。だけどバディ・リッチのビッグ・バンドとか、それまで通りジャズも並行して聴いてたんだ。ハイスクール卒業後はバークリー音楽院へ入って3年間勉強した。もちろん、ジャズも幅広く学ぶことができたんだ。

●プロとしてドラムを叩くようになったのはいつ頃から?
スティーヴ
 バークリー在学中の1976年にプロ・バンドのオーディションを受けたら合格したんだ。バークリーっていうところは音楽全般について学べるのと同時に、プロのミュージシャンにもたくさん出会えるし、仕事のコネも作れるんだ。

●どういうふうにドラムのテクニックを上達させていったのですか?
スティーヴ
 練習につぐ練習だね!

●どのくらい練習していましたか?
スティーヴ
 今はあまり練習できないんだ、忙しくてね。せいぜい1日1時間ってとこかな。昔は毎日何時間も叩いてた。ハイスクール時代は1日5時間以上は練習していたし、ジャン・リュック・ポンティ、ロニー・モントローズ、それにジャーニーに入った最初の4年間は、それぞれ1日3時間は練習してた。だけど、今はまた昔と同じくらい練習する必要があるって感じているんだ。

●それはまたどうして?
スティーヴ
 プレイが上達するためだけじゃなくて、プレイに役立つ“方法論”を見つけ出すためなんだ。練習するのはジャーニーのアルバムのためじゃなくて、自分自身で納得のいくやり方でいつもドラムを叩きたいからなんだよ。これからは自分の求めているサウンドをそのまま表現できるような練習をずっとしていきたいね。

●そのためには人のプレイを聴いてアイディアを見つけ出す、ということもありますか?
スティーヴ
 もちろん他の人達のプレイを聴いて、幅広くいろいろなアイディアを見つけて、自分のものにすることもあるよ。でも僕の場合、時間をかけてたくさんプレイすることで何かを得るんだと思うな。何時間プレイして自分のアイディアを発展させていくのが僕のやり方なんだ。他のドラマーのようにサウンドだけを追求していったわけじゃないから。

ジョン・ボーナム、ジェフ・ポーカロ、スティーヴ・ガッドといった人達の音はよく聴いているけど、ドラム・パートをコピーするってことはしないね。僕の場合はとにかく練習を重ねてアイディアを発展させる。これに尽きるね。

●今まであなたがプレイをしてきたバンドについて教えてもらえますか?

スティーヴ 最初に入ったのはジャン・リュックのところ。ここはオーディションに合格して入ったんだけど1年ちょっと一緒にやってやめちゃったんだ。なぜかっていうと、どんなプレイをするかを細かく指示されたからなんだ。リーダーの命令でプレイするバンドにはいたくなかった。それで活動していたボストンからロサンゼルスに移ったんだ。

ロサンゼルスでは次々にオーディションを受けにいって、フレディ・ハバードとロニー・モントローズの両方から仕事の依頼が入ったんだ。あまりにも対照的なこの2つのバンドのうち、どちらでプレイするか選択を迫られた。そこで考えたのは、フレディの仕事をすれば小さなドラム・キットを叩くことになって、強烈なプレイはできないと思ったんだ。それにジャン・リュックと同様、プレイを指示されるハズだと考えたわけ。

●じゃあロニー・モントローズのバンドに入ったわけですね?

スティーヴ その通り。ロニー・モントローズのグループはバンドのメンバーのプレイに自由があるし, それに今までプロのロックンロール・バンドに入ったことがなかったからね。でもモントローズにはジャーニーの前座バンドをやっていた8ヵ月間しか在籍しなかったんだ。ジャーニーからバンド参加の依頼があって、8ヵ月後にはモントローズを脱退してジャーニーに加入したからね。うまい具合いに移動することができたわけ(笑)。

●ハード・ロック・バンドを選んで良かったと思う点は?

スティーヴ 叩いていて気持がいいよ。サウンドも良くて、気持ちもいいから音楽にもノレる。でもいろいろなタイプの音楽に手を出しておいて良かったとも思うんだ。なぜなら、いつも1つのものだけをやっていると、プレイできる範囲はほんのごく一部に限られてしまうからね。これは長年やってきて感じたことだよ。

●ロック畑のドラマーでは、誰に一番興味を持っていますか?

スティーヴ ミッシング・パーソンズのテリー・ボジオだね。彼はとてもクリエイティヴなプレイをする人だし、オリジナリティのある新しいサウンドを作り出してる人だからね。それに彼の場合、バックグラウンドが僕とよく似ているんだ。流行している音楽にも敏感でよく聴いているし。革新的なドラマーだよ。

●ジャーニーはサウンド的に見て飛躍し続けていると思いますか?
スティーヴ 『エスケイプ』と『フロンティアーズ』この2枚のアルバムに関しては特に言えるね。『エスケイプ』ではジョナサンの参加で非常に大きな飛躍があった。コンサート自体も去年と比べるとずっと深みを増したと思う。ライヴではアルバムとアレンジを変えて、ずっとフューチャリスティック(未来派)のロックンロールを楽しんでる。僕らは常に未来指向のサウンドを目指しているんだ

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