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【Report】聖飢魔IIの”35++執念の大黒ミサツアーFINAL”! 次なる再集結への期待も高まる、美しきステージ光景!!

  • 写真:山田“あるまじろ”晋也
  • レポート:庄村聡泰

タメを効かせに効かせたライデン湯澤殿下の
8ビートが冒頭から炸裂!

去ること1ヵ月と少し前、魔暦25年2月15日の水曜日に国立代々木競技場第一体育館にて催されましたる 「35++執念の大黒ミサツアー」完遂を以てして魔界へとお帰りになられた閣下、殿下、和尚、参謀、代官、親分。そして御姿の謁見は叶わなんだものの、確かにその存在を感じさせていただきました長官、そして陛下。その後、魔界での生活は如何ですか。此度のゼウスの妨害は数年に及ぶと云うなかなか厄介な代物でした。まったく、つくづく小狡い輩です。ですが我々信者は負けませんでした。なかなかに美しい光景ではありませんでしたか? 「WHAT’S HAPPENING?」にて我等悪魔教信者が一丸となって作り上げた、光り輝く客席は。お喜びいただけていると、幸いなのですが……。

大黒ミサツアー発表時に公開された動画

聖飢魔IIの黒ミサは始まる前から大盤振る舞い。ゼノン石川和尚(b)のアナウンスにて目出たく解禁となった声出しが、”旅先のホテルで温度調節ができてないシャワートイレを尻に浴びたときの「アツい」程度”だと教示してくれる有難い説法の後、場内は暗転。「ゴジラのテーマ」をBGMとして構成員それぞれが姿を現し、先ずは重厚なインスト・ナンバー「創世紀」からのスタートだ。

タメを効かせに効かせたライデン湯澤殿下(d)の8ビートからしてすでにもうたまらない。それをさらにグルーヴさせていく和尚の図太いベース・ラインから羽ばたくように伸びていくルーク篁参謀(g)とジェイル大橋代官(g)のツイン・リード。ロック・バンドの黄金比とも言える贅沢な演奏を身体全体に浴びるという喜びに早くも咽び泣いてしまいそうな中、ステージ中央に運び込まれた棺(ひつぎ)の中よりデーモン閣下(vo)が満を持して登場。

プレイされた曲はまさかの「EL.DORADO」。幾度となく黒ミサのクライマックスを担ってきた楽曲がこのタイミングで披露されるだなんて、今宵はもう何が起きても不思議じゃない。続く「RATSBANE」はハードロッキンに駆け抜けるシャッフル・ビートや、間奏のジャジーなレガートなど構成員の技術が光るナンバーである中、客席に投げキッスをくださった閣下のサービス精神に信者達は大盛り上がり。初演奏となる「RUN RUN RUN!」では殿下の力強いアタマ打ちが会場を心地良く揺らしていく。

ライデン湯澤殿下
ゼノン石川和尚
ルーク篁参謀
ジェイル大橋代官
デーモン閣下

随所にサポート・メンバーであるKAMISORI SYUTO(key)のソロ・タイムを設けるなど粋な演出を挟みつつの進行であったが、この日の閣下はMCも絶好調。絶対的強者であるのをいいことに”首を洗ってきたんだろうな! どこの首だ?”との問いに”乳首”と信者に囁かせるなど、WOWOW生中継などお構いなしの傍若無人っぷりであった(笑)。

その後アリーナの中央にある「デベソ」に閣下が登場、小教典としては聖飢魔Ⅱ史上最もヒットした「BAD AGAIN -美しき反逆-」が早くも披露され、客席が陶酔する中、美しい世界から一転、邪悪なリフがリードする「鬼」やスケール・アウト気味の奇怪なギターと和尚のスラップ(長尺のソロ・タイムまで!)が冴える「RENDEZVOUS 60 MICRONS’」。

そして間奏で突如プログレ化する際の殿下の正確無比なドラミングに釘づけであった「嵐の予感」、声無き(動作による)コール&レスポンスが楽しい「呪いのシャ・ナ・ナ・ナ」などをプレイした後、第1部の最後を締め括ったのはこれまた何と「悪魔組曲作品666番変二短調」より「STORMY NIGHT」、そして「蠟人形の館」を挟んで再び悪魔組曲より「DEAD SYMPHONY」の3曲をメドレーとしてプレイすると言う離れ業をやってのけた。

KAMISORI SYUTO
ゾッド星島親分

さらにステージには不穏な影がもう1名。そう、冒頭にも記した通り、ゾッド星島親分が降臨なされたのである。”まさかりかついで金太郎”ならぬ、”まさかりかついだ星島親分(親分のベースはボディが斧、ヘッドが鎌の形状をしているとってもキケンなシロモノなのだ)”だ。これに負けじと閣下は伝家の宝刀“天地逆転唱法(閣下が三点倒立しているのではなく、文字通り閣下がこの瞬間だけ天地を逆転させている)”で応戦。筆者は仕事を忘れ歓喜の声を上げたのであった(笑)。

天地逆転唱法を披露する閣下

胸に熱い物が込み上げる
「LOVE LETTER FROM A DEAD END」のエンディング

第2部へと続く幕間では”信者の質問に答えるコーナー”としてラジオ風の場内放送がかかる。代官の親バカ・エピソードや相変わらずのパンダ愛を炸裂させる殿下など、悪魔の黒ミサとは思えない微笑ましい一幕も見られ、今度は幼女の声のアナウンスで”次の曲は携帯電話のライトでステージを照らしてもいいよ”との啓示があり、続く「WHAT’S HAPPENING?」での光景となったわけだ。感動的なムードを切り裂く様に間髪入れず「地獄の皇太子」、そして再び感動的な「WINNER!」へと繋げていくなど、新旧織り交ぜたセットリストを繰り広げてくれた。

愛用するDWのキットでプレイする殿下

再び最新大教典より「永遠の詩 -A Song Of The Deceased-」がプレイされると、そろそろ黒ミサも終盤となっていることに気づかされる。”この曲が苦境に立たされた我々を支えてくれた”と演奏した後に閣下が述べた疾走感溢れるシンコペーションと切ないメロディ展開がたまらない「BRAND NEW SONG」へと繋げ、黒ミサの終焉を告げる曲として選ばれたのは、これまたまさかの最新大教典のオープニングを飾る「LOVE LETTER FROM A DEAD END」であったのだ。”旅立つならば 退路などない”という一節が含まれる楽曲、その配置の意味を考えるだけで胸に熱い物が込み上げるエンディングであった。

音が止まった後、魔界からのお迎えが来てしまう。光の中へ1名、また1名と消えて行く構成員。エンドロールにはしっかりとエース清水長官(g)、そして最後にはダミアン浜田陛下(g)の名が。信者にとってこれ以上に有難い采配があるだろうか?

閣下はMCで「40周年は再来年だけどどうする?」と仰られていたが、待っていても良いのだろうか。何れにせよとうに退路など捨てているし、覚悟も決まっている我々信者は、次なる再集結を夢見て再び教典のさらなる理解へと精を出すのみなのであるが。