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【Interview】ザ・ローリング・ストーンズ新作リリース記念! スティーヴ・ジョーダンがチャーリー・ワッツ&ストーンズを語る!!

  • Interview:manuel dubigeon/©︎Batterie Magazine 193
  • Translation:Tomoko Yotsumoto
  • Photo:Paras Griffin/Getty Images

ザ・ローリング・ストーンズがスタジオ・アルバム『ハックニー・ダイアモンズ』を10月20日 に全世界同時リリース。本作でもプレイしているのが、2021年に急逝したチャーリー・ワッツの代役として、そのドラムの座を務めるスティーヴ・ジョーダン。リズム&ドラム・マガジン2023年10月号では、フランスのドラム専門誌『Batterie』が行ったスティーヴの最新インタビューを日本初公開として掲載! アルバム発売を記念し、永久保存版のインタビューから一部を抜粋してお届けしよう!!

引き継ぐことは当然誇るべきことだけど
同時に悲しいことでもある
チャーリーとは親しくしていたから
僕はまだ彼がこの世にいないことを
乗り越えられていないんだ

●昨日(2022年6月1日)マドリッドで、ローリング・ストーンズのドラマーとして2ヵ月間ヨーロッパを回る、Sixtyツアーの初日コンサートが行われました。緊張の初日でしたね。

スティーヴ もちろん。チャーリーの代役として(2021年の)アメリカ・ツアーに参加したけれど、ストーンズの新しいドラマーの衣装を着て参加するのは昨日が初めてだったからね。引き継ぐことは当然誇るべきことだけど、同時に悲しいことでもあるんだ。チャーリーとは親しくしていたから、僕はまだ彼がこの世にいないことを乗り越えられていない。

だけど幸運なことに、コンサートではすぐに膨大なエネルギーに包まれて、みんなが完全に1つになれた。最高だったね。オーディエンスは本当に素晴らしく、僕を応援してくれた。大ファンにとってはヒーローの代わりの誰かを見るのは難しいだろうとは思うけれど、僕は本当に気持ちが温かくなった。一緒に楽しんで、この伝説的なバンドを今でも楽しめることを心から喜んでいたよ。

●あなたがミック(ジャガー)やキース(リチャーズ)と定期的に活動するようになってまもなく40年になります。それがあったからこその一体感であり、一朝一夕ではないと思います。そして彼らとの演奏にも随分慣れているように感じました! チャーリーの精神をどうやって自分のものにしたのですか?

スティーヴ 数々のプロジェクトでコラボレーションをしてきたし、とてもいい友人だからいつも仕事がしやすかったよ、チャーリーのエレガントな足元に飛び込むときは特にね。僕にとって本当のチャレンジは、ずっとストーンズのファンだったこと……彼らの初期のアルバムは暗記しているほどだからね。それにも関わらず、50年間も同じ曲を演奏していると、どうしても少しだけ変化を加えて演奏したくなることをよく理解しておかないといけないということ。

そしてドラム・パートが常に進化していることもそう。でもいろんな録音を聴き返していると、原点に戻って、初期のバージョンで演奏したくなってくる。それが僕にとって最も親しみやすいものだからね。それでリハーサル中によく「ほら、昔、君らはこんなふうにやっていただろう、やってみないか?」という話をしたんだ。そしたらキースが、昔のアレンジ精神を取り戻してくれて驚いたよ。

まぁそれがうまくいかないこともあった。みんなもっとロックでパンチの効いたモダンな雰囲気や、押し出しの強いものを求めていたからね。でも結局、全体的には昔のアレンジが功を奏したんだ。それによって僕が大好きなストーンズのルーツっぽい雰囲気のある演奏ができたからね。

●この絶妙なグルーヴの中では、ダリル・ジョーンズとのコラボレーションに気を遣ったのではないかと想像します。あなたはどちらかというと“じっくり派”(レイドバック寄り)で、彼は前へ引っ張っていく派ですから。いかがでしょうか?

スティーヴ いや、そんなことはないよ! 僕は楽曲が何のために作曲されたのか、その本質に沿って演奏しているからね。必要に応じて君の言う“じっくり”なこともあれば、前に進むこともある。そしてストーンズのレパートリーに関しては、グルーヴをキープするために前進しないといけないのは事実だ。その上でダリルとのコラボレーションは最高だよ。

なぜなら彼は素晴らしいエネルギーを持っていて、どちらのテンポでも柔軟に演奏できる。特にライヴでは可能な限り演奏を引っ張っていく必要があるからね。ステージ上を動き回るミックを見れば、彼が無尽蔵のエネルギーをどこからもらっているのかわかるはずさ! さらにダリルがパンドに加入した1990年代、チャーリーはすでによりソリッドでダイレクトな演奏スタイルに変えていた。だから彼は完璧にバンドの雰囲気に溶け込めたんだ。

でもストーンズにおけるリズムの原動力であり、バンドが成功した要因はギターとドラム双方の協力体制だと僕は思っている。そこでチャーリーが楽曲にとって本当に重要な存在だとわかるんだ。キース・リチャーズの伝説的なリフが完全にドラムのフレージングに基づいているということに気づくだろうし、またその逆も然りだ。とりわけ、「Jumpin’ Jack Flash」や「Street Fighting Man」のような伝説的な楽曲の多くは、スタジオではキースがベースを演奏していたということも忘れてはいけない。

彼ら2人は対位的に機能していて、ベースはミキサーのような役割を果たし、ソースを引き立たせる触媒のようなものなんだ。その意味でも、ダリルとの作業はとても効果的なんだ。なぜなら彼は重厚感をつける役割が自分にあることを理解している。それでいて素晴らしい存在感を保つ方法も知っているからね。

ザ・ローリング・ストーンズ
『ハックニー・ダイアモンズ』

本誌では、チャーリーへの想いやストーンズでプレイする上での挑戦、ドラム・サウンドの秘訣や未来のドラマーへのアドバイスなど、スティーヴが語り尽くした10000文字超えのインタビューを掲載!! さらに横山和明による機材解説や、最新参加アルバムのドラミング分析など10ページに渡って展開するアーティスト特集となっております。インタビューの全編はドラマガ2023年10月号にて!

続きは発売中のドラマガ2023年10月号をチェック!