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    ドラムが叩ける!お宅訪問[Webオリジナル]#1 東京都在住 軽音ひとり宅スタジオ

    • 取材:編集部 文:西本 勲 撮影:八島 崇

    どんなチューニングにしても
    低音が回ってしまうことはありません

    軽音ひとりの要望に叶う高い遮音性能を確保するため、壁は標準的な石膏ボードを重ね張りした形ではなく、砂とセメントを使った湿式を採用。石膏ボードの約3倍の重さがあり、壁の質量を上げることで低域の音漏れを抑えている。また、建物の構造上スタジオの床は必然的にコンクリートを使うことに。その結果実現したタイトな低音も、このスタジオの特徴となっている。

    「スタジオに置いているセットのバス・ドラムは22″なのですが、どんなチューニングにしても、部屋の中で低音が回ってしまったことはありません。音に関してはとても満足していますね」

    ドラム・セットは旧SAKAEのTrilogy(22″×14″BD、12″×8″TT、16“×14″FT)、スネア・ドラムはラディックLM402(14″×6.5”)。シンバルは左からジルジャン14″ Kカスタム・セッション・ハイハット、16″ Kカスタム・セッション・クラッシュ、22″ Kコンスタンチノープル・ミディアム・ライド、18″ Kカスタム・セッション・クラッシュ、右端は小出シンバル10″ 503シリーズ・スプラッシュ+ジルジャン10″スプラッシュ。
    鏡の部分には着脱式の吸音パネルを取りつけられるようになっている。本格的にマイクを立ててレコーディングする際に、音の反射を抑えて響きを調整するための工夫だ。「まだコロナ禍で難しいですが、ベーシストなどを呼んでリハーサルやレッスンをするとなった場合も、パネルはあった方が良いですね」。3枚のパネルをトリコロール・カラーにした遊び心にも注目。

    こうして完成したスタジオで撮影された軽音ひとりの動画は、昨年4月のYouTubeチャンネル開設以来500本近く。「YouTubeを始めてみたら、思っていた以上に楽しかったんです」と話す。

    YouTubeチャンネル「軽音ひとり」の動画

    「今、スタジオの用途として一番多いのもYouTubeの撮影です。これは持論なんですけど、人に見せれば見せるほど、演奏は上手くなると思うんです。つまり、撮影すればするほどドラムも上手くなる。でも、“叩いてみた動画”に代表されるドラムの動画って、基本的にドラマーにしか見られていないじゃないですか。もっと一般の人がドラムの動画を見るようになれば、ドラム業界も盛り上がるし、プレイヤーにとってもうれしいこと。ドラムは演奏の動きがわかりやすくて、見た目にも映えるので、YouTubeに向いているはずなんです。だから僕は今の現状を変えたいし、そう考えていろんな動画をアップしています。そのためにも、スタジオを作って本当に良かったと思っています」

    出入り口は木製防音ドア2枚で、その右には縦長の窓も設置。高遮音を実現するため屋外向けの窓をつけていないこの部屋で、わずかながらも閉塞感を和らげる役割を果たしている。「動画撮影も編集も全部ここで完結できるようになっているので、部屋に篭りっきりになったときに外から安否確認できるという意味合いもあります(笑)」。
    作曲/アレンジ/レコーディングなどを行うシステムはiMacとLogic Pro。
    ドラム・セットに座った状態で操作できる位置に置かれている。
    隣家に最も近い北西方向に対して外壁前1m=D-80等級を実現するなど、
    一般住宅として最高レベルの遮音性能は注目に値する。

    アコースティックエンジニアリングとは?

    株式会社アコースティックエンジニアリングは、音楽家・音楽制作者のための防音・音響設計コンサルティングおよび防音工事を行う建築設計事務所。1978年に創業して以来、一貫して「For Your Better Music Life」という理念のもと、音楽家および音楽を愛する人達へより良い音響空間を共に創り続け、携わった物件の数は2,000件を超えている。現在も時代の要請に答えながら、コスト・パフォーマンスとデザイン性に優れ、「遮音性能」、「室内音響」、「空調設備」、「電源環境」、「居住性」というスタジオの性能を兼ね備えた、新しいスタイルのスタジオを提案し続けている。

    株式会社アコースティックエンジニアリング
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