GEAR

UP

復刻! PROMUCO ジョン・ボーナム・シグネチャー・スティック

  • Photo:Takashi Yashima
  • Interview & Text:Seiji Murata

1964年にドラム・スティックの製造を開始したプロムコ社。本国イギリス国内だけでなく、バディ・リッチをきっかけに全米でも影響力のあるドラマー達に愛用者が広がったが、ジョン・ボーナムも70年代初頭にかけプロムコ社で作られたオリジナル・スティックを“Trees”と呼んで愛用していたという。そのスティックは90年中頃まで発売されていたが、今年1月プロムコ・ブランドでスティックの再生産が始まったことをきっかけに、何と厳格な基準で1970年代バージョンと同じ重量とサイズ、プロファイルで作られたジョン・ボーナム・シグネチャー・スティックが復刻! その実力を、ジョン・ボーナムに詳しいBUCK-TICKのヤガミ・トールに試奏してもらった。

John Bonham Signature“Trees”

19015JB/¥2,000(税抜)

●Specification[素材]プレミアム・ヒッコリー[直径×全長]15mm×410mm[チップ]Acornウッド・チップ

  • 重量、サイズ、形状、伝説のAcornウッド・チップも70年代当時のモデルを忠実に再現

神田商会オンライン・ストアで探す

Impression ヤガミ・トール[BUCK-TICK]

ウェイトのわりにすごく使い勝手が良くバランスが良いと評判

太めのバランスの良いスティックを
真ん中寄りでグリップして自分の
ドラムの最大限を引き出していた

ジョン・ボーナムは年代によっていろんなスティックを使っていたと思うんですけど──“天才は繊細”ですから──このモデルは資料によると1970年代初期に使用していたものということで、以前(ボンゾが77年以降に使用していたと言われるラディック2Aを元に)復刻されたものと比べると長さも短く、チップ形状も違いますね。実際に使ってみると、振りやすくて、すごくバランスが良い。ウェイトのわりにはすごく使い勝手が良いと思います。“ジョン・ボーナム・モデル”なんていうスティックが出ると、いろんな人の意見が聞きたくて、発売されてすぐ2ダース買って、知り合いのいろんなドラマーに配りまくったんですけど、みんなバランスが良いって言いますね。(ジョン・ボーナムに詳しい)湊(雅史)君や小関(純匡)君も“バランスが良い”という意見でした。

ジョン・ボーナムはスティックの真ん中寄りでグリップしますけど、クラシックのパーカッショニストを見ててもそう。もともとそれが基本で、リバウンドを使うにはバランスが一番良いんじゃないかと思う。だからジョン・ボーナムも、グリップ・エンドを持って力いっぱいあのデカい音を出しているんじゃないですよね。最初期、ニュー・ヤードバーズからレッド・ツェッペリンになったばっかりの頃の映像(69年)を観ると、スティックを回したりしながらパフォーマンスの一貫としてビシ叩きしていますけど、もう『狂熱のライヴ』(73年)では、めちゃくちゃキレイな教科書のようなフォームで叩いてる。で、(79年の)ネブワース(フェスティバルのライヴ)ではもうそれが極まって、フォームと音が“反比例”なんですよね──軽く叩いてる感じなのに出音は“ダァッ!!!”って言ってる。それはジョン・ボーナムと同時代のカーマイン・アピスにも感じたんですよ。90年代終わり頃、2mくらいの距離でアピスの生音を聴いたら、同じセットを叩いたドラマーに比べて音のヌケ方が倍くらい違ったんです。でも決して強く叩いてるわけじゃないんですよね。

やっぱり彼のサウンドは、そもそもチューニングがばっちりなことに加えて“プラスα”の部分がたくさんある。こういう太めのバランスの良いスティックをそうやってグリップして、自分のドラムの最大限を引き出していたのもその1つだと思う。スティックの役割も(ボンゾ・サウンドにとって)当然大きかったからこそ、我々“ツェッペリン研究会”はもちろん(笑)、たくさんのフォロワーが、ボンゾがどんなスティックを使っていたのかを知りたがったわけですよね。

ジョン・ボーナムがPROMUCOの”TREE”を使っていたとされる70年代初期のドラム・ソロ映像

Information

PROMUCOでは、アメリカン・ヒッコリーやロック・メイプル、オークの2B/5A/5B/7A(アメリカン・ヒッコリーにはナイロン・チップもあり)、さらにワイヤー/ナイロン・ブラシやバンブー・ロッズもラインナップしている。詳しくは下記サイトへ。

PROMUCO日本公式サイト http://www.kandashokai.co.jp/flos/promuco/