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G-STAFF Acrylic Snare Drums

  • Text:Rhythm & Drums Magazine Review:Makito Yamamura Photo:Takashi Yashima

看板やパーテーションなど、アクリルを使った数々のオリジナル製品を手がける会社=G-STAFFがドラム事業に参入し、スネア・ドラムをリリース! 東京都内の自社工場にて、アクリル加工を熟知した職人が手作業で仕上げるスネア・ドラムは、サウンド&ルックス共に、従来のアクリル・モデルとは異なる魅力を放っている。ここでは“東京発”となるスネア・ドラムの実力を詳しく検証。レビューや本モデルのプロデュースを手がけたスタッフのインタビューを交えてその魅力に迫ってみたい

GSK14-5006

【Spec】サイズ:14”×5” シェル:アクリル(6mm厚/透明度0.5) エッジ:45度 フープ:スティック・セイバー・フープ(2.3mm) スナッピー:スティール20本 ヘッド:EVANS G2コーテッド(トップ) Snare Side 300(ボトム) 価格:¥90,090(税込)

【GSK14-5006/High Pitch】

【GSK14-5006/Low Pitch】

GSK14-5010

【Spec】サイズ:14”×5” シェル:アクリル(10mm厚/透明度1.0) エッジ:45度 フープ:スティック・セイバー・フープ(2.3mm) スナッピー:スティール20本 ヘッド:EVANS G2コーテッド(トップ) Snare Side 300(ボトム) 価格:¥95,040(税込)

【GSK14-5010】

Review
初志貫徹なインパクトの良さを強く感じるスネア

Made in Tokyo! シェル厚6mmと10mmのアクリル・スネア2機種。過去一番に試奏時間をかけたスネアかもしれません。今回はこれが試奏者として最大の褒め言葉であることを、最初にお伝えしたいと思います。

6mm厚のGSK14-5006は、“これアクリル?”と思う瞬間があるほどで、立ち上がりが早くてヌケも良く、チューニング・レンジのポテンシャルが実に広いです。正直、ブラインド・テストしたら、アクリルだと思わない人も多いのでは。裏表ロー・ピッチから始めて、ボトム上げ〜トップ上げ〜ボトム下げと、散々試しながら、“まだここにも美味しいポイントがあるのか”と思うほどでした。いろんなところで、いろんな魅力や色気を見せてくれます。Evansであることも含め、かなりのハイピッチでも適度なしなやかさが残って叩きやすく、一貫してサウンドのまとまりとスッキリとした清潔感をセット全体に与えてくれます。透明度0.5度、シェルが透き通ってパーツの裏側もクッキリ。透明度とこのシェルの特性とどう関係するのか検証はできませんが、実際ここまでの手応えがあるのは材の純度や硬度的なものかと考えてしまいます。

10mm厚のGSK14-5010は、やはりズシリとした安定感と重厚感が増します。ちょっとゴツいアクリルという感じ。6mmほどの融通はないと感じますが、むしろこちらが一般的な範疇かと思います。内巻きフープで、柔らかさや弾力がつきすぎるかなと思いましたが、充分にストレートで、ハード・ヒッターにオススメ、というお決まり文句もさることながら、スティックや奏法、そしてドラム・セットとの相性で考えると、こちらの方がスネアとしての収まりの良さを感じる人も多いでしょう。

今回、かなり短期間でプロジェクトを完遂させたとのことで、初志貫徹なインパクトの良さを強く感じました。個人的には、さらに薄いシェルや極厚レインフォースメントなど想いが膨らみました。セットやハードウェアも作って欲しいですね。ぜひとも! ぜひとも! 多くのドラマーに叩いてみてほしいと思います。

  • シェル厚6mm、透明度0.5の5006。

Interview
今までのアクリル・スネア・ドラムとは違う
パワフルでカリスマ性を持ったものを作りたい

スネア・ドラムのプロデュースを手がけるG-STAFFの内田賢人さん。マーチング・ドラム奏者としても活躍。

●G-STAFFはアクリルを使ったさまざまな製品を手がけていますが、新たにドラムの開発/発売へと至った経緯を教えてください。

内田 経緯としては、自分がマーチングをやっていて、G-STAFFがアクリル加工を自社でしていたので、やってみようという思いつきです(笑)。そしたら思いの外良いものができたという感じです。スネア・ドラムができたことで、他にもたくさんアイディアが浮かびました。もっと良いものを作り、提供したいので、もちろん、第二弾も考えているところです。

●立ち上げに当たってどのようなドラムを作ろうと考えていましたか?

内田 今までのアクリル・スネア・ドラムとは違う、パワフルでカリスマ性を持ったものを作りたいと考えていました。アクリル・シェルのスネア・ドラムは壊れてしまうという話を楽器屋の店員さんに聞きまして、耐久性にはこだわりたく、シームレスのアクリル・シェルにしました。あとは私がマーチングや吹奏楽をやっていたからなのか、イメージしたのはブラスや木材の間のような固すぎず温かすぎず、重たくてパワフルなサウンドをイメージしました。そしてさまざまな風景や会場に溶け込む透明度の高いシンプルなデザイン。小さな音でもスナッピーがよく反応するスネア・ドラムを作りたいと考えていました。

●アイディアの考案から製品化するにあたってこだわった点と、最も苦心した点を教えてください。

内田 私自身が東南アジアを中心に活動することが多く、湿気で楽器が歪んだり、シミになっていたりして、壊れてしまった楽器を多く見てきました。そのため、空気/気候による変動が受けにくいドラムを作成したいと4年前から考えていました。それでアクリル・シェル……それも耐久性のあるシームレスのシェルを選びました。音の面ではアクリル・ドラムは、“鳴らない・音が止まる・詰まったような音がするなど、さまざまな意見を聞きます。曇らずに鋭くパワフルなアタック音と、スナッピーが小さな音でもよく反応するよう、エッジ加工はもちろん、スネア・ベッドやベント・ホールの位置、金属部品をなるべくシェルに直接つけないようにするなど、シェル加工にはかなり苦労しました。特にアクリルの穴開けは難しく、途中で欠けてしまったりと、職人さんも大変だったようです。すべてハンド・メイドでやっているため、それも味があっていいんですけどね(笑)。そしてさまざまな風景や会場に溶け込むスネア・ドラムにするために、透明度の高いアクリルを採用し、ドラム・メーカーらしいドラムではなく、看板屋が作るシンプルなデザインにしました。G-STAFFはもともと、アクリルの加工を行っていたため、職人さんの技術が高く、試作品段階でかなり完成度の高いものができました。また、工場が隣接しているため素早いやり取りと修正ができたため、このスピード感には興奮しましたね(笑)。

●GSK14の2モデルは、同じサイズでシェルの厚さを変えていますが、アクリルの場合、シェルの厚さを変えることでサウンドにどのような変化が生まれるのでしょうか? 

内田 アクリルの場合、厚さを変えることによって木材よりも楽器の重量が大きく変わります。重量が大きく変わることによって、音量よりも音の厚みが分厚くなりました。もちろん、音量も上がりますが、分厚いことによって聴いていても重い、重量ある音がします。

●今後はどんな展開を考えていますか?

内田 今後もアクリル・ドラムの可能性を広げるために、マーチング・ドラムやドラム・セット、ドラム用アクリル・パーテーションなど、さまざまなものを作成していきたいと考えています。もちろん色のバリエーションなども増やしたいですね。

⬇️G-STAFF Acrylic Snare Drums HP⬇️
https://www.g-staff.shop/about-video

Information
G-STAFF Acrylic Snare Drumsの詳細は、9月16日発売のドラム・マガジン2020年10月号にも掲載! 
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