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試奏レポート【FUNCH CYMBALS】Old K Clone Model 14″ Hihats & 22″ Ride

  • Review:Yusuke Nagano Photo:Masao Sekigawa

デンマークの個人製作家による
シンバル・ブランド=Funch Cymbalsより
Old Kを再現した“クローン・モデル”が完成

デンマークのコペンハーゲンで活動するシンバル製作家、Lasse(ラッセ)氏が展開するブランド=Funch Cymbals(ファンチ・シンバル)。“Old K Clone Model”はその名の通り、ヴィンテージのKジルジャンの再現を目指し、“クローン”と名づけられたシリーズで、ハンド・ハンマリングやカップ形状、経年変化したような雰囲気を醸し出すパティーナ・フィニッシュからも、オリジナルへの強いこだわりがうかがえる。

今回試奏したのは、22″で重量2279g(裏に印字あり)のライドと、14″で742g/759gのペア・ハイハット。共に低く落ち着いたピッチで、ツブ立ちの良さと新品ながら枯れたニュアンスが特徴とのこと。ヴィンテージ・サウンドを求めるプレイヤーはぜひ一度試してみては?

22″ Ride
2279g
¥182,600
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14″ Hihats(ペア)
742g+759g
¥182,600
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Review

22″ Ride
“ウネるような倍音の中でも主張してくる
温かみのあるピング音とのバランスが抜群”

ライドもハイハットもその見た目の厳かな雰囲気に惹きつけられます。表面は、パティーナ・フィニッシュと呼ばれる古色がかった薄黒いスモーキーな仕上げと、ゴツゴツとした大きなハンマリング。このルックスが、いかにも味わい深いヴィンテージ・シンバルのような雰囲気を盛り上げます。また手にしたときの軽さにも驚きましたが、どちらもボウの部分を軽く押しただけでペラペラと揺れる柔らかさです。

ライドは22″ならではの、低域の効いたウネるような倍音。そしてその深いサウンドの中でも、しっかりと主張してくる温かみのあるピング音とのバランスが抜群です。繊細なタッチにもセンシティヴに反応してくれて、逆に倍音を“グワン・グワン”と多めに引き出すように荒く刻んでも、太いツブ立ちが抜けてくるので扱いやすさを感じます。扁平なカップも特徴的で、通常のシンバルのような高音域は抑えめですが、そこから広がるライド・ゾーンの緩やかな曲線が、枯れた複雑な倍音を生み出すポイントにもなっているのでしょう。エッジをクラッシュしたときの重厚な響きに包まれて演奏する心地良さも格別でした。試奏ではヒッコリーやメイプルなど、数種類のスティックを試しましたが、チップの形状や材質で、音色が影響されるのも楽しい部分。さまざまな表情を引き出すことができます。

シンバルの表にはよく見ると「funch Denmark」の刻印。スタンプなどは一切なく、サウンドはもちろんルックスの細部までヴィンテージ・シンバルの再現にこだわった逸品。

14″ Hihats
“金属本来のぬくもりが際立つ
いつまでも演奏していたくなるシンバル”

ハイハットは、トップ/ボトムともまさしくペーパー・シンと形容できる薄さ。キラキラした成分を極限まで削ぎ落とした結果、金属の“ぬくもり”が際立ってくるオールド・テイストのサウンドは、一般的なハイハットとは次元の異なる響き。倍音をまとわない基音がリアルに浮き立ち、タッチによる音色変化も非常に繊細に表現されます。またシンバルの軽さゆえに、つま先を軽く脱力しただけで、程良いジューシーなハーフ・オープンが得られ、ペダルで踏んだ音色もボリュームは控えめですが、リズムの点を明確に伝える芯が備わっていて素晴らしいと感じます。ボウの湾曲具合いなどに個体差がハッキリ出ているのも手作りならでは。2つと同じものが世界に存在しない組み合わせから得られるサウンドは、貴重で感慨深さも感じます。いつまでも演奏していたくなる優しいシンバルですね。

カップの裏には個体の重量を記載(編集部撮影)。

商品ページ:MIKIGAKKI.COM
お問い合わせ:三木楽器ドラムセンター(☎06-6343-1455)