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    生誕100周年記念! 創始者=ルイ・ベルソンが語るツーバス誕生秘話!!

    ツーバスの創始者として知られる伝説のジャズ・ドラマー=ルイ・ベルソン。今年は彼の生誕100周年のアニバーサリー・イヤー。9月13日発売のリズム&ドラム・マガジン2024年10月号では、100周年を切り口に、独自の進化を遂げた日本のツーバス・ドラマーたちにフォーカスした特集を実施! 発売を前にあらためてルイ・ベルソンがツーバスについて語った2003年12月号のインタビューを再掲載!

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    リズム&ドラム・マガジン2024年10月号

    ツーバスを考案したとき
    当時のドラム・メーカーは
    私の頭がおかしいと思っていたよ

    ●あなたがツーバスを考えついたのは1938年、高校の美術の授業中だったそうですが?
    ルイ・ベルソン うん。“オリジナルのコンセプトを持った新しいものを創作する”という課題でね。私はダブル・ベース・ドラム(以下、ツーバス)の図面を引いて先生に見せたんだ。そうしたら先生も良いアイディアだと褒めてくれて、Aの成績をくれた。だからそれを実際に発展させてみたんだけど、図面を基に現実にドラムを作るとなると話は違った。どのメーカーへ持っていっても、頭がおかしいんじゃないかと断られた。でも、どうにか実現してくれたのがグレッチでね。作ってもらったセットはしばらく自分だけでプレイしていた。

    人前で叩くようになったのは1943〜4年になってからだ。47年にトミー・ドーシー・オーケストラに加入したが、これがツーバスのアイディアをさらに広くプロモートする機会になった。すでにこのアイディアは成功していたからね。51年にデューク・エリントン・オーケストラに加入した頃には、デューク・エリントンも十二分にツーバスの良さを理解してくれた。そして大ヒット曲「スキン・ディープ」(作曲:ルイ・ベルソン)も生まれたんだ。

    この頃から他のドラマーがツーバスを取り入れるようになった。いち早く取り入れたのはエド・ショウネシーやビリー・コブハムだったな。その後、デニス・チェンバースなども使うようになったあたりでツーバスが定着した感がある。私としてはツーバスは1つの選択肢だと考えている。必要な人は使えばいい。世界中でたくさんの若いプレイヤー達がこのアイディアを試したり、素晴らしいプレイをしているのを見るのはとてもうれしいが、一方でバス・ドラム1つ、スネア1つ、タムやシンバルが少々と、スティックとブラシがあれば、基本的な用は足りるとも言える。もちろん、ダブル・ペダル(ツイン・ペダル)も良いだろう。でも私はツーバスを気に入ってるし、見せ物ではなく本当に必要だからこそセットしている。

    ●そもそもどうしてツーバスが必要だったのですか? スピードや音量を求めたのでしょうか?
    ルイ・ベルソン 子供の頃、タップ・ダンスをやっていたので、鍛えた左足でもバス・ドラムを扱えたら良いなと思ったんだよ。

    ●ツーバス・キットの図面を見て、グレッチのスタッフはどんな反応を示しましたか?
    ルイ・ベルソン 最初は彼らも私のことをクレイジーなヤツだと思っていたよ。だが親切にもキットを作ってくれたんだ。

    ●初期のキットでは、2つのバス・ドラムの間に長いフロア・タムがセットされていますが。
    ルイ・ベルソン あれもまた、見せ物じゃなくて使うためにセットしたんだ。この手のセットを使っていると、こけおどしじゃないかと思われることが多かった。叩きもしないのに派手にいろんなものを並べていると。私は必要なものしかセットしないし、若い人にもそうするように薦めている。私にはさまざまなタムタムやシンバルの音色が欠かせないからセットするまでだ。

    ところであのグレッチのキットはバス・ドラムが20”×20”、その間のフロア・タムが18”×26”だ。フロア・タムは主にドラム・ソロで使っていたな。最初はあのセッティングが良さそうだと思ってたんだが、そのうち足を大きく広げなきゃならないのにうんざりしてね。その後は他のタムをもう少し自分に近づけてセットしていた。1946年頃のセットではフロア・タムは15”×15”、18”×15”と小さくなった。数は2つに増えたけれどね。

    ●ツーバスを考案したとき、どのような音楽に対応しようと思っていましたか?
    ルイ・ベルソン コンセプトとしては、テナーやトランペットのリード演奏とシンコペートさせ、同時にバンプ・ビートを刻むことだった。まだ子供だったけど、いずれジャズとラテンは結びつくって思ってたんだよ。このスタイルはいろんな部分で関連があるし、ラテンはロックとも関連があるからね。そこでバス・ドラムを2つ使えば、ブラジルのラテン奏者がサンバをプレイするようなリズミックなプレイがそうできるんじゃないかと……子供ながらにそう気づいてたんだ。

    ツーバスは私がトミー・ドーシーのバンドでプレイすることによって、初めて注目されるようになった。私がツーバスをプレイする姿を観た観客は「あんなに足の動きが速いドラマーを観たのは初めてだ」って言ってたよ。その後、私は観客に自分のソロを見せる“見せ場”を作ったんだ。私のソロにくると、トミーがあるボタンを押すんだ。そうすると、ドラムの台座がゆっくり回転して、観客にも私の裏側が見えるという仕掛け。それでみんなようやく私がバス・ドラムを2つ使っていることに気づいたんだよ。

    ●バス・ドラムのピッチは両方同じですか? あえて左右のピッチを変える人もいますが。
    ルイ・ベルソン 僕の場合は両方まったく同じだ。エド・ショウネシーは、左右のバス・ドラムのサイズを変えていたことがあるが、私はそれすらしていない。いつも同じサイズ、同じチューニングだ。

    ●あなたはツイン・ペダルに対しても好意的のようですが、でもご自身ではツーバスを使い続けていますよね? それはなぜですか?
    ルイ・ベルソン ツイン・ペダルは素晴らしいアイディアだ。サウンドもいいし、バス・ドラムは1つだけというのも大きなメリットだ。だが私は2つのバス・ドラムを同時に叩いた(踏んだ)ときのラウドさなど、ツーバスならではの部分が気に入ってるんだ。

    ●あなたが編み出したツーバスというスタイルを最も発展させたドラマーは誰だと思いますか?
    ルイ・ベルソン スティーヴ・スミス、ヴァージル・ドナティ。ヴァージルは特に足捌きに優れたテクニシャンで、すごいことをやってのけ、ツーバスを進化させた。デニス・チェンバースもその1人だ。そうそう、テリー・ボジオも忘れちゃいけないな。

    ●今や、とても人間業とは思えないハイ・スピードでプレイしたり、たくさんのバス・ドラムをリモート操作するドラマーもいます。ツーバスというものがこれほどポピュラーになり、これほどの進化を遂げるとあなたは予想していましたか?
    ルイ・ベルソン うん。ポピュラーになるのは、まぁ予想していたと言えるだろう。

    ツーバスの始祖=ルイ・ベルソン生誕100周年を記念し
    “日本のツーバス・ドラマーたち”にフォーカスした
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