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    リハスタ激戦区=下北沢で独自のスタイルを貫き続ける、ドラマーも注目のスタジオを拝見!〜スタジオベイド下北沢〜

    • 取材:編集部 文:西本勲 撮影:八島 崇 

    古くから音楽や演劇などのカルチャーが盛んな街、下北沢。ライヴ・ハウスも多いことから、この地を訪れるバンドマンも多く、リハーサル・スタジオも多数存在する。そんな下北沢で、リハスタとしては比較的後発ながら、コロナ禍も乗り越えて堅調に営業を続けているのがスタジオベイド下北沢店だ。激戦区で生き抜くアイディアが随所に盛り込まれ、ドラマーも注目したい特徴を持つ同店を取材した。

    “ライヴもできるスタジオ”を
    コンセプトにいろんなアイディアを
    投入した画期的なリハスタ

    スタジオベイドは、高輪下北沢自由が丘新百合ヶ丘(ピアノハウス)に4店舗を展開するリハーサルスタジオ。24時間営業で、予約と決済をオンラインで行える利便性が好評だ。

    2番目の店舗として2012年にオープンした下北沢店は、多くのリハスタがひしめく駅周辺から少し離れているにも関わらず(それでも徒歩7~8分程度)リピーターに恵まれ、もうすぐ12年目を迎えようとしている。

    その理由は、いくつもの点で他のリハスタとの差別化を図ったコンセプトと運営スタイルにある。

    まず、同店の主な特徴を、ドラマー視点も踏まえて挙げてみよう。

    ●常設ドラムは1タム・セッティング

    ●レンタル機材を追加してドラム・セット2台を並べ、レッスンなどにも対応

    ●最も広いスタジオは44帖で、ライヴやイベントに使用できる

    ●全室Wi-Fiと有線LANを完備し、安定したネット配信も可能

    ●リモート・ロックで半無人化を実現

    ●個人練習はサブスクリプション(定額制)も用意

    スタジオはA〜Fの6部屋。アップライト・ピアノを置いたコンパクトなD/Eスタジオを除く4部屋にドラムやギター/ベース・アンプなどが常設され、バンドのリハーサルに対応している。

    地下にありながら天井が高く、スタジオの居心地だけでなく音の響き方という点でも窮屈さを感じさせない。これは生音ありきのドラマーにとってうれしいポイントだ。

    Aスタジオ(12帖)。建物の構造から生まれた鋭角的な隅にドラムをレイアウトし、多めの吸音材で囲んでデッド寄りの響きにしている。ドラム・セットはパールのVISIONで、シンバルはセイビアン。手前の壁には左右幅いっぱいの大きな鏡がある。

    また、ドラマーに対するちょっとした気配りと言えるのが、常設ドラムの標準セッティングが1タム仕様になっていること(室内にはもう1つタムが常備され、2タム・セッティングも可能)。

    リハスタのドラムと言えば2タムのセットが多い中、3点セットで叩きたい場合にタムを外す手間が要らないのはありがたい。

    Bスタジオ(13帖)。部屋ごとに内装の雰囲気が違うのも特徴の1つだ。ドラム・セットはパールのVISIONで、シンバルはジルジャン。写真中央奥のラックに、もう1つのタムが常備されているのが見える。
    Cスタジオ(13帖)。ドラム・セットはパールのVISIONで、シンバルはジルジャン。この部屋は吸音パネルが少なめで、ややライヴ寄りの響きになっている。

    さらに注目したいのがレンタル機材。ドラム関連だとスネア、ツイン・ペダル、エフェクト・シンバルあたりが一般的だが、ここではドラム・セットも用意されている。

    これは、ドラムの個人レッスンでリハスタを利用するケースを想定したもので、講師と生徒それぞれがドラム・セットに座ってレッスンを行うことができる。

    Aスタジオにドラム・セット1台をレンタルで追加した例。普通は1台のセットを使い回すのに対し、ここでは理想的な環境でのレッスンが可能。

    レンタルできるドラムは、通常サイズのキットだけでなく、バス・ドラムが18″のジャズ用キットや、キッズ用の小口径キットも用意。幅広いニーズに対応している。

    Bスタジオにドラム・セット1台を追加した例。1990年代前半のパールBX(バーチ・シェル)で、シンバルのKジルジャン(Keropeなど)も含めてジャズ寄りのセレクションになっている。
    Cスタジオにキッズ・サイズのドラム(パールEXPORT JUNIOR)を追加した例。ペダルに足が届かない小さな子供には、サポート・プレート(パールPSP-1)を無料でレンタルできる。

    そして、同店最大の特徴であり、スタジオのコンセプトを体現しているのが、44帖のFスタジオ。ここはライヴやイベントでの使用も可能で、そのための設備も充実。

    ライヴを行えるリハスタは都内に少ないながらも存在しているが、ただ広いスペースに機材を置いているだけのところもある。そんな中、ここはステージや控え室も備えられた本格的な空間だ。

    最大規模のFスタジオ。ステージやPAシステム、照明機器も用意され、ライヴ・スペースとして利用する場合はスタンディングで約80人、椅子席で約40人を収容可能。右側のカーテンを開けると大きな鏡があり、大人数でのリハーサルやダンス・レッスンにも活用できる。ちなみに、床はダンス・スタジオに多く使われるサクラ材だそうだ。常設ドラムはカノウプスのBirch、シンバルはジルジャン。

    チケットのノルマやチャージ・バックなどを気にすることなく、レンタル料だけでライヴができる。しかも下北沢エリアで……というのは、とても大きな魅力。ミュージック・ビデオの撮影やネット配信に利用するのもいいし、お笑いライヴやアイドル・イベントなどの使用例もある。アイディア次第でいろいろ面白い使い方ができるだろう。

    ちなみに、既存のリハスタを改修して2018年にオープンした自由が丘店も、ライヴが可能な30帖のスタジオを有している。

    ピアノ練習を想定したEスタジオ(5帖)。Fスタジオのステージとつながっていて、ライヴの控え室として使用可能。メイク用のスペースや専用トイレもある。
    Dスタジオ(5帖)もピアノ練習を想定した部屋。こことEスタジオには、ヤマハのアップライト・ピアノが常設されている。

    Next➡Interview〜スタジオベイド下北沢の“これまでとこれから”