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スティーヴ・ガッド来日! 川口千里が間近で体感した、”ドラム・ゴッド”の魅力!!【Report】
- Photo:Yuka Yamaji/Special Thanks:Blue Note Tokyo
- Text:Senri Kawaguchi
ガッドさんは私のドラマーとして
あるべき姿、目標の1つだと確信
アンコールではついに、「Way Back Home」という楽曲でツイン・ドラムをさせていただきました。一緒に演奏している間、うれしそうにこちらを見て、私が何をしているのかを確認しながら、うまくアンサンブルするように立ち回ってくれました。私の方も、ガッドさんが16分を刻んだときの独特な心地良いハネ感をなくさせないように、バック・ビート中心にしたりして、ガッドさんの作り出すグルーヴの波を直接体感しました。もう本当に気持ちの良い時間でした。
前回共演したときも感じたのですが、ガッドさんの波に乗ると、1小節・1拍がとても長く感じるんですよね。そして光栄なことに、今回はツイン・ドラムによる、ドラム・バトルではなくドラム・カンバセーションもさせていただきました!
リハーサルで初めて合わせたときに、ガッドさんがお決まりの6連フレーズをやり始めて、それを真横で聴けたことがうれしくてテンションが上がってしまい、それに対して32分系のシングルストロークで返してしまったんですけど、それだとバトルになってしまうらしく、楽曲が終わったあとに「Don’t be so hard!」と言われてしまいました……反省です(笑)。
飽くまでカンバセーションということで、ガッドさんのフレーズを聴きながら、それを少し拾ったフレーズで返していたりしました。2日目では逆に私がやったフレーズをガッドさんが拾ってくれた瞬間もあり、ひたすら満たされた気持ちになりました。あの瞬間、あの場所で私が一番幸せ者だった自信があります(笑)。
2日目の1部と2部の間の時間に、ガッドさん監修の教則本『GADDIMENTS』と、昨年タイミングよく手に入れたガッドさんモデルのスネアにサインをもらいに控室にうかがったのですが、そのときガッドさんが「君のドラミングを聴いたら、もっと練習しなきゃ!と思ったよ」とおっしゃっていて、とても恐れ多いと思いながらも、とてもうれしい気持ちになりました。
”GADDIMENTS”を最後までやり切ったおかげです、、、。1つだけ悔やまれるのが、”GADDIMENTS”取得後、すぐにデータ化して練習していたがために、本体が折り目ひとつないくらいピカピカな状態だったので、教則本を買ったことに満足して全然やらない人みたいになってしまったところですね(苦笑)。「ちゃんとやりましたよ!」と伝えたつもりですが、言い訳がましかった可能性が(笑)。
演奏はもちろん予想通り、いや予想以上に素晴らしかったのですが、お人柄も本当に素晴らしかったです。リハーサルのときから、1曲終わる毎にメンバーに対して、「大丈夫かい? 問題ないかい?」とお声がけしていたり、オープニングの楽曲を演奏し終わり、袖にはけてガッドさんがステージに上がるのを待っていた私に毎回、親指を立てながら「いい演奏だったよ」とお声がけくださったりと、周りへの気遣いも素晴らしいものでした。
トップ・ミュージシャンになっても偉ぶることなく、演奏に真剣に、常にさらに良いものを目指そうと向き合い、現場が心地良いものになるように気遣うことができる、そんな生ける伝説を目の前でみることができて、ますますガッドさんは私のドラマーとしてあるべき姿、目標の1つだなと確信しました。
80歳手前というお歳ですが、これから先もドラマーの皆さんの目指すべき目標としてあり続けていてほしい、熱いサウンドを残し続けてほしいと強く願っています。また日本で、世界で、ガッドさんとお会いできるよう、共演できるように私もさらに精進し続けます!