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【Live Report】長谷川浩二×FUMIYA×むらたたむが鳴らすヘヴィ・ドラミング! TAMA 50th ANNIVERSARY EVENT <Day 1>

  • Test:Rhythm & Drums Magazine Photo:Hoshino Gakki Hanbai Co., Ltd.

Contents – TAMA 50TH ANNIVERSARY EVENT

■Day 1:長谷川浩二×FUMIYA×むらたたむ
Live ReportFrom ArtistsLive Gear

【近日公開Day 2:FUYU×勢喜 遊×松浦千昇 

Exhibition〜展示/試打フロアをレポート!〜

炸裂する手数と一打入魂のビート
重厚なドラム・セットから繰り出される
三者三様のヘヴィ・ドラミング

2024年にブランド創設50周年の節目を迎えたTAMA Drumsが、去る11月30日から12月1日の2日間に渡り、東京・渋谷STREAM HALLにて、「TAMA 50TH ANNIVERSARY EVENT」を開催。本イベントは、50年の歴史を振り返る展示ブース、新製品の魅力を伝えるトーク・ショウ、実機を叩ける試奏エリア、そしてTAMAアーティストによるライヴ・パフォーマンスで構成。ここでは、1日目に行われたライヴをレポート!

■Live Report
<Day 1>長谷川浩二×FUMIYA×むらたたむ

「TAMA 50TH ANNIVERSARY EVENT」 Day 1の出演アーティストは、長谷川浩二、FUMIYA[Unlucky Morpheus]、むらたたむ[NEMOPHILA]の3名。ステージには、ハードな楽曲をパワフルかつテクニカルなドラミングで牽引する彼らの個性溢れる多点ドラム・セットが鎮座。開演を待つ間に、スチュワート・コープランドやラーズ・ウルリッヒ、そうる透や古田たかしなど、国内外のTAMAアーティスト達から届いた50周年の祝福メッセージ動画も上映され、会場は期待感に満ちていた。

庄村聡泰(MC)

開演と共にまずステージに登場したのは、MC=庄村聡泰。まずはマイクを通さず「50周年おめでとうございます!」とTAMAに向けて祝福のメッセージを贈ると、軽快なトークで会場を温めていく。 [Alexandros]のドラマーを“勇退”した現在のTAMAとの関係性や、お気に入りのアイテム(シンバル・スタンドの転倒を防ぐカウンターウェイト)についてのトークを通じて、同ブランドに寄せる厚い信頼が語られた。

そんな庄村の呼び込みで、いよいよライヴ・セクションへ! トップ・バッターは、FUMIYA[Unlucky Morpheus]。まず抜群のインパクトを放つのは、TAMAのROCKSTARシリーズとStarclassic Performerを掛け合わせた、2バス、4タム、2フロア・タムにシンバル18点、オクタバンも組み込んだ驚異の要塞セッティング。

FUMIYA

1曲目に選ばれたのは、彼の所属バンド=Alternation of Generationsの「レクイエム」。全身をフルに使い、シンバルを絡めて織りなすテクニカルかつ複雑なアプローチ、そしてメロディアスかつダイナミクス豊かなタム使い、独特な緩急のついたキックのフレージングが、ドラムを音階がある楽器のようにも感じさせる。11分という長尺の楽曲の中、多彩で飽きさせないストーリー展開を織りなし、時にバンド・サウンドとユニゾンしながら歌や楽曲を支えた。1曲を終えて庄村とのトークを挟むと、2曲目にしてラストの演目=Unlucky Morpheusの「Ready for a new stage」をプレイ。疾走感溢れるツーバス・フレーズでバンドを勢いづけると共に、力強いヴォーカルを支えるパワフルなドラミングを見せ、ステージを後にした。

むらたたむ

続いての登場は、YouTubeでのドラム・カヴァー動画をきっかけに注目を集め、現在はメタル・バンド=NEMOPHILAの屋台骨を担う、むらたたむ。多種多様なジャンルの楽曲をカヴァーしてきた彼女ならではの幅広さが窺えるセットリストとなっており、2016年のTAMAとのエンドース契約後、初めてYouTubeに動画を投稿した思い出の曲だという「ルパン三世のテーマ」を1曲目にチョイス。

1バス、3タム、2フロア・タムの構成となる愛器=TAMAのStarclassic Walnut/Birchを駆使して聴き心地の良い軽快なリズム&グルーヴで会場を盛り上げると、簡単な機材紹介を経て、プログレ調の華やかなオリジナル・ソロ曲「INNOCENTLY」をプレイ。ここで、スネアを50周年記念復刻モデルのMastercraftシリーズのSteel から“THE BELL BRASS”に替え、NEMOPHILAの「SORAI」と「REVIVE」を続けてプレイ。オーディエンスに笑顔を向けながらヘヴィなドラミングをこなす真骨頂のパフォーマンスを届け、会場を盛り上げた。

長谷川浩二

ラストを飾るのは、TAMAを愛用して約40年となる長谷川浩二。手数足数を繰り出すアグレッシヴなパフォーマンスが続いた中、愛器=Starclassic Mapleの26”ツーバス・セットで長谷川が見せてくれたのは、何とスロー・テンポのバラード曲に合わせた、一打入魂のパフォーマンス。そのどっしりとした1発のサウンドの存在感と重さがオーディエンスに衝撃をもたらし、まず1曲を終えると歓声が上がった。

自己紹介を交えたトークを挟んでTAMAとの関係を語り、持ち前のユーモアでもオーディエンスを楽しませたところで、歌モノのロック・チューンをプレイ。立て続けに約5分のロング・ドラム・ソロに突入すると、重厚な轟音と共に、ダイナミズムを感じさせるパワフルかつ流麗な高速ビートや、静と動のアプローチを巧みに使い分けたプレイで会場を鼓舞。最後に疾走感と瑞々しさのある爽快なナンバーを届け、パフォーマンスを締め括った。大口径のバス・ドラムをナチュラルに鳴らし切ってしまう長谷川の貫禄あるプレイからは、長年に渡り第一線で活躍を続け、培われた経験の深さも感じられた。

パフォーマンスの後は、MCの庄村を交えた4人でのトーク・セッションへ。庄村が長谷川のプレイを振り返り、26”バス・ドラムのサウンドについて触れると、長谷川は「TAMAのドラムは太くて深い音が出るというのを皆さんに伝えたくて、あえてバラードを選びました。26”は敬遠されるけど、TAMAのドラムはこれだけ自然に音を出せます。26”をよろしくお願いします!」とオーディエンスに呼びかけつつ、続けてTAMAスタッフとのエピソードや出演への感謝を語った。

本イベントへの出演について、FUMIYAは「幸せの一言です。TAMAを使い続けて26年で、ここで憧れの長谷川さんとも共演できたことが感慨深いです」とコメント。むらたもTAMAのアニバーサリーを祝福しながら、「もう50年頑張って、次の100周年もお祝いできるように……」と言いかけたところで長谷川がすかさず「(自分は)無理です!」と乗っかり笑いを誘うなど、彼らが魅せた攻撃的なヘヴィ・ドラミングとは一転、和気藹々とした雰囲気の中でDay 1は幕を閉じたのだった。

■From Artists – アーティストのメッセージを紹介

TAMAは僕の人生の一部
何があっても一生TAMAを使っていく


FUMIYA:長谷川浩二さん、むらたたむさんとは同じハード・ロックやヘヴィ・メタルを軸にしながらも、プレイ・スタイルは3人とも全然違いますね。たむちゃんはポップスやJ-ROCKのビートがすごくカッコいいし、ビートのウラをちゃんと感じられて、気持ち良く聴けます。浩二さんは、26″のキックで鳴らす往年のどっしりとしたサウンドが魅力ですよね。横から見ていると、すごくシンプルなフォームで踏んでいるように見えるのに、本当に音が大きくてびっくりしました。僕は現代的なメタルをプレイするので、“みんな違って、みんないい”っていう感じのイベントです(笑)。

お2人とも初対面でしたが、ほんわかしていて気さくな方々なので、1mmも緊張することなく、学園祭のような気分です(笑)。僕の楽器は一番点数が多いので、お祭り役ですね。物を置く数だけは負けてません(笑)!

ブランド創設50周年、おめでとうございます。僕は、TAMA製品を使い始めて26年ほどになります。最初に使ったモデルは、ドラムを始めたばかりの14歳くらいのときに出会ったYOSHIKI[X JAPAN]モデルのRockstar DXのツーバス・セットでした。普段から「一生使います」と言い続けているのに偽りはなく、他のメーカーのドラムを叩いている姿は僕自身も想像できません。TAMAは僕の人生の一部であり、何があっても僕は一生TAMAを使っていく所存です。

共に成長させていただいたことで
今、ドラマー・むらたたむとして存在できている


むらたたむ:NEMOPHILAのYouTubeチャンネルでは定期的に楽曲カヴァーをしているんですけど、時々メンバーから「あんきも(Unlucky Morpheus)さんの曲やろうよ」と案が出るのを、「ドラムが難しすぎるから……」とかわしていたんです。今回のイベントで初めてFUMIYAさんのプレイを生で見て、”絶対に真似できない!”とますます強く思いました(苦笑)。ご一緒できて本当に光栄です。

長谷川さんがドラムを叩き始めると、音が“ドスンドスン”と聴こえるくらい大きくて、迫力を感じました。実は、私が以前ドラムのことで悩んでいたとき、長谷川さんが「全部、適当でいいから!」と言ってくださったことで、すごく救われたというエピソードがあるんです。そのおかげで、今日までドラムを続けてこられたと思っているので、今回の共演はとてもうれしく思っています。

当日は、リハーサルでステージにドラムが3台並んでいるのを見て、“この記念イベントに出演できるのはとてもすごいことなんだ!”と実感しました。私は“ドラムの音を心地良く聴かせるぞ!”という気持ちで臨もうと思いました。

TAMA Drumsさん、あらためて、50周年おめでとうございます。共に成長させていただいたことで、今、ドラマー・むらたたむとして存在できていると思っています。50年後の100周年もぜひお祝いしたいので(笑)、今後ともよろしくお願いします

長谷川の歴史=TAMAの歴史と同じくらいの感覚を抱いている
エンドースをさせていただいて非常に光栄

長谷川浩二:
本来、ドラム・セミナーのようなイベントに対しては逃げ腰なんですけど、今回に関しては“これはさすがに断れないぞ……”と思いました(笑)。でも偉大なTAMAドラマーの方々がいらっしゃる中、イベントへの出演に長谷川を選んでいただいてとても光栄です。すでに約40年近くTAMA Drumsさんにはお世話になっているので、そういう年頃になったのかなとしみじみ感じている次第です。

FUMIYA君とは初対面ですが、すごい手数足数で感心しました。たむちゃんもすごく良いグルーヴだし、パワフルだし、相変わらず素晴らしいと思います。2人ともびっくりするようなテクニックをお持ちで、共演が楽しみでもありますし、今回はめずらしく、どんなパフォーマンスをするかを考えて選曲しました(笑)。2人とは違う感じの“いぶし銀”なところを見せることができればと思います。会場の音の感じもすごく好きですし、ドラム・チューナーにも来てもらっているので、非常に良いサウンドが聴けるんじゃないかなと。

50周年、本当におめでとうございます。エンドースをさせていただいて非常に光栄ですし、長谷川の歴史=TAMAの歴史と同じくらいの感覚を抱いています。これからも末永く、輝かしい業績を残していただき、そこに長谷川も乗っかっていければなと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。

■LIVE GEAR

超多点キットを縦横無尽に鳴らす驚異的なパフォーマンスでオーディエンスの度肝を抜いたFUMIYAが使用したのは、メタリックなミラー・シェルが印象的なTAMA Rockstar×Starclassic Performer B/Bの混成キット。右足側のバス・ドラムのみ、かつてVersaillesのドラマーとして活動していたYUKIから引き継いだというStarclassic Mapleで、2バス、4タム、2フロア・タムに、スネア・ドラム2台、オクタバン2台を組み込み、Ageanシンバル18点(!)をシンメトリックに配置。メロディックなビートで楽曲のダイナミクスを演出。メイン・スネアは、TAMAのWarlordシリーズのブラス・シェル(14″×6″)で、緩み止めのテンション・ロック(TTL10)を使用。こちらは摩天楼オペラの前ドラマーである悠から譲り受けた品とのこと。サイド・スネアは、Cocktail JAMシリーズ(12″×5″)。フット・ペダルはTAMAのSpeed Cobraのツイン・ペダルで、やはりMIRROR RODを搭載。ビーターはウッド素材のCobra Beaterをチョイス。

多彩なドラム・アプローチを見せてくれたむらたたむ[NEMOPHILA]の使用セットは、パープル〜ベージュのグラデーションが美しい愛器=TAMA Starclassic Walnut/Birch。1バス、3タム、2フロア・タムのキット構成で、マイネル・シンバル9点も含めた多点セッティングでありながら、ラック・システムを活用し、コンパクトにまとめている点が特徴的。スネア・ドラムは、TAMAのMastercraftシリーズのSteel(14″×6.5″)と、“THE BELL BRASS”(14″×6.5″)を楽曲によって使い分けていた。フット・ペダルは、TAMAのIron Cobraのツイン・ペダルで、ジョイント・ロッドをTAMAの新製品=MIRROR RODに換装し、流麗かつパワフルなフット・ワークを聴かせた。

一打入魂のビートを轟かせ、圧巻のパフォーマンスで会場に衝撃をもたらした長谷川浩二。約40年に渡ってさまざまなシリーズを愛用してきた彼がイベントで使用したのは、マットブラックのシェルが重厚感を漂わせるTAMA Starclassic Maple。トレードマークとも言える26″の大口径ツーバスに、センターにオフセットされた2タム、そして2フロア・タムというキット構成。シンバルはジルジャンで計13点がセットされており、高低差をつけて左右に振り分ける形で配置。スネア・ドラムは自身のシグネチャー・モデル(14″×6.5″)で、角度をつけてセットするのが長谷川流。フット・ペダルは普段から愛用するTAMAのダイレクト・ドライヴ=Dyna-Syncで、Kitanoのチタン・ビーターを組み合わせるスタイルもお馴染み。

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