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【REPORT】TAMA 50th ANNIVERSARY EVENT – ドラム・セットと共に振り返る50年の歴史
- Test:Rhythm & Drums Magazine Photo:Hoshino Gakki Hanbai Co., Ltd.
TAMA Drums 50年の歴史と
ブランド・ポリシーを再確認する
展示フロアをレポート!
2024年にブランド創設50周年の節目を迎えたTAMA Drumsが、去る11月30日から12月1日の2日間に渡り、東京・渋谷STREAM HALLにて、「TAMA 50TH ANNIVERSARY EVENT」を開催した。同年初頭からアニバーサリー・モデルを多数発表し、アメリカではサイモン・フィリップスをはじめとする豪華ドラマー陣が集結した記念イベントも実施。夏には、50ページに渡る総力特集でドラマガ本誌2024年7月号の表紙を飾った。その盛大なるアニバーサリー・プログラムの集大成となった本イベントは、実機と共に50年の歴史を振り返る展示/試打フロア、製品の魅力を伝えるトーク・ショウ、そして国内のTAMAアーティストによるライヴ・パフォーマンスで構成。ここでは、当日の展示フロアの模様をお届けしよう。
REPORT MENU – TAMA 50TH ANNIVERSARY EVENT
■Exhibition
■Talk Show〜渡辺拓郎/FUMIYAを招いたトーク・ショウをレポート!〜
┗1:Superstar & Bell Brass feat. 渡辺拓郎
┗2:Twin Pedal feat. FUMIYA
■Live Report
┗1:長谷川浩二×FUMIYA×むらたたむ
┗2:【近日公開】FUYU×勢喜 遊×松浦千昇
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「TAMA 50TH ANNIVERSARY EVENT」の会場入り口から1フロアを使って展開されていたのは、TAMAの歴史を各時代を代表するドラム・セットと共に学べる展示コーナー。現在はなかなかお目にかかれない懐かしのモデルやレア・アイテム、製造工程におけるこだわりがわかる展示に加えて、TAMAアーティストによる製品のデモンストレーション・イベントも実施されるなど、ブランドの魅力を凝縮したエリアとなっていた。それぞれの展示品を撮影する来場者も続々!
Lars Ulrich 40th Anniversary Sugnature Drum Kit(2024 – Limited)
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▲エントランスでまず迎えてくれたのは、ラーズ・ウルリッヒのエンドースメント40周年を記念して、彼の使用セットを再現したアニバーサリー・モデル。全世界72台限定で発売された貴重なアイテムとの邂逅。イエロー×ブラックのド派手な配色がインパクト抜群! ラーズのシグネチャー・スネアもセットで展示。
IMPERIALSTAR(1974)
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▲ブランドが発足した1974年に誕生した、IMPERIALSTAR(フィリピン・マホガニー・シェル)。各ドラム・セット背後のパネルには、製品スペックや誕生のプロセスなどが詳しく記載。
Superstar(1976)
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▲1976年に発売され、当時前例が無かったオール・バーチ・シェルを採用したドラムキット=Superstar。TAMAのサウンドが広まるきっかけとなったモデルで、2024年には復刻版が限定リリースされている。
Artstar(1983)
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▲1983年発売のArtstar(バーチ+コルディア)。シェルのインナー/アウターに使用されたコルディア材の杢目が美しい。
Starclassic Maple(1994)
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▲1994年の発売以来、現在に至るまで根強い人気を誇る、Starclassic Maple。TAMAの代名詞的なモデルの1つと言えるだろう。
Starclassic Bubinga(2006)
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▲ブビンガ材をStarclassicシリーズのスペックに応用してシリーズ化した、2006年発売のモデル。パンチのあるサウンドが魅力。
STAR Mahogany(2020 – Limited)
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▲フラッグシップ・モデル=STARシリーズのマホガニー材にキルテット・サペリ材を掛け合わせたハイブリッド・シェルの杢目が印象的な、STAR Mahogany。2020年に販売された限定モデル。
Pick up!! 〜真円で読み解くTAMAのドラム作り〜
▲展示フロアには“真円で読み解くTAMAのドラム作り”と題して、TAMAサウンドの基礎となる、製品作りのこだわりを学べるコーナーも設置。TAMAではドラム・シェルを完璧な円=“真円”に近づけることを目指し、その理想に基づいた工程で製造が進められていくとのこと。シェル材を一枚板に切り出す工程では、ドラムを叩いたときの伝達効率を上げるために“薄さ”を追求することで、広いダイナミクス・レンジを実現。シェル材を1枚ずつ叩いて成型機に打ち込むというTAMA独自のシェル成型の過程では、ハンマーで打つことによって生じる木の“硬さ”や振動、反発力から職人が材の個性を肌で理解し、力加減を調整。塗装段階では、シェルの杢目を生かした奥行きのある色合いを目指し、スプレーガンで塗料を吹きつけながら薄い塗膜を何重にも重ね、ムラのない“美しい”塗装を実現。これらの工程ごとに、実際に見て触れることのできる現物サンプルも並び、多くの人が足を止める興味深い展示となった。
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会場ビルの5Fには試打コーナーが設けられており、TAMAのSTAR Bugingaをはじめとするドラム・セット9台がラインナップ。来場者にも人気のエリアとなっており、チューニングの調整時を除いて常に試打をする音が絶えなかった。
▲試打コーナーの一角には、Iron CobraやSpeedcobra、Dyna-syncといった人気モデルを自由に踏み比べられるフット・ペダル・ゾーンも設置。トーク・ショウでも紹介されたMIRROR RODもセットされており、いち早く試すことができた。
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名品の復刻で話題となった
TAMA50周年記念アイテムを紹介
展示コーナーの一角に用意されたイベント用スペースでは、各日程で1回ずつ、TAMAのスタッフがアーティストと共に製品を紹介するスペシャル・トーク・ショウも開催。1日目は「Special Talk Show 〜Superstar & Bell Brass〜」と題し、2024年に発売した50周年記念モデルを紹介。ゲスト・アーティストは、TAMA愛用歴25年の渡辺拓郎。
まず紹介されたのは、世界初のバーチ・キット“Superstar”を限定復刻させたSuperstar Reissue。1980年代、激しいドラム・プレイを伴うジャンルの台頭により、耐久性の高いドラム・セットの需要が高まったことで開発され、TAMAのサウンドが一般的に広まるきっかけにもなったキットで、当時はビリー・コブハムや高橋幸宏らが愛用。
復刻モデルでは9mm/6プライ・シェルなどの基本的なスペックは踏襲しつつ、タム・マウントやバス・ドラムのスパーは現行品に近づけて改良したとのこと。渡辺はそのサウンドについて、「TAMA製品の基本理念のように感じているのが、“鳴りが豊かで、響きもありながら1つ1つの音が分離してよく聴こえる”ということ。僕が使い慣れているStarclassicシリーズを基準として比較すると、Starclassicの方が全体的にスッキリとしたサウンドで、Superstarは低音がふくよか」とコメント。
続いての製品は、Mastercraftシリーズのスネア・ドラム。”全面当たり“のスナッピーと、インサイドマフラー(内蔵ミュート)を忠実に再現した復刻モデルで、今年初頭にラインナップに追加予定という、深さ5″のスティール・シェル“8055”を紹介。渡辺は、実際に本製品を叩いて聴かせながら、「“スネアといえばどんな音色?”と考えたとき、真っ先にイメージできるスタンダードな音色だと思います」とサウンドの印象を語る。
そして、同シリーズの中でもリリース時からの目玉製品 “The Bell Brass”(14 “×6.5 “)が登場。こちらは鋳造後に3mm厚に削り出したシームレスの“キャストベルブラスシェル”が特徴の1つで、圧倒的な音圧とレンジの広さ、レスポンスの良さを誇る。
80年代のリリース当時はニルヴァーナやメタリカのレコーディングにも使用され、“ターミネーター”の異名を持つ名品。渡辺も、「強く叩いてもまだ天井が見えないし、小さく叩いてもきちんと音の1つ1つを拾われる感覚。メタルもいいし、トリッキーなアプローチでダイナミクスを聴かせるような音楽にも合うと思います」と高評価。ショウのラストには、Superstar ReissueキットとThe Bell Brassスネアを用いたデモ・パフォーマンスで、製品のリアルな魅力を伝えた。
ツイン・ペダルを進化させる
革新のコネクティング・ロッド=“MIRROR ROD”を最速ピックアップ
2日目に実施された「Special Talk Show 〜Twin Pedal〜」は、ツイン・ペダルの間をつなぐ新作コネクティング・ロッド=“MIRROR ROD”の先行紹介イベント。ゲストは、本製品の耐久性チェックやフィードバックで開発に貢献した、TAMA愛用歴25年のFUMIYA[Unlucky Morpheus]。
ツーバス多点“要塞”セットを駆使するFUMIYAに導入として投げかけられた話題は、シングル・ペダル2台を組むのではなく、ツイン・ペダルを愛用する理由について。「シングル・ペダル2台では、それぞれのバス・ドラムの音の余韻をカットできないので、僕のように高速連打を続けるプレイでは1音1音がぼやけてしまう。そこでツイン・ペダルを使うと、1台のバス・ドラムのヘッドを1打ごとにビーターでミュートしながら踏むことになるので、サウンドをタイトかつコンパクトに聴かせやすいんです」と回答。
一方で、ツイン・ペダル・ユーザーの悩みとしてよく聞かれる、ペダルの反応の“左右差”についても触れられた。その差を限りなく低減した画期的なアイテムこそ新製品の“MIRROR ROD”……ということで、詳しい製品解説へ。
TAMA Drumsの解説によると、そもそも片方のレイテンシーの原因は、製品可動部の“ガタつき”によるもの。その改善の鍵となったのが、 “ボールベアリング”だという。MIRROR RODは、左右のジョイント部にボールベアリングを4個ずつ、計8個を搭載したことでガタつきを排除。これによって左側のペダルを踏む力→ビーターを動かす機構へ直感的に伝達させられるようになり、左右差のないスムーズな演奏感を実現したとのこと。
もう1つのポイントが”軽量化“で、部品にアルミ素材を採用して剛性を保ちつつ、極限まで部品の数を減らしたことで頑丈さを保ったまま重量を軽減。調整ボルトの数も減らしたことで操作性も向上したとのこと。パワー・ヒッターであり、激しいドラム・プレイを行うFUMIYAが協力したということもあって、現場でのリアルな悩みにも寄り添える、プレイヤー解像度の高い製品と言えそうだ。
▲TAMA MIRROR ROD(TMR1000)
2025年2月発売予定
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