SPECIAL
UP
ナッシュビルより世界へ広がるスティック・ブランド Innovative Percussion(後編)
- Contents & Text:Rhythm & Drums Magazine
- Photo :Takashi Yashima
Brushes & Alternative Sticks
ワイヤー・ブラシは繊細で上品
バランスが良く演奏しやすいナイロン・ブラシ
まとまりがあって芯が出しやすいファット・ブルームズ
芳垣 収納式のワイヤー・ブラシ2 モデルはどちらもコントロールしやすいね。作為的にワイヤーの先端にカーブがつけられていて、無理に自分で曲げなくても最初から(打面への)接地面が作れて良いと思う。ミディアムは面で当てると細かいニュアンスが出せて上品な感じが出せる。一方でヘビーは音がかなりワイルド。そういうニュアンスの音は出しやすいね。
大地 一般的なブラシと比べるとワイヤーが短いですね。僕は普段ブラシで擦ることはあまりなくて、8 ビートで使うのがほとんどなんですけど、繊細に擦るのにはコントロールしやすいと思います。持ち手も短いし、ワイヤーの本数も少し少なめなのが上品な感じにつながっているのかな。
芳垣 ジョン・ロビンソンのモデルは長いね~(笑)。普通のブラシのバランスとはまったく違う。スウィング系とかでコントロールするのは大変だと思うけど、面白いアイディアだよね。グリップ・エンド側にチップ的なものがついているので、この1 本でいろいろなことができると思う。ドラムというかパーカッション的なアプローチが向いているかと。
大地 マレット的にも使えそうですし、スティックみたいなバランスで持つのが良さそうですね。やっぱりジャズというより2、4 のバック・ビート系な使い方になっていきそうです。
芳垣 収納式のナイロン・ブラシは素材が柔らかくて、普通のワイヤー・ブラシと近いニュアンスが出せると思う。この手のナイロン・ブラシはハードに当てるとワイヤーの根元を割っちゃうことがあるんだけど、これは根元が硬いもので補強してあって良いね。しかも若干補強の重さもプラスされるから、ブラシの先が落ちやすくてコントロールしやすいと思う。
大地 ナイロンが柔らかいと毛先が軽くなって演奏しづらくなるけど、これは良いバランスでプレイしやすいですね。太さもちょうどな感じだし、価格も抑えられていて良いですよね。
芳垣 一方で固定式ナイロン・ブラシのヘビーは、ヘヴィどころじゃないくらい硬い(笑)。他のブラシとは圧倒的に音が違うし、考えて使うとすごく面白いと思う。パーカッション的なアプローチで使うと良いかな。逆さに持ってクローズド・リム・ショット的に使えるし、ロッズとかと組み合わせて使っても面白いよね。
大地 まさにイノベイティブというメーカー名に相応しいモデルですね。こういうタイプのブラシって似たり寄ったりが多いけど、これは他にはない魅力があります。ワイヤーもめちゃくちゃ太いし、ガチガチで面白いです(笑)
芳垣 最後にAlternative Stick ということでロッズだけど、ナイロンロッドの方はこれだけというよりは、他のブラシと組み合わせると面白い使い方ができると思う。さっきのナイロン・ブラシのヘビーと組み合わせるとか。
大地 そうですね。これはロッズ系の中でもスティックの持った感覚がより近いと思います。
芳垣 ファット・ブルームズは、こういうタイプのものを普段使うとき、開き具合いが変えられる調整ゴムを全部外してワーって叩くことが多いけど、これはナイロンがあまり広がらないから、まとまった感じが出るね。特にスネアは芯のある良い音が出ると思う。
大地 ナイロンの硬さ自体は他と変わらない印象ですけど、ウェーブは緩い感じがしますね。俺はタムもフロアもスネアもピッチが低いんですけど、絶対に音量が出せない状況だとこういうブラシを使いますね。ピッチが低くてロッズで叩くとアタックしか出ないので、こういうものでタムの成分を出すと良いんですよ。しかもこれはブラシが広がらないぶん、使いやすくて、圧倒的に音量が抑えやすいです。弱く叩いても音楽的な感じが出ますね。