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UP
ナッシュビルより世界へ広がるスティック・ブランド Innovative Percussion(後編)
- Contents & Text:Rhythm & Drums Magazine
- Photo :Takashi Yashima
Drum Stick〜Signature & Innovation Series
アーティスト・モデルはやっぱり個性がある
良い意味でレギュラー・モデルよりもファットな印象
コンセプト通りのスムース・ライドもモダンで面白い
芳垣 アーティスト・モデルはやっぱり個性があるね。他のレギュラー・モデルとサイジングが違ってバランスが違うからか、アタックが鋭角的じゃなくて、良い意味で少しファットになる感じ。まずチャド・ワッカーマン・モデルは前重心ですごく重いけど、使いにくいってことはなくて。トニー・ウィリアムスみたいなレガートをワシャーってやっている感じの音がするんだよね。トニーのスティックもそこそこ重たかったから、そういう傾向なのかも。
大地 これは無理だなって重さではないと思います。このスティックもシンバルの音が明るいんですけど、材が赤いハートウッド・ヒッコリーということで、木の詰まり方が通常のヒッコリーと違うからか若干薄い感じがします。だから重いけどヘヴィな音に鳴り過ぎていないんだと思います。
芳垣 ジェームス・ギャドソン・モデルは個人的にすごく好き。長さは持て余すけど、そもそも本人がそういう持ち方だよね(笑)。長いけど圧倒的に使いやすくて、コントロールしやすくとにかくバランスが良い。この長さでこの重さは他のモデルよりも木の詰まり方は薄いのかもしれない。サウンドやアタックの感じがすごく良くて、秘密はこの特徴的なテーパーにありそうだね。
大地 そうですね、もちろんグリップ・エンドぎりぎりで持っても良いと思うんですけど、楽器店に行ってスティックを選ぶときに長っ!みたいなものは基本選ばないじゃないですか。この長さにはビビると思いますけど(笑)、違和感ないことは前情報として伝えたいですね。あと言うまでもないですけど、ギャドソンみたいな音楽をイメージして手に入れると間違いないんじゃないかと思います。
芳垣 シャノン・フォレストはLegacy 8Aとキャラクターが似ているけど、それよりも少しファットなイメージ。重心が低いからローの成分が広がって聴こえるんだと思う。サイジング的には本当にわずかな差なんだけど、明確に違っていて面白いね。
大地 ジェフ・ポーカロ・モデルを彷彿とさせるようなサイジングで、基本的な印象は芳垣さんと同じです。キャラクターは本当にLegacy 8A と似ているんですけど、ちょっとだけこっちの方がドライな感じ。ライドはやっぱりコツコツ鳴らせて良いですね。
芳垣 Innovationシリーズはコンセプトありきだから、それぞれに個性があるんだろうけど、今回試したスムース・ライドは、表現が難しいけどこれまでに試奏してきた他のモデルがトラディショナルな仕様が多かったのに対して、これはすごくモダンな感じ。それはチップの形状の違いとか大きいと思うんだけど、バランスが全然変わってくるね。アコースティックな編成かつ小音量で叩くようなシチュエーションにはすごく良いと思う。
大地 重さ的にはLegacy 7Aくらいなんですけど、音量の絶対値が違っていて、こちらはもっとライトですね。スティックが当たったときにコントロールされて音が出てくるみたいな印象です。そういう意味ではコンセプト通りなのかも。