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CANOPUS Yaiba 24 Kitの実力 feat.玉田豊夢
- Photo:Taichi Nishimaki
- Text:Yusuke Nagano
- Contents:Rhythm & Drums Magazine
音にこだわりを持つ国内外のドラマーが愛用している日本発のカスタム・ドラム・メーカー、カノウプス。そのサウンドを容易に手に入れたいというリクエストに応えて、開発されたのがYAIBA Ⅱシリーズ。価格帯はミドル・クラスでありながら、革新的なサウンドを誇り、高い評価を得ている。今冬、同シリーズに24″のバス・ドラムを軸とするニュー・モデル、Yaiba 24 Kitが新たにラインナップ。リズム&ドラム・マガジン2021年4月号のclose up!では、YAIBA Ⅱシリーズを通してカノウプスの挑戦と展望に迫ると共に、Yaiba 24 Kitを使用する玉田豊夢による試奏レビューを掲載。ここではその全貌の一部を紹介していこう!
玉田豊夢 × Yaiba 24(トゥエンティフォー) Kit
革新的なアイディアを採用した
YAIBA Ⅱシリーズの全貌
日本刀をイメージした鋭いデザインのラグがトレード・マークでもあるカノウプスのYAIBA Ⅱは、ミドル・クラスの価格帯でハイエンドのクオリティを実現した人気モデル。従来のラインナップは、18″×14″の小口径キックを軸にした3点セットにスネアを加えたメイプル・シェルの “Bop Kit”と、22″×18″のキックを軸にした4点セットにスネアを加えた、バーチ・シェルの “Groove Kit”の2種類(スネアの有無は選択可能)。それぞれのキットはネーミングが示唆するようなサウンド・コンセプトの元に開発されていますが、今回新たにラインナップに加わった“Yaiba 24 Kit”は、大口径の24″×14″のキックを軸にした3点セットにスネアを加えた構成で、シェルはGroove Kitと同じくバーチを採用。伝統的なロックの雰囲気が色濃く漂う存在感のあるキットに仕上がっています。
このYAIBA Ⅱが目指したのは、品質を保ちながらコストを抑え、手頃な価格でカノウプスこだわりのサウンドを提供するということ。そのためにシェル調達や製造工程の見直し、そして運送費を抑えるための新たな梱包方法なども開発。象徴的なダイキャスト製のYAIBAラグもその一環から生まれたそうですが、シェルとの接地面積が大きいデザインの特徴が、締まりのあるサウンドを生み出す要因にもなっているということです。またシェル塗装の選択も大きなポイント。これについては、次ページ以降の開発インタビューで詳しい説明がありますが、カノウプスが従来のシリーズで導入していた木材の自然な鳴りを最大限に引き出すニトロセルロース・ラッカーから、一般的なドラムに広く使用されている強制硬化系ラッカーに変更することで作業工程を大幅に短縮。その塗装面の硬質さが、レスポンスが良く、ツブ立ちの明確なYAIBA Ⅱのサウンド・キャラクターを際立たせる効果も生み出しています。ちなみに“Yaiba 24 Kit”のカラー・バリエーションは、落ち着きと深みを感じさせるマット系のラッカー・フィニッシュが5種類と、オーダー制のスパークル・カラーが注文可能となっています。
さらにYAIBA Ⅱには、セットの他にもメイプルとバーチ・シェルを使用したスネア・ドラムが単体でラインナップされており、こちらも手軽な価格でハイエンドの音を実現し、音色、豊富なカラー・バリエーションが魅力となっています。
楽器にとって最も重要な音色を犠牲にすることなく、手の届きやすい価格を実現したYAIBA Ⅱ。そのサウンドの素晴らしさは、スティーヴィー・ワンダー、ケニー・ワシントン、ジャスティン・タイソン、玉田豊夢、吉田雄介、河村吉宏など、研ぎ澄まされた耳を持つ、国内外の一流達に愛用されていることでも実証済み。価格=グレードの常識を見事に覆すシリーズと言えるでしょう。