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アコースティックエンジニアリング meets 佐野康夫~プロ・ドラマーが体感したショールーム・スタジオの響き~

  • Photo:Taichi Nishimaki/Movie:Kazuki Kumagai
  • Text:Isao Nishimoto/ Recording:Tomoyuki Shikama

チューニングも演奏もしやすい
淀みのない響き

そんなアコースティックエンジニアリングのショールーム・スタジオに自身のドラム・セットを持ち込み、動画収録に臨んでくれた佐野氏に音の印象を尋ねると、開口一番「とても素敵なスタジオですね」という答え。「チューニングを変えたときの音の変化や、シンバルの種類の違いなどがすごくわかりやすい。それは僕にとって、とても重要なことなんです」など、好印象の言葉が次々に飛び出した。詳しくは動画で確認していただくとして、ここではそれ以外のコメントを紹介しておこう。

佐野「チューニングも演奏もしやすくて、何のストレスも溜まらない。精神衛生上とても良いし、楽器を演奏しようという意欲が湧いてくるスタジオです。動画でも話している通り、響きに淀みがないというのが一番の印象で、それはプレイバックを聴いても感じられました。マイクや機材を通った音のようには聴こえない、とても自然な感じです」。

佐野の愛器の1つであるCANOPUS NEO-Vintage NV60-M1を、まずは乾式床の上に置いて収録。構成は22″×14″BD、12″×8″TT、14″×14″FT、16″×16″FT。
シンバルはジルジャンで、左からA 16″ Medium Thin Crash(ハイハットとして使用)、K 19″ Dark Thin Crash、K Custom 22″ Dark Ride、K 18″ Dark Thin Crash。
Demonstrationのサウンド・チェックで使用しているCANOPUSのBirchモデル。サイズ14″×5.5″。
エンディングのデモ演奏で使用しているCANOPUSのYaiba Ⅱ。サイズはこちらも14″×5.5″。

続いて、スタジオの音が自身のアプローチにどう影響するかと尋ねると、次のような答えが返ってきた。

佐野「ドラムの響き方はスタジオによって違うし、同じスタジオでも部屋やドラムを置く位置によっても違います。やはり、それぞれのスタジオの個性というものがありますね。ですから、僕も“ここはこういう響きなんだな”と思ってチューニングするし、そのチューニングで別のスタジオに行くと全然違う音になるので、またそれに対応するようなチューニングをします。もちろん楽曲によって求められる音も変わるので、単純にスタジオの響きだけがチューニングを左右するとは限りませんが、そういう部分は確かにあると思います」。

また、先ほど触れた床の仕様による音の違いも検証。まず乾式床の上にドラム・セットを置いて収録した後、向きを逆にして壁に向けた状態で収録。さらにコンクリート床の上に置いた状態でも収録してみた。

乾式床の上に置いた状態で、ドラム・セットを壁に向けてセッティング。
ミキシング・デスク側のコンクリート床の上にセッティング。

また、先ほど触れた床の仕様による音の違いも検証してみた。まず乾式床の上にドラム・セットを置いて収録した後、向きを逆にして壁に向けた状態で収録。さらにコンクリート床の上に置いた状態でも収録を行った。前者2通りの違いに関しては、ぜひ動画のコメントを観ていただきたいが、乾式床とコンクリート床の違いについては「好みは分かれると思いますが、僕はどちらも心地良いです」と佐野は話す。

佐野「簡単に言うと、乾式床は伸びやかで柔らかい音、コンクリート床はタイトで締まった音という印象です。キックを踏んだときに足へ返ってくる感触も、コンクリートの方が少しだけ固さを感じます。それによって、叩くフレーズも自ずと変わってくるというか、発想にも影響するような不思議な感覚がありました。これは楽しいですね」。

動画では、デモ演奏だけでなくチューニングの様子も収録しており、そこでは各パーツ単体の音を聴くことができる。チューニング・キーを回して音が変化する様子を、できればヘッドホンなどで集中して聴いてみてほしい。佐野が言う“淀みのない響き”の一端を感じることができるに違いない。

佐野「これはすべての楽器がそうだと思いますが、ドラムの音もドラムだけでは成り立たないんですよね。レコーディングの場合だと、まず楽器とスタジオが合わさって1つのサウンドになって、さらにそれがいろんな機材を通って、いろんな人の手が加わって……と、全部が関連してドラム・サウンドというものが出来上がる。だからスタジオの響きというのはとても重要です。そんな当たり前のことをあらためて感じました」。

この最後のコメントも、動画ではさらに詳しく話している。スタジオの心地良い響きに触発された瑞々しい演奏と共に、じっくりと味わっていただきたい。

アコースティックエンジニアリングとは?

株式会社アコースティックエンジニアリングは、音楽家・音楽制作者のための防音・音響設計コンサルティングおよび防音工事を行う建築設計事務所。1978年に創業して以来、一貫して「For Your Better Music Life」という理念のもと、音楽家および音楽を愛する人達へより良い音響空間を共に創り続け、携わった物件の数は2,000件を超えている。現在も時代の要請に答えながら、コスト・パフォーマンスとデザイン性に優れ、「遮音性能」、「室内音響」、「空調設備」、「電源環境」、「居住性」というスタジオの性能を兼ね備えた、新しいスタイルのスタジオを提案し続けている。

株式会社アコースティックエンジニアリング
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Mail:info@acoustic-eng.co.jp
住所:東京都千代田区九段北2-3-6九段北二丁目ビル
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