SPECIAL
UP
Product Report – British Drum Co.
- Photo:Paul Worpole Photography、Takashi Yashima(products) Special Thanks:ELECTORI CO.,LTD.、G-ROKS Shimotakaido
Interview
ここからは、本誌にも掲載した本国スタッフへのインタビューをさらにボリュームアップし、完全版を公開! 独自のCold-Press Moulding製法をはじめ、自社で生産している“パラディウム”パーツ、彼らの楽器製作におけるポリシーなど、誌面では語りきれなかったBritish Drum Co.の魅力を存分に感じ取ってほしい。
我々は“新しいブランド”かもしれませんが
創業以前より培ってきたものは非常に多くあります
British Drum Co.設立と創業者Keith Keough
British Drum Co.(以下BDC)は、“公式には”2015年に設立されましたが、実際にはそれより前に話は遡ります。創業者のKeith(Keough)は、イギリス北西部のカンブリア出身です。この地でドラムの演奏を始め、ロック・ミュージックに夢中になり、父親がハンドメイドで杖を製造するのを幼少期から見ており、常日頃から木を加工している作業に興味を持っていました。
父親の工房での見習い期間が終了し、マンチェスターに居住の地を移した彼は、ドラムと木工作業に対する情熱を生かし、2003年にKD Drumsを設立。ちょうどこの頃、US市場の影響を受けた小規模なブティック・ブランドのドラムが多く登場してきた時代で、有名バンドのドラマーがこぞってそういった(ブティック・ブランドの)ドラムを使っていました。このタイミングはまさにパーフェクトで、ここから数年は、KeithはUKで最も優れたブティック・ドラム・ビルダーとしての評価を確立。彼のドラムはUK内にとどまらず、ヨーロッパ全域で多くのドラマーに使われるようにもなったのです。
そして2011年、Keithはイギリスで最も有名なドラム製造会社、プレミア社からアプローチを受け、KD Drumsが買収される形で開発の責任者となったのです。プレミア時代に彼は、the ONEシリーズ、Modern Classic、EXTREME HRそしてVintageシリーズ・キットを開発し、さらにはthe Sicko、Lancaster、Spitfire、Hurricaneといったスネア・ドラムも発表しました。
しかし2015年、UKでのドラム製造が以前のようには利益が出ないためにすべての操業を完全に停止すると通達を受けたのです。ただ幸運なことに、プレミアの施設と交渉することができて、金型や道具一式をもらい受けることができたのです。彼自身がしっかりとしたビジョンを持っていたために、次のステップを概念化するまでにはそう時間はかかりませんでしたし、すぐにアル・マレーやイアン・マシューズらが彼のもとに集結しました。すぐさま、構想にあったバッヂやロゴのデザインに取り掛かり、製品開発も同時に始まったのです。
それ以来、製品に改訂を加えつつ、我々のオリジナルでもある“パラディウム”パーツを作り出し、サブ・ブランドのKEO Percussionも設立、“Casio”というハードウェアも発表することができました。