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今、世界で最も成功しているアーティストと言っても過言ではないテイラー・スウィフト。現在は”THE ERAS TOUR”を開催中で、その一環として、2月7日から10日まで、4日間に渡って東京ドーム公演が行われる。ツアーは12月まで全151公演が予定されており、すでに興行収入No.1ツアーとして、ギネス記録を更新しているという。
そんな金字塔を打ち立てた本ツアーを支えるドラマーは、マット・ビリングスリー(Matt Billingslea)。2013年からテイラーのサポートを務めており、過去3回のワールド・ツアーを共にしてきたことからも、テイラーから信頼を得ていることが想像できる。
本人のHPで公開されているバイオグラフィによれば、出身はアメリカ・メリーランド州。最初に演奏した楽器はピアノだったが、10歳のときにドラムにスイッチ。地元でバンド活動をした後に、本格的にドラムを学ぶために、オハイオ州にある音楽の名門大学=キャピタル・ユニバーシティに入学。ジャズ研究と音楽ビジネスに関する学士号を取得したという。
卒業後はコロラド州デンバーでキャリアをスタートし、その後、より大きなチャンスを求めてカントリーが盛んなナッシュビルへと活動拠点を移した。ナッシュビルでは数々のアーティストと共演し、中でもグラミーを受賞した人気カントリー・グループ、Lady Antebellum(旧Lady A)とは3年に渡ってサポートし、楽曲制作にも携わったそうだ。
ドラムを教えるクリニシャンとしての活動にも精力的で、過去には世界最大の打楽器イベント=PASICでもクリニックを行っている。エンドースしているスティック・ブランド、イノベイティブ・パーカッションのYouTubeチャンネルにもレクチャー動画を公開。
本人のインスタグラムには”THE ERAS TOUR”で使用している機材がアップされており、ドラムはラディックのクラシック・メイプルで、1バス、2タム、2フロア・タムという構成。タイコにはローランドのドラム・トリガーが装着され、さらにエレクトロニック・パッドも並べたハイブリッド・セッティングとなっている。
スネア・ドラムは6.5”のブラック・ビューティをメインに、左手側に2台配置した計3台で、スネアもすべてにドラム・トリガーを装備。シンバルはジルジャンで、Aカスタム、Kカスタムを中心に計12枚をセット・アップ。ヘッドはレモで、ペダルはDW9000シリーズをチョイスしている。ラックで組み上げたセッティングは堅牢という言葉がピッタリだ。
“THE ERAS TOUR”は、テイラーの楽曲を時代ごとに区切り、名曲の数々を披露するという構成。ツアー初日となった2023年3月のアリゾナ州でのステージでは、3時間以上に渡って、全44曲が繰り広げられたそうだ。
記録にも記憶にも残ることになるだろう今回のドーム公演だが、テイラーのパフォーマンスはもちろん、ハイブリッド・セッティングを駆使して、多彩な楽曲を支えるマットの姿にもぜひ注目してみてほしい。