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Selected Jeff’s Works 〜沼澤 尚が選ぶジェフの名盤 100 〜Vol.07〜

スティーリー・ダン、ボズ・スキャッグス、マイケル・ジャクソンなど数々の傑作にセッション・ドラマーとしてその名を刻み、TOTOのメンバーとしても大成功を収めた伝説のグルーヴ・マスター、ジェフ・ポーカロ。ここでは彼の功績を語り継ぐべく、生前ジェフとも親交のあった沼澤 尚が選んだ“ジェフの名盤100”を10日間に渡って紹介! 7日目=Vol.07では、ドナルド・フェイゲン、マイケル・マクドナルド、ビル・ラバウンディなどAORの傑作を中心に82年に参加した10枚をセレクト。 

『Mystery Girl』/The Dukes(1982年発表)

シーナ・イーストンのヒット曲「モダン・ガール」などの楽曲提供で知られる英国人ソングライター・デュオで、“デュークス”名義では唯一のアルバム。NYとLAを股にかけてミュージシャンが起用されている。上質のポップスで、ドラムはジェフとジョン・ロビンソン。クレジットはないがジェフのものとハッキリわかる曲も!(沼澤 尚)

『ALL DRESSED UP』/David Roberts (1982年発表)

歌い手、楽曲、演奏の3要素が高レベルでバランスしたAORの傑作。グレッグ・マティソンがプロデュースでジェイ・グレイドンがエグゼクティヴ・プロデューサーという豪華布陣で、M4「サムワン〜」でのヘヴィにグルーヴする6/8系ビートやM6「ロング・サイド〜」でのシャープなスネアの6連フィルなど聴きどころが満載。(長野祐亮)

『The Nightfly』/Donald Fagen(1982年発表)

人生初のオーディションがチャカ・カーンのツアー。隣のリハスタにいたジェフが自分を見つけてこのアルバムに合わせながらA面全曲をいきなり目の前でプレイして送り出してくれた。ジェフをはじめ豪華キャストが参加し、音楽史に残る完成度を誇るこの傑作がここで自分のバイブルになったのは言うまでもない。(沼澤 尚)

『If That’s What It Takes』/Michael McDonald(1982年発表)

ジェフと同じくスティーリー・ダンのアルバム『嘘つきケイティ』、“プレッツェル・ロジック・ツアー”に参加、そしてジェフ・バクスターとドゥービー・ブラザーズに加入して、さらにそのマルチな天才ぶりを発揮。待ちわびたこのソロ・アルバムはガッドとジェフの芸術的ドラミングと共に1枚目にして最高傑作に。(沼澤 尚)

『Eye to Eye』/Eye to Eye(1982年発表)

イギリス人キーボード奏者のジュリアン・マーシャルがサンディエゴで参加したダンス・パフォーマンスで歌っていたデボラ・バーグを誘って始めたデュオグループ。ゲイリー・カッツがプロデュースするとなると当然という面子が集合して、ジェフとケルトナーはまたシャープなグルーヴとサウンドで名演を。(沼澤 尚)

『Bill LaBounty』/Bill LaBounty(1982年発表)

ビルの代表作であり、特有のメロウで都会的な雰囲気が漂うサウンが心地良い作品。ジェフは10曲中の4曲に参加。ハネた16分系の楽曲を中心に起用されており、ゆったりとしたテンポ感の中で絶妙にウネりながら躍動するプレイが秀逸。ガッドやアンディ・ニューマークといった競演ドラマー達の名演も聴きどころとなっている。(長野祐亮)

『Angel Heart』/Jimmy Webb(1982年発表)

数々の大物アーティストに楽曲提供しているシンガー・ソングライター、ジミー・ウェッブの7枚目となるソロ作品。しっとりとした美しいバラードから激しくドライヴするシャッフル・チューンまでツブ揃いの名曲がメリハリよく並んでおり、陰影に富んだドラムのトーンを巧みに操るジェフの深い表現力を楽しめる1枚となっている。(長野祐亮)

『Carry On』/Bobby Caldwell(1982年発表)

デビュー・アルバム『風のシルエット』が当時の大学生の必需品になるぐらいの大ヒットになった後、次作とこの3枚目への期待度の高さがものすごかったのを覚えているが、こんなにもハイクオリティな楽曲を次々に産み出せることへの驚きしかなかった。TOTOチームが参加してさらに洗練されたサウンドになった名盤。(沼澤 尚)

『Fool’s Paradise』/Randy Goodrum(1982年発表)

TOTOのアルバムでは必ず1曲はスティーヴ・ルカサーが極上のバラードを披露している。「ANNA」、「I’LL BE OVER YOU」などをルカと共作したランディ・グッドラムが、ニール・ジェイソン+スティーヴ・カーン+ジェフによる繊細で絶妙なグルーヴ・コントロールに乗せて制作した隠れた名盤。(沼澤 尚)

『Leon Ware』/Leon Ware(1982年発表)

アイズレー・ブラザーズやモータウン・アーティストなどへ楽曲提供しながら自身のアルバムも発表し続けていて、自分用に制作していたアルバムが丸々マーヴィン・ゲイの『アイ・ウォント・ユー』になってしまったことであまりに有名な重鎮シンガー・ソングライター。ギャドソンとジェフを交互に聴ける貴重な名盤。(沼澤 尚)

※本記事はリズム&ドラム・マガジン2014年5月号、6月号の記事を転載したものになります。

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