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BOBOが圧巻の熱量を注ぎ込んだVaundy one man live ARENA tour “replica ZERO”
- レポート:山本雄一(RCCドラムスクール)
- photographs by 日吉"JP"純平
2022年の9月に行われた武道館公演が今も鮮明な記憶として残っている。満足感は十分にあったものの決してお腹いっぱいではなく、もっと観たい、聴きたい、その先を知りたいと思える内容だった。
そのタイミングに発表されたのが2023年末から2024年にかけて行われるアリーナ・ツアー。「ずいぶん先の話だなぁ」と思っていたのだが……この日、私はそのアリーナ・ツアーの最終地にいた。2024年1月20日に代々木第一体育館で行われたVaundy one man live ARENA tour “replica ZERO” の模様をレポートしたい。
薄明かりの中でスモークが漂う会場内はどのようにステージが組まれているのかもわからない独特の巨大空間。代々木ってこんなに収容できたのか?と不安になるほどの人間渋滞も、開演予定時刻を少し過ぎた頃に落ち着くと場内が暗転し、最新作『replica』に収められていた「Audio 007」が流れる。
そこにサポート・メンバーが登場して会場のボルテージも高まり、“あの曲、来るな”という予想もついた……が、ドラマーBOBOの入魂のカウント&Fillからスタートした「ZERO」のド迫力は想像の遥か上。良い意味でラフ&ワイルドさを高めたVaundyがステージやセンターの花道を歩き回りながら、時にはオーディエンスの歌声に耳を傾けながら大会場を一体化していく。
その彼を支えるのが、“鍛え抜かれた”と言っても過言ではないほどに力強く安定したサウンドのバンド。BOBO(d)、Merlyn Kelly(b)、hanna(g)というこれまでのレギュラー布陣に加えて、ギタリストのTAIKINGも参加。Vaundyのスタジオ・ワークに数多く携わってきた彼の参加によって、ステージ全体のライヴ感はグンと高まった。マニアックなネタだが、個人的にVaundyベスト・ソングの「恋風邪にのせて」のギター・メロで、最後の一音が美しいディレイで飛んだ瞬間はグッと胸熱に……。
しかし、この巨大ステージと大観衆とを演奏面においてガッチリと結び続けていたのはドラマーBOBOの存在だと断言しよう。ほぼすべての楽曲にレコーディングから関わり、そのクオリティのままを、さらにはそれ以上の熱量をライヴに注ぎ込んでくる様は圧巻。
シーンの最先端を行くドラマーに求められる“ライヴ道”のお手本とでもいうべきか? 絶対的な精度、圧倒的な音圧、最後の最後まで崩れないグルーヴと持久力を維持しつつ、時には激熱のパフォーマンスも含めて聴衆を魅了していく姿には、“アジア代表ドラマー”とでも表したいオーラが満ちていた。
コンサート全体はツアー・タイトル通り、最新アルバムの『replica』に収められたナンバーで構成。「CHAINSAW BLOOD」や「逆光 -replica-」といった人気アニメの楽曲、そしてこの1年で何倍にも膨らんでの大合唱となった「怪獣の花唄 -replica-」など、武道館公演とはまた別次元の盛り上がりを感じた。
それでいて大きな会場では当たり前のようにもなったスクリーン系の演出は使わない。“舞台照明”の技だけで色彩的な躍動感を生み出す演出には今回も大感動。“音楽は引き算”という言葉を耳にするが、Vaundyのコンサートもまた引き算となろうか?
トークは最小限で、1曲1曲を演者とスタッフが真剣そのもので送り届けてくる。その結果として全22曲で1時間40分ほど。それでも十二分に満足できた上で、再び“その先を知りたい”という余韻が残る素晴らしいコンサートであった。
■ Vaundy one man live ARENA tour 2024-2025
2024年11月9日(土)神奈川県 横浜アリーナ
2024年11月10日(日)神奈川県 横浜アリーナ
2024年11月23日(土・祝)北海道 真駒内セキスイハイムアイスアリーナ
2024年11月24日(日)北海道 真駒内セキスイハイムアイスアリーナ
2024年11月30日(土)新潟県 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
2024年12月1日(日)新潟県 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
2024年12月7日(土)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
2024年12月8日(日)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
2024年12月14日(土)大阪府 大阪城ホール
2024年12月15日(日)大阪府 大阪城ホール
2025年1月11日(土)愛知県 ポートメッセなごや 第1展示館
2025年1月12日(日)愛知県 ポートメッセなごや 第1展示館
https://vaundy.jp