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オトナのロック・バンドとしてのモードとムードに期待が高まったONE OK ROCK 2023 LUXURY DISEASE JAPAN TOUR 【Report】
- Text:Satoyasu Shomura/Photo:cazrowAoki
去る昨年9月9日に発売となったONE OK ROCKのキャリア史上10枚目となるアルバム『Luxury Disease』。タイトルからは初アルバムとなった『ゼイタクビョウ』との関連も想起させ、さまざまな音楽的進化と深化、その変遷を経た上であらためて自身のロック・バンド像を再構築して見せてくれた今作を引っ提げての “ONE OK ROCK 2023 LUXURY DISEASE JAPAN TOUR”。ここでは4月23日(日) に行われた埼玉・ベルーナドームでの公演の模様をお届けしたい。
今冬の単独来日に熱い視線が注がれるマネスキンや先日の来日が記憶に新しいレッチリなどの場内BGMが流れる中、ステージが暗転。「Wonder」のイントロをアレンジした入場SEと共に、まずはTomoya、Ryota、Toruの登場だ。これがまたのっけからドームの作りを生かした演出であり、Tomoyaはドラム・セットごと可動式のライザーによってかなりの高さ(高所恐怖症だったら気絶or失禁レベル)まで上昇し、Ryotaはアリーナ下手後方の客席側から、Toruは上手後方の客席側からそれぞれイントロのフレーズを刻みつつの登場であった。
ステージに備えつけられた巨大なスクリーンにはメンバーを模したと思われるアバター風のCGとそれぞれの堂々たる面持ちが映し出され、ドーム・ツアーの合間である2月25日から3月19日には何とMUSEの北米ツアーに帯同と言うスケジュールをこなすなど、世界を股に掛けたステージから来る自信が漲っているように思えた。
たっぷりと尺を取った演出で客席の飢餓感を煽りに煽りつつ、メンバー3人が定位置についたところで一際大きくなる歓声。ステージ中央に設けられた花道からまるでイリュージョンの様に登場したTakaを合図に「Wonder」の本編がスタート。大振りのTomoyaのドラミングがリードするハード・ロッキンなビートに合わせ、サビでは他3人がステージ中央で揃いのどこかコミカルとも言える華麗なステップ(振りつけ?)を披露し、満開の笑顔が客席を包んでいた。
続く「Save Yourself」は鋭いToruのミュート・リフをさらに加速させるRyotaのプレイ(普段の指弾きではなくこの曲ではピックを使用)が冴え、「アンサイズニア」では待ってましたと言わんばかりの大歓声。実はこちら1曲の中でドラム・パターンが変わりまくる上、そのすべてがかなり複雑であると言う難曲。変幻自在にフレーズを叩きこなすTomoyaであったが、特に2Aのシンコペするキックと素早く細かいハイハットの刻みを大会場に轟かすプレイには感嘆を通り越して戦慄を覚えるほどだ。
短めのMCを挟んだ後の「Let Me Let You Go」には楽器陣によるソロ・コーナーという大胆なアレンジが加えられていた。3連符を交えた力強いTomoyaのソロにRyota、Toruも負けじと応戦し、「Clock Strikes」ではTakaが渾身のロング・ブレスを聴かせる。どこまでも伸びていく歌声に呼応したオーディエンス達がシンガロングでそれに応える様は前半戦のハイライトとも言える光景であった。
それぞれが思い思いに今日の心境を語るMCではRyotaがなぜか今日は演奏中に“ポン!ポン!”と言葉を発していると言う謎の発言。本人からしても初めての経験でありテンションが上がり過ぎているからかと戸惑っている様子であったが、ジャズ・ピアノの巨人、キース・ジャレットなんかもライヴ中に奇声を上げることで有名なのでどうか安心してほしい(笑)。
Takaは本ツアーのサポート・メンバーであるGakushi(key)を紹介や、 “ウチはいろいろウェルカムだから、リハ中にTomoyaの子供が走り回ってた”とアット・ホームなバンドの体制を明かしてくれた。
初期のストレートなラブソングである「カゲロウ」で会場をじんわりと温めた後は“今言いたいことを日本語で作りたかった”との前置きで「Mad World」へと繋げる。スクリーンに映るTakaは狂気の形相で客席をアジテーションするが、“世界中に散らばった「愛」を見つけた日 それが君のセカンドバースデー”と歌詞にある通り、放つエネルギーはポジティヴそのもの。
荒野を思わせるシブいメロディと変則的な8ビートの組み合わせがたまらない「Vandalize」や場内に吹き抜ける少し冷たい風に曲の持つ世界観がぴったりと合致していた「So Far Gone」と新作からの曲を立て続けにプレイし、再びMCへ。このコーナーでやる曲は特に決めておらず、しばらく演奏していない曲の封印を解いてまた封印する的な意図であると言うことが語られ、先の「カゲロウ」に続いて『ゼイタクビョウ』から「欲望に満ちた青年団」がプレイされる。レイドバック気味にリズム体が心地良い横ノリを提供する中、ブルージーにギターを鳴かすToruの指遣いが冴え渡る。年齢を重ねることでより味わい深さを増したとも言えるこの曲、封印するのは余りにもったいないと筆者は思いました(笑)。
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